ガンに罹患した社員と企業のジレンマ 伊藤忠商事の取り組みをご紹介します


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「いやー、仕事したいですね。。。本当に」

あるガンで闘病されているお客様がおっしゃった言葉。

ガンが転移し、長期の戦線離脱を余儀なくされ、毎月の抗がん剤治療のために月のうち3週間は動くことが出来ない。そのため、会社に行きたくても行くことが出来ません。

「何とか給料を渡したい」

と上長や同僚が必死に動いてくれても、そこには社内規定や雇用契約法における「ノーワーク ノーペイ」の原則が立ちはだかり

「かわいそうだが例外を作るわけにはいかない」

という結論。

それでも「自宅勤務の嘱託」扱いで、月に15万円程度が支給されていました。

しかし、元々は年収1000万円を超えていたような方ですから、会社に感謝しつつも

「会社から捨扶持を貰って、家族に迷惑をかけて、本当は早く死んだ方が皆のためなんですけどね」

と力なくつぶやいていました。

実は、保険の仕事をしているとこんな場面に何度も出くわします。

高額療養費制度を使えば治療費はそれほどお金はかかりませんし、入院すれば加入していた民間の保険からも給付金がおりますが、問題は生活費。

前述のように会社が毎月15万円を支払ってくれても、実質的には親や兄弟から借金をしなくては生活は成り立たないのが「ガン患者」、特に長期療養フェーズに入った方の実情なのです。

また会社側も「払いたいけど払えない」という事情もあり、ガン患者の困窮は社会問題化しています。

それらを解決するために、現在では就労不能状態をカバーする保険や、ガン闘病中の生活費を賄うガン保険も販売されていますが、まだ普及しているとは言いがたい状況です。

そんな中、先日、総合商社の伊藤忠商事が、

社員がガンになった時の対策を強化する

という報道がありました。

伊藤忠株が買い先行、中国国有企業に1兆円強折半出資と報道

その内容は以下の4つ。

1 ガンの闘病と仕事を両立するために、社内に「両立支援コーディネーター」という役職を設置し、産業医や社労士と連携しながらガンに罹患した社員をサポート。

2 国立がん研究センター 中央病院と連携し、40歳以上は5年に一度検査を実施。

3 高度先進医療費用を全額補助

4 遺族の支援(お子さんの学費支援、家族の就職斡旋)

これらの内容の中には、自宅でのテレワークなどの活用も含まれ、具体的な給与に関しての言及はないものの、

「出来る範囲で会社に貢献してもらい、それを給与にも反映させたい」

という思いが伝わってきます。

前述のような企業側の「払いたいけど払えない」というジレンマを解決する意図もあるのではないかと思います。

 

また、万が一社員が亡くなっても、その社員にお子さんがいる場合

「私立校に通えるレベルの学費」

を支給し、更にはその子供本人がのぞめば伊藤忠商事並びにグループ企業への就職まで優先的に斡旋するそうです。

また、このような金銭面、待遇面の話だけでなく、一番ありがたいのは「会社の理解」です。

「君たちがガンになっても会社は絶対に見捨てない」

という強烈なメッセージは、ガンと闘う社員の大きな支えになるでしょう。

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ある方が、長いガン闘病をされた経験の中で、

「入院生活より、抗がん剤より、”何の役割もない”ことが一番つらい」

と言っておられ、これは男性に顕著です。

特に「バリバリ働く職場」にいた方は、それまでの生活と闘病生活のギャップが激し過ぎて、

自分だけ取り残された感

を強く感じるようで、これは総合商社などでも同じことが言えるのではないでしょうか?

また、

復帰してもポジションはあるのか?

ちゃんとした戦力として扱ってもらえるのか?

ということに頭を悩ませ、病気の心配より、実はそちらの方が心の重荷になるという話もよく耳にします。

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伊藤忠商事の場合、両立支援コーディネーターという専門家が体調のレベルに応じた働き方を用意してくれることは、「復帰後」の心配を解決してくれることになり、治療にも非常に有益だと感じます。

日本人の3人に1人が罹患する病気「ガン」

職場の仲間がガン患者になることは珍しいことではありません。

規模も大きく、業績も良い会社だからこそ出来ることではありますが、個人的には素晴らしい取り組みで、今回の伊藤忠商事のような事例が他の企業にも広まっていくことを切に願います。


9月 1st, 2017 by