ガン患者は社会のお荷物じゃない!!いのちのスタートライン著者 大久保淳一さんに聞く


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みかづきナビ 加藤です。

本日は「いのちのスタートライン」の著者 大久保淳一さん(右側)のインタビューをお送り致します。

大久保さんは、アメリカの大学でMBA取得後、ゴールドマンサックス証券に入社。
主に金融派生取引の立ち上げと営業に従事し、平均勤務年数4年と言われるゴールドマンにおいて15年間の長きに渡って活躍された方です。

入社7年目にステージⅢの精巣ガンと診断、その後抗がん剤治療の副作用の中で最も恐ろしいと言われる間質性肺炎を併発。10ヶ月間の壮絶な闘病を経て復職。

病気になる前に完走したサロマ湖100kmマラソンにもう一度復帰するために、厳しいトレーニングを積み、2013年6月に見事完走。

それらの歩みをまとめた著書「いのちのスタートライン」が講談社から絶賛販売中です。

先日みかづきナビでも取り上げさせて頂きました。記事はコチラ

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講談社 「いのちのスタートライン」
単行本 ソフトカバー 1,620円(税込) kindle版 1,296円(税込)

インタビューは、

前編:ガン患者は社会のお荷物じゃない!!ガン患者の悩み

後編:ガン治療とお金 保険は役に立つのか?

の2部に分けてお送りしたいと思います。



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加藤:本日は宜しくお願いします。

大久保淳一さん(以下 大久保):こちらこそ

加藤:大久保さんにお会いするのは2回目ですよね。実は前回、久保さん(共通の知人)からご紹介頂く際、ネットで大久保さんのことを調べて行ったのですが、ゴールドマンサックスに15年、ステージⅢのガンから生還、マラソン100kmっていうキーワードだけで

「こ、この人盛り沢山だな。。。どんだけ気合入ってるんだろう。。。。」

「人生は勝負だ!!勝つんだ!!」

って叫ぶアニマル浜口みたいなおじさんが来るのかな?と思ってたんですよ。
暑苦しかったら嫌だなぁ。。。って

大久保:そうですか(笑)でも想像とは全然違ったでしょ?

加藤:ええ、もの凄い穏やかな方で、何と言うか

大久保:GS(ゴールドマンサックス)っぽくない?

加藤:失礼ながら(笑)

大久保:ずっと言われてきました。お客さんからも。大久保さんはGSっぽくないね。って

加藤:やっぱり(笑)

そう感じたのは僕だけじゃなかったんですね。

しかし、大久保さんは世界最強の投資銀行と言われる過酷な会社で15年も活躍されてきた。

後ほど伺わせて頂くガンの闘病も10ヶ月ですよね?
GSのイメージだと10ヶ月も休んだらクビになっちゃうんじゃないか?と

大久保:一般のイメージからするとそうかもしれませんね。でも、福利厚生は意外としっかりしていて半年間は基本給を保障されてました。その後も70%は支給してくれて。

それと上司との関係が良かったこともあると思います。

休職していた時より、復職して10ヶ月後にリーマンショックがあって、その時の方がピンチでしたね。
本当に世界恐慌のど真ん中にいるような感じでした。体調もボロボロで、周りもどんどんクビ切られていく。4月に入った新卒がクビになってましたからね。

でも私は社歴が長かったので、その前のITバブルの崩壊を経験していたんですよね。
だから「あの時はどうやって乗り切ったんだ?」とか聞かれたり。

頼られていた、と言うか、便利に使われていた、と言うか(笑)それで15年です。

加藤:今までのご経験と周りとの関係がしっかりしていたからなんですね。

大久保:ええ、ありがたいことですね。

加藤:大久保さんのお人柄ですね。
それで、早速メインテーマのガンについて教えていただきたいのですが「ガンです。」と言われてまず始めに感じることはどんなことなのでしょうか?

