営業飛び込み哀憐歌 私が飛び込みから得たもの


分かる人にしか分からない昔懐かしいビーバップハイスクール的なタイトル。

本日は営業、それも飛び込みにまつわる厳しい話。

飛び込みは営業における最も過酷な

「魂の修行」

と言える。

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見ず知らずのオフィスやご自宅を訪問し、

「話を聞いて下さい。」

とやる。プライドなんて持っていたら、到底出来ない。

「バカになれ!!」

と自分に言い聞かせて、愚直に見知らぬ扉をノックし続けるのである。

かく言う私も、保険業界に入る前、IT企業で飛び込みをやったのが初めての経験。

「何故に、最先端のITで飛び込み?!」

と内心不満だったが、やってみると意外に。。。つらい。

「意外と楽しい」

と言いたいところだが、そうはいかない。

予想通りに、普通につらい。その一言につきる。

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夏の暑い時期、噴き出る汗にワイシャツもスーツもビチョビチョ。

美人の受付嬢の冷たい態度と嘲笑。

何よりも簡単には担当者に会えず、そして会えたとしても受注出来るのは20件、30件に1件。

要は極端に効率が悪いのである。

それでも

「契約が取れないわけではない」

ので、2017年の今日現在でも飛び込み営業は死に絶えない。

そのため弊社にも飛び込みの営業マンが頻繁に来るが、昔の自分を思い出し、余程忙しくない限り、

「大変だね」

と、何となく話を聞いてしまう。

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買うか買わないかは別問題だが、とりあえずは話くらいは聞いてやろう。と仏心が出るのである。

今思えば、当時話を聞いてくれた方々も同じ気持ちだったのかもしれない。

まさに輪廻転生(ちょっと意味が違うけど)

魂の修行に、仏心に、輪廻転生。話が何だか宗教臭くなってきたが、それくらい「悟り」に近い精神状態になって、自我を捨てないと「飛び込み」をやり続けることは出来ない。

飛び込みは現代の托鉢なのだ。

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ちなみにその後、生命保険業界に行ってからも飛び込みをやっていたが、ここでは少々バージョンアップして、

・まず手紙を書く

・その後、電話や訪問をする

というスタイルにしていた。

良くやっていたのは、繁盛しているラーメン屋さんで「旨い!!」と感じた時。

その後、店主宛に

「あなたの作るラーメンは本物です。本物には本物の保険が必要です。」

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という意味不明な手紙を書いてから、再度訪問。

「手紙読んで頂けましたか?」

と商談を起こそうとしていた。

ラーメン屋さんのご主人には熱い方が多く、ほとんどの方が話を聞いてくれたし、中には大きなご契約を頂いて、今でも深くお付き合いさせて頂いている方もいる。

また、

「契約はしてあげられないけど、手紙嬉しかったよ」

と言って、チャーシューをおまけしてくれた方もいた。

そのチャーシューは、いつもより少ししょっぱい味がした。

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なお、生命保険会社には

「飛び込みの名人」

というのが必ずいる。

私の会社にもいた。

仮にNさんとしておくが、Nさんは1階にセキュリティがないマンションや団地、つまり部屋の前までノーガードで行ける「古い集合住宅」を専門にしていた。

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一部屋ずつ「ピンポーン」と奥様を呼び出して商談をしては、カニのように横移動していく。

当然怪しい。怪しすぎる。

警察の職務質問を受けたことも1度や2度ではない。

そのため、ほとんどの方が内側のチェーンをかけ、10センチだけ扉を開けtyenn

「何ですか?」

と聞く。当然の反応だ。

しかしNさんはひるまない。淡々と保険の話をする。

そして、その説明のために、幅10センチ、長さ50センチの

「チェーンをかけた扉の状態にぴったりおさまるサイズ」

のオリジナル資料を自作していた。

それを扉の隙間にピタッとはめ、その上にNさんの顔が出てきて、

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「今入っている保険より、こちらの方が良いです。」

と説明するのである。

信じられない話だが本当。
そして実際に契約になっていた。

中には、その後何度も面談したのに最後までチェーンを外さず、その隙間から書類をやり取りして契約された方もいる。

Nさんも、そのお客様の顔を

「顔の真ん中10センチしか見ていない」

と言っていた。

もちろん10数年前の話で、今ならコンプライアンス上許されない。

いや、当時でも許されていなかったような気がするが、Nさんは契約を頂いてくるし、特にクレームにもならなかったので、誰も問題にしていなかった。大らかな時代である。

ここまで来ると職人芸。

その後、Nさんは

「保険業界は俺には窮屈すぎる。」

と言って他の世界に旅立っていかれた。

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今もどこかで暴れているだろう。。。。

 

実は最近、弊社でも若い社員が「飛び込み」にチャレンジしている。

今よりもっとマーケットを広げたい。

と会計事務所の税理士先生を中心に飛び込みでコンタクトをしているが、先日、どんな様子でやっているのか見てみたくて、1時間ばかり付き合った。

「元プロ」

としては、彼の飛び込みには色々と荒い部分があり、それは都度指摘したが、とは言え、暑い中、ひたむきに頑張っている姿には正直頭が下がった。

まだ効果は出ていないが、きっと大きな花が咲くと信じている。

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仕事はつらい。その中でも飛び込みは特につらい。

しかも相手からすれば迷惑行為以外の何者でもなく、昨今の風潮では許されないのかもしれない。

しかし、そこにはキツイ仕事の中での成長があり、何より新たな人、新たな世界との

「出会い」

がある。

若者が徒手空拳で勝負するなら、いつの時代もプライドを捨てて、

相手に飛び込んで

いくしかないのである。

世間の皆様にも大目に見て頂きたい。
身勝手ながらそう思う次第である。

本日のコラムでした。


7月 27th, 2017 by