不正したい気持ちも分かる、過熱する「医学部受験事情」


現役の局長が逮捕されるという事態を招いた東京医科大学の収賄事件。

文部科学省が実施している「私立大学支援事業」の対象校に選ぶ代わりに、我が子を入学させて貰うというもので、何とも許せない汚職である。

しかし、この局長は「将来の事務次官」と目されるほどの逸材らしく、我が子のためとは言え、随分と危ない橋を渡ったものだ。

しかし、この背景には過熱する「医学部受験戦争」がある。

弊社にはドクターのお客様が多く、そのお子さん達のほとんどが医師を目指すため、いかに医学部が難しいかという話をよく耳にするが、二浪、三浪は当たり前で「二浪なら御の字」という世界。

中には5回目にして合格した。という話も聞いたことがある。

何年も苦しんでいる子供の姿を見れば、不正してでも「入れてあげたい」と思うのが人情かもしれない。

「医学部の裏入学」について、現役の医師からは、

寄付金+コネで入れるケースがある

などと聞くが、流石に「昔の話」で、コンプライアンスにやかましい現在ではほとんどないらしい。

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なお、

「偏差値が高いほど学費が安い。」

というのが医学部の常識で、例えば私学ナンバーワンの慶応大学医学部は6年間で2,200万円。慈恵、順天堂などもだいたい同程度。

これでも十分驚くべき金額だが、他の私立医学部の中には6年間で4,000万円を超える学校もある。

対して、東大、京大をはじめとする国立の医学部の学費は6年間で360万円。

同じ医師になるにしても、360万円から4,000万円と10倍以上の開きがあり、親の経済力がものを言う部分が大きい。

なお、今回クローズアップされた東京医科大学は日本全国に82校ある医学部の中で、偏差値で言えば45位(偏差値66.5)

学費は約3,000万円となっているから、まさに「真ん中あたり」ということになるだろう。

なお、似たような名前で、日本医科大学(私立:千駄木)、日本医科歯科大学(国立:湯島)があるが、これば別の大学。

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このような医学部事情だが、前述の通りそこに入るのは相当難しく、親世代の先生は、

「自分の頃に比べるとケタ違いに大変。今の子たちはかわいそう」

と口を揃える。

実際、20年前には9万人だった医学部受験者が昨今では13万人前後で推移していて、子供の数は減っているのに、医学部を志望する学生は1.5倍になっていることからもその人気ぶりが分かる。

「手に職」、「資格が一番」という考え方もあるだろうが、「他に目指すべき道がない」というのが本当のところではないかと思う。

一昔前の頭の良い学生の「憧れの職業」と言えば、大企業のエリート会社員、弁護士、そして官僚などだが、今は大企業も安泰ではないし、弁護士も「人数過多」で苦しい。官僚に関してもデメリットばかりがクローズアップされている。

そのため昔なら別の道を目指していた子達も「医学部」に殺到しており、ただでさえ激しい競争がより熾烈になっているのである。

だからこそ、キャリア官僚の父親は「危ない橋」を渡ってでも、医学部入学という禁断の果実に手を出したのだろうが、悪巧みは全て露見し、事務次官の椅子も、医師免許もご破算になる。

なお、これも「昔話」だが、「親のコネ」や「寄付金」で医学部に入ってきた学生は、授業についていけず落第を繰り返し、あげく退学するケースが多いらしい。

「10年間通って国家試験まで辿りつけなかった」

などという事例も珍しいことではなく、私などは授業料を計算しただけでもゾッとする。

医学部に入るのも難しいが、入ったからと言ってそれだけで医師になれるわけではない。

国家試験や進級試験も相当なもので、結局は実力がなければそこではじかれてしまうのだろう。医師とは本当に「選ばれた人」だと感じる。

何よりも大事な命に関わる仕事。

親の「コネ」でなってもらっては困る。

そう思う本日のコラムでした。

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7月 5th, 2018 by