さくらももこさんを死に追いやった「乳がん」の実像


ほのぼのとし雰囲気の中にも、独特の毒気を含む「ちびまる子ちゃん」

昔からテレビでやっているとついつい見てしまいます。

その作者である、

「さくらももこ」

という名前には長年親しんできたからだと思うのですが、その方が52歳という若さで亡くなったことに少なからずショックを受けました。

正直な話、もっとご年配の方かと思っていましたが、その名が世に出るのが早かったんですね。

わずか21歳でちびまる子ちゃんの連載が始まり、その3年後にはアニメ化。

自分の子供時代のことを思い出すストーリー、「こういう奴いたよね」というキャラクターたち。

それらの普遍的なものが、世代と国を超えて多くの人に愛されたのでしょう。

偉大な作家のご逝去に、心からご冥福をお祈り申し上げます。



さて、その死因は乳がんとのことでした。

さくらももこさんだけでなく、昨年お亡くなりになった小林麻央さん、病を克服された南果歩さんや北斗晶さんなど、有名人がその病気になると、大々的に報道されていることから、保険の商談の場でも「乳がんが心配」という声をよくお聞きします。

では、その病期の実態はどのようなものなのでしょうか?

本日は、そのあたりの情報をお伝え出来ればと思います。

まずは、この乳がんは罹患(その病にかかる人数)する方が非常に多い病です。

下記の表はがん研究振興財団が発表している部位別予想がん罹患数(出典:最新がん統計2014) という表ですが、ご覧頂けると分かる通り、女性がかかるがんの「罹患者数」としては圧倒的に一番で「もっともなりやすいがん」と言えます。

toukei3

次に罹患する年齢を見てみます。

「何歳でなるのか?」というデータです。

出典:国立がん研究センター がん統計2016より抜粋

がん罹患者数、乳がん罹患者数の年代別内訳

toukei6

がん全体の罹患者数は60代に入ってから増え続けていきますが、乳がんに関しては40代前半からじわじわと増え、60代前半が「ピーク」。そこからは逆に減っていきます。

特に40代では「他のがん罹患者」自体が少ないこともあり、罹患者の約半数近くが「乳がん」ということになり、この点から「若い頃」に罹患するというイメージがあるのかもしれませんが、罹患者数だけで言えば実は60代が最も多いのです。

また乳がんは「早期発見出来れば治りやすい」と言われていますが、それは「5年生存率」を見ても明らかです。

下記は「乳がん」の5年生存率です。

出典:国立がん研究センターのサイトより抜粋

5nenn

これに対して、「肺がん」はこのようになっています。

出典:国立がん研究センターのサイトより抜粋

haiga5

その差は歴然で、乳がんの場合、病期(ステージ)がⅠ、Ⅱであれば、かなりの高確率で5年後も生存しているのに対し、肺がんではⅡでも5年後には半数が亡くなっています。

また、保険の商談を通して伺う乳がんの印象として、

若くして亡くなる病気

というイメージをお持ちの方も多いようです。

しかし、データ上はこれは間違いです。

下記は、先ほどの「乳がんの年代別の罹患者」と「乳がんで亡くなった方」を比較したものです。

出典:国立がん研究センター がん統計2016より抜粋

乳がん罹患者数、乳がん死亡者数の年代別内訳

toukei8

全年齢のデータ(一番下)を見ると、1年間で76,839人の方が乳がんを罹患し、13,148人が亡くなっています。

ここから乳がんの死亡率の「平均」が約17%であることが分かりますが、表を見るに、この平均を上回るのは55歳以降で、それまでの若い頃は平均を大きく下回っています。

49歳までの死亡率は一桁台でとどまっているため「若い方が助かる可能性が高く」、加齢に応じて死亡率が高くなるのは他の病気と同様なのです。

「罹患者が多い」

「大部分が治る」

「若い人も高齢者もかかる」

「死亡率もがんの中では高い方ではない(特に若い頃)」

それが乳がんの実像なのですが、とは言え、現実的には若いうちにお亡くなりになる方もいて、更には世代的にお子さんがいらっしゃる「お母さん」が旅立つケースもあるため、そのような話を耳にした方々が乳がんに対して悲劇的な印象を持たれるのかもしれません。

いつだって人が亡くなるのは悲しいことですが、やはり若い方の死は、ご高齢の方が亡くなるのとは、周囲のショックが違うのでしょう。



なお、本稿を書くにあたり、どの文献や資料をあたっても「早期発見が肝心」とあります。

また、「どうせ授乳中で検査出来ないから」とか、50代後半になって「もう大丈夫だろう」という根拠のない理由で検査を受けない方がいて、その間に症状が進行してしまうことも少なくないそうです。

ご存知の方も多いですが、授乳中でもマンモグラフィーの検査が可能な病院もありますし、エコー検査であれば基本的に授乳中でも受けられます。

また、「若い人の病気」、「高齢になったから大丈夫」というのは完全な思い込みで、先ほどの罹患者数を見ても分かる通り、実際には60歳以降で乳がんになる方がとても多いのです。

知り合いの乳がんの専門医が、

「有名人が亡くなると検診が増える」

というようなことを言ってましたが、一つのきっかけとしては良いことでしょう。

大事になる前に是非、しっかりとした定期検診を受けて頂ければと思います。

本日のコラムでした。



8月 30th, 2018 by