大久保:はい、私の場合は2つあって、1つは「死を意識する」ということです。

それまで病気になっても「死ぬ」なんて全く想像できませんでした。でもガンと宣告されると、

「もしかして俺、死んじゃうのかな。。。」

って強く思うんです。

そして2つ目は

「ああ、このまま人生下り坂なのかなぁ」

と思ってしまうことです。

42,3の働き盛りの時に、俺も社会のお荷物になってしまうのか。そう思うんですよね。

加藤:なるほど

大久保:私、元気な頃、会社に行くのが嫌で、月曜日なんて過呼吸症候群になってしまって、本当に会社が嫌だったんですよ。でもいざ病棟に入ってしまうと、あの頃が何て幸せだったのか、と。

加藤:そう感じるんですね

大久保:はい、皆さんそうだと思うんですが、社会でそれぞれの役割を与えられているじゃないですか?会社に行けば仕事があって、お客さんに会ったり。この「役割」は非常に大事なんです。

加藤:ええ

大久保:それをある日突然、全てを取り上げられちゃうんです。。。。惨めですよね。

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加藤:定年退職したおじさんみたいな話ですね。

大久保:まさしく(笑)

定年退職で思い出しましたが、ゴールドマン時代に一生分のお金を稼いで引退していった人が何人もいましたが、同じように1年もしないうちに

「金はいらない。何でも良いから仕事くれ」ってゲッソリした顔で来るんですよ。

奥さんから掃除機で「ゴロゴロしてんじゃない!!」って突かれるそうです(笑)

それくらい「役割がない」のは辛いんですよ。

ガンはそれの究極版ですね。しかも死も意識しないといけない。

加藤:社会のお荷物という表現がありましたが、男性の方がそういう意識が強いのでしょうか?

大久保:やっぱり男性の方がそう感じるかもしれませんね。つまりは何事も女性の方が図太くて強い(笑)

しかし根本的には、老若男女で何も変わらないと思います。
皆さん「社会や家族のお荷物になってしまうのか?」と悩んでます。

例えば引退したおじいちゃんや専業主婦の方は、仕事はしてませんが普段の生活に戻ることが「社会に戻る」ことです。

子供のお弁当を作る、趣味の囲碁や将棋をする、孫の結婚式に出たい。

そんな「当たり前」のことが出来なくなって、周りに迷惑をかけるだけの存在になってしまうのではないか?そう感じることがこの病気の怖いところだと思います。

加藤:確かにガンになると、それまでと同じ生活は出来ない。と思うのかもしれませんね。

大久保:それと、なんか周りがヒソヒソ話になるんですよね。
「あの人ガンだったんだって」「あの人も終わったな」みたいな。

左遷されちゃう、窓際に追いやられる、みたいなことを思ってる人も多いです。
特に男性からすると、なんとなく「負い目」のように感じちゃうのかもしれません。

加藤:なるほど。ある種のガン差別ですね。
これは前々から思っていたんですが、日本って他の病気に比べてガンのイメージが悪すぎますよね?

大久保:それは、おっしゃる通りです。

加藤:僕のお客様でガンで亡くなった方はいません。
そして意外と早く治る。世間では不治の病のように言われていますが、イメージと実態の違いに大きな開きがあるような気がしてなりません。

大久保:そうなんです。お医者さんや、加藤さんのようなちゃんとした知識を持っている方は、「ガンは治る病気」だし「皆元気に暮らしてる」って思ってるんですよね。

でもガンと告知された方ってほとんどが「詳しくない人」なんですよ。当たり前ですけど。

だからネットとかで情報を検索すると悲観的な記事ばかり出てきて、どんどん暗くなっちゃう。
僕は「そうではないよ。」と正しい情報を伝えたいんです。

加藤:なにより患者さん自身がガンの暗いイメージに翻弄されている、ということですね。

大久保:ええ。だからこんな辛い治療したって元気な頃には戻れないし。。。人生辛いことばっかりじゃないか。。。。大変な治療に耐える意味なんてない!!と思ってしまうんです。

でも実際には元気になって活躍している人が沢山いる。

そういう事例を多く目にすれば、よし頑張ろう。って気になるのではないか、と。

加藤:大事なことですよね。確かに世の中にはガティブな情報ばかりが先行している気はします。本来はポジティブな情報も同じくらいあっても良い。

大久保:ええ、実際60~70%の人が5年後も元気に生活しているんです。
注:全ステージの5年生存率の平均。ステージが早い場合は90%超。

加藤:そんなに高いんですか?恥ずかしながら知りませんでした。

大久保:そうなんですよ。やっぱり正しい知識の啓蒙が重要だと思っています。

加藤:その通りだと思います。他にガンになった方が悩むポイントはどんなことがあるのでしょうか?

