お先真っ暗な銀行員 私が見た銀行員像


「銀行員の転職相談は一時的に停止している」

各メガバンクから大リストラの「予定」が発表されてから、銀行員の転職相談が相次いでいて、転職エージェントはウハウハだろうと思うが、実はそうでもないらしい。

蓋を開けると「話がまとまらない」ケースが続出していて、その理由は年収。

メガバンクではだいたい35歳前後で1,000万円、40代になると1,200~1.500万円の年収を得るが、それが転職すると「2~300万円ダウン」するとのこと。

「20%減」というのは会社でも個人でも「赤字転落」する一つの指標で、原則的には収支が破綻する。

そのため、

「銀行にしがみつくしかない」

という結論になる。

転職してもらってナンボの成果主義であるエージェントからすれば、

「手間暇かけるわりにわりが合わない」

ということになるのだろう。

極端なケースでは冒頭のような「一時停止」という処置をとっているようだ。

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銀行員という方々には、私自身は2つの感想がある。

一つは「ユーザー」として銀行員に接する時のもの。

もう一つは同僚としての感想である。

実は生保業界には「銀行出身者」が多い。

以前いた外資系生保でも、上司は地銀出身者で、先輩や後輩にメガバンク出身者が何人もいたが、生保業界で出会った「元」銀行員は本当に優秀な人が多い。

財務、税務、法務、仕入れ、在庫、為替、国際的な金融情勢。そして決算書の読み込み。

更には事務処理に異様に強い。

企業経営と実務に必要な知識を兼ね備えていて、当然、他業界から来た我々もそれらを必死に勉強するのだが、一朝一夕の知識と長年の実務経験の差はいかんともしがたい。

そもそもが凡庸な人間は銀行に入れない。

その世代、その地方の「一軍」が最優先で入るのが銀行であり、レベルの高い新卒が集まり、切磋琢磨し、高度な研修と経験を積む。

頭と要領が良いのは当たり前の話で、生保業界でも活躍していたし、「仲間」としては非常に頼りになった。

対して、一人のユーザーとして接する銀行員にはあまり良いイメージがない。

それは私だけでなく、中小企業をまわっていると、銀行と銀行員に対する不満はとにかくよく耳にする。

いわく、「殿様商売」、「待ち時間が長い」、「ルールばかり」、「晴れた日に傘を貸し、雨が降ると取り上げる」などなど、クレームを挙げるとキリがない。

要は個々の「人」としてはスペックも高く、気の良い方が多いのだが、「組織」になると急に内向きになる。

良し悪しではなく、これは銀行と言う保守的な業界が持つ特徴なんだろう。

それは当の本人たちが一番知っていて、前述の「元銀行」の上司や同僚も、

「銀行の常識、世間の非常識」

と自嘲する。

どこの業界でも、多少はその世界独自の「非常識」があるだろうが、特に銀行は世の中との乖離が大きいということ。

そのため、

「あまり長い間、銀行の飯を食っているとダメになる」

と露骨に言う方も多く、「銀行の異常さ」に気付いた人間は30代前半までに、他の業界に移ったり、顧客企業に引っ張られたりする。

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「年収」がネックになって転職出来ない人達は、おそらくは30代後半から40代、50代。

組織に「染まりきった人間」ということになり、妙なプライドもあって使いにくいのかもしれない。

実際、あるお客様のところでも、メインバンクの紹介で華々しい経歴の「シニア銀行員」を採用したが、事あるごとに「銀行では」という枕詞を用いては周囲と軋轢を生み、数年でお引き取り願っていた。

これと同じような話は非常に多いし、経営者の間でも

「元銀行員は当たり外れが大きい」

というのが定説になっている。

そのため、採用側もまずはお試しで「安めのオファー」を出すのだろうが、差し迫った生活のためなのか、意固地なプライドなのか分からないが、首を縦に振ることが出来ない。

どうせ銀行にいたって、これからの仕事はAIにとって代わられる。年収だって50代に入ると激減する。

どうせなら培った能力を新天地で発揮し、「年収を上げる」くらいの気概を持った方が良いのでは?と思うが、「銀行の栄光」を捨てることは、周りが思う以上に勇気がいることなのだろう。

このあたりの心情は何の看板ももたない私には分からないが、「銀行員」の優秀さを知る者としては少々勿体ない気がする。

余談だが、「元銀行員」の上司や先輩は、最終的に顧客企業に社長や取締役というポストを用意されて、保険業界から去っていった。

地獄のようなフルコミッションの世界から安定した表舞台に戻っていく姿を見て、羨ましい気もするが、同じような声が私にかかることはない。

やはり彼らは元々エリートなのだ。

営業しか能のない雑草とはそもそも育ちが違うと諦めるしかない。

本日のコラムでした。


5月 15th, 2018 by