意外と知らない高齢者ドライバーの真実


先週末、池袋で87歳が運転する車に巻き込まれ、若いお母様と3歳のお嬢さんが亡くなりました。

事故の現場は、うちの子供の習い事がある場所に近く、私もよく子供達を連れて通っています。

タイミングさえ違えば自分が被害にあっていたかもしれず、他人事には思えませんでした。

以前から「高齢者ドライバーの危険運転」については指摘されており、今回の件でも

 

「高齢者は免許を自主返納すべき」

 

という論調が多いようです。

私自身40代前半。自分の親も、そして友人知人の親も70代から80代に差し掛かっていることから、自分の親が「加害者」になってしまう可能性もあるのです。

この点からも他人事ではありません。

しかし、我々は高齢者ドライバーの実情について、どれほどのことを知っているのでしょうか?

自動車保険も扱っている関係で、この手の統計を目にしますが、意外と勘違いをしている方が多いように思います。

本日はそんなお話です。

まずは、「年齢と事故」の関係を見ていきましょう。

この表は、事故をおこしたドライバーの年齢層ごとの件数です。


(警察庁発表 平成29年交通事故の発生状況から抜粋)

20代と、40代に8万件という二つの山があり、80歳以上の14,422件が全ての年代で最も少なくなっています。

では、このデータにそれぞれの世代の「免許保有者数」を付け加えてみます。

(警察庁 平成29年交通事故の発生状況、及び平成29年運転免許統計から編集)
注1:千単位を四捨五入

ここでは、分かりやすく

「各世代のドライバー1000人が何件の事故をおこすか?」

という表示を致しましたが、最も事故をおこしているのは16歳~19歳であり、

1000人で16.4件

の事故をおこしている計算になります。運転技術の未熟さによるものとされます。

そして、最も少ないのは60代の4.7件、次いで40代の4.8件です。

70代でも5.3件と30代の5.1件とほとんど変わらず、80代になると6.5件と上昇しますが、それでも10代、20代よりは少ないという結果です。

しかし、事故を「死亡事故」に限定すると、また少々違う印象となります。

(警察庁「平成29年における死亡事故の特徴等について」から抜粋)

上の図は、

免許保有者10万人が何件の死亡事故を発生させているか?

ということを各年齢層ごと(こちらは5歳刻み)に記したデータで「発生確率」とも言えます。

「16歳~19歳」に関しては、死亡事故でも多く「11.4件」となっています。

しかし、ここで特筆すべきは、80歳以上の数値の高さです。

80~84歳 10万人あたり9.2件

85歳以上 10万人あたり14.6件

特に85歳以上の発生確率は異常に高く、これが「高齢者の運転は危険」と言われる根拠です。

次にこの「死亡事故を発生させる確率」に、それぞれの年齢層ごとの「免許保有者数」を掛け合わせてみます。

これにより、

「どの年齢層が『年間何件』の死亡事故を発生させているか?」

ということが分かります。


注1:千単位を四捨五入

「件数ごと」で見ると、85歳以上が最も少なく、次いで「16~19歳」、「80~84歳」と続きます。

この3つの層は、他の層に比べて、そもそも免許保有者が少ないことがその理由です。

死亡事故をおこす確率は高いが、件数は少ない

それが高齢者ドライバーの実態なのです。

今回のような事件が発生すると、高齢者の運転が原因の死亡事故がもの凄く多いような印象を受けますが、データ上は違うということです。

なお、この「確率」も、過去10年で以下のように低下しています。
(以下は「80歳以上」、「75歳以上」、「75歳未満」で比較しています)

 

(警察庁「平成29年における死亡事故の特徴等について」から抜粋)

どの年齢層でも、10年前の約半分になっており、これは自動ブレーキなどの安全技術の向上によるものとされています。

しかし、

件数が少ない
発生確率も下がっている

からと言って「何も問題がない」と言っているわけではありません。

高齢者が起こす死亡事故は現状「全体の中で見れば少ない方」ですが、その件数自体は増加傾向が続いているからです。

理由は明確。

高齢者が増えているからです。

今後より一層「超高齢化」が進む日本では、高齢者ドライバーも増えていくことが予想されます。

高齢者の免許保有者数 × 発生確率 = 死亡事故件数

常にこの構図は変わらず、高齢化により保有者数の増加を止められない以上、もう片方の発生確率を下げるしかありません。

そのためには、自動運転技術などの「ハード面」と、問題のあるドライバーは免許証を更新させないという「ソフト面」。その2つからアプローチしていかなといけないということでしょう。

しかし、このソフト面に問題があります。

75歳以上の免許の更新には「認知機能検査」というものが義務付けられていて、このことをご存知の方は多いですか、その内容は知っている方は少ないはずです。

具体的には以下の3つです。

・時間の見当識

検査時における年月日、曜日及び時間を回答。

・手がかり再生

一定のイラストを記憶し、採点には関係しない課題を行った後、記憶しているイラストをヒントなしに回答し、さらにヒントをもとに回答。

・時計描写

時計の文字盤を描き、さらに、その文字盤に指定された時刻を表す針を描く。

注:ご興味のある方は、コチラに詳細のテスト方法が掲載されています。

試しに、うちの6歳の娘に同じ検査をやらせてみましたが、時計描画以外、全問正解です。
(時計描画では長針の位置を間違えた)

検査の点数上は合格です。

あくまで個人的な意見ですが、少々簡単すぎると感じます。

車を運転する以上、もうちょっと厳しい検査(動体視力測定や、シミレーションの車を運転するなど)が必要なのではないでしょうか?

今回、色々と「数字」を挙げましたが、その「1つの数字」の裏には、少なくとも1人以上の命が失われていることを忘れてはいけません。

最悪、お母さんと幼い子供の命を同時に奪ってしまうこともあるのです。

本日のコラムでした。

 

 

 

 

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4月 22nd, 2019 by