大久保:はい。私が常々言っているのは「家族の心配」です。正確には心配のし過ぎですね。

加藤:とは言っても心配しますよね?(笑)

大久保:ええ、そうなんですが、家族は絶対に患者本人より心配し過ぎてはいけません。

そもそも一番心配で、一番辛いのは本人なんです。

そんな状況で、自分より悲観的な人が周りにいると、どんどんそっちに引っ張られちゃうんですよ。逆に自分より楽観的な人がいてくれると、そっちに引っ張られる。

加藤:ご本の中でも大久保さんの奥様はどっしりされてますよね?(笑)

大久保:ええ。抗がん剤治療で本当に辛くて辛くて「俺、もう嫌だ。無理だ。耐えられない」って家に電話したことがあるんです。

そしたら妻が無言で話を聞いてくれてるんですね。で、何を言うかと思ったら

「あなたも大変かもしれないいけど、私もまだ夕飯の準備が出来てないし、お風呂掃除もしてないし。ああ、子供達帰ってくるのに、まだ何も終わってないのよ!!じゃあね!!」

で、ガチャって。

加藤:奥様やりますね(笑)

大久保:ええ、自分もつらいけど主婦も大変だよな。って変に冷静になったのを覚えてます。そういう楽観的な人がいてくれると助かりますよね。

加藤:逆にネガティブな例もあったのですか?

大久保:うーん、親戚とかが「どうなってるのか教えてくれ」っていうのが結構多くて、説明しても「分かった。頑張って」って言われるだけで、これは本当に無駄な労力でしたね。

別に何かしてくれるわけじゃないですから。
あと「これが良いらしい」みたいな嘘か本当か分からない情報とか、とにかく煩わしいですよ。

加藤:分かります。私も職業柄、病気で大変な人のところに行くのって逆に迷惑なんじゃない?って思うんです。でもうちの母なんかは親戚の方が入院した時に「不義理になるから顔だけ出しなさい」みたいなことを言うんですね。

大久保:そうですよね。「私は義理は欠いてない」って証明するだけに来る、みたいなところはあると思います。普通の入院だったら良いかもしれませんが、ガンに限っては迷惑な場合もありますよね。

特に抗がん剤治療中は免疫も落ちています。誰がどんな菌を持っているか分からないので、あまり人には会いたくない。

大挙して親戚が来て「せっかく来たんだから会わせろ」みたいなことを言われても困ります。

 加藤:完全に本末転倒ですよね。でも、それも経験しないと分かりません。

現在大久保さんが取り組んでいらっしゃる5years.org(リンクは下部参照)は、ガンを克服した方、つまり「経験者」が現在ガンと戦っている患者さん、つまり「経験中」の方をサポートするんですよね?

大久保:そうなんです。やはり経験した者の意見って重要なんです。

私自身も自分が闘病している時に、治療に関する情報は沢山ありましたが、じゃあ色々ある治療法の中で何を基準に選べば良いのか?そして治療がおえた後、どのようにして社会に復帰していけば良いか?手探り状態でした。

そういった患者側の不安を、経験者がアドバイスして解消できる場を作りたいと思い5yearsを立ち上げました。SNSのようなシステムで、立ち上げてから7ヶ月で430名を超える方にご参加いただいてます。

加藤:私も登録させて頂きましたが、ガン患者とガンを克服した人(ガンサバイバー)が、かなり活発に交流されてます。「この薬辛いよね」とか「こういう基準で私は治療法を選んだ」など、実体験からの話なので、闘病中の方には参考になるだろう、と感じました。

大久保:ありがとうございます。

多くの人が自分にとって勇気づけられるプラットフォームになれば良い、と思って登録者1万人を目指しています。まだまだ頑張らないといけないですね。

5yeras.orgのリンクはコチラ

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次回は後編「ガン治療とお金 保険は役に立つのか?」をお送り致します。




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10月 22nd, 2015 by