独立をするなら知っておきたい 「仕事」と「作業」の境界線


 

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君がやってるのは作業だろ?仕事じゃない。

今から12年前、ある社長さんにこう言われた。

若い私は一瞬ムッとして、言い返す。

「保険は販売するのが最も難しいと言われている商品です。そのセールスは仕事じゃないんですか?」

すると、こう解説してくれた。

「いやいや、立派な『仕事』だと思うよ。でも、お客さんを見つけて、ヒアリングして、提案して、申込み作業して、っていうルーチンだろ?

それは「作業」だと言う。

更には、

「そのルーチンは君の会社が開発したもの」

であり、つまりは私はそれに乗っかって「作業」をしているだけで、そこには進化も創造もない。だから

「仕事ではない」

ということらしい。

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与えられた方法と与えられた目標をこなしているだけではダメ。ということだろう。

とは言え、作業を高いレベルでこなすことは難しく、そういう意味ではほとんどの人が

『作業すら出来ていない』

というのが、この社長さんのご意見。

確かに保険業界でも90%がそれが出来ずに去っていく。

だからと言って、作業が出来るから「仕事が出来る」というわけではなく、それはただの

「熟練作業者」

に過ぎないそうだ。

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大変耳が痛い話だが、同時に

「この社長のもとでは絶対働きたくねーな」

と思ってしまった。ひとに厳しすぎる・・・・

 

そして時は流れ、10年後。

私は独立をすることになる。

「人に会いたくない」という昨今の風潮を先取りし、

・会わず、電話せず、チャットとメールだけで保険を提案する。

・メールの解説を読んで理解出来ない商品には入るべきではない。

こんなコンセプトで、「チャット保険相談」を始めてみた。

どこかに先ほどの社長の言葉が残っていて、新しい保険販売を確立することは、

「仕事」

と胸を張れるような気がした。が、不発に終わる。

高額のネット広告費をかけ、他の代理店が閉まっている夜中に目をつけて、毎日夜の11時までのチャット対応をした。

#そのため、うちのサイトは「みかづきナビ」と言う。

様々な「新しい」アイディアで勝負をかけた。

つもりだったが・・・

今思えば、ただの独りよがりで、誰もいない空き地で刀を振り回していただけだった。

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それに付き合わされて「作業」をすることになる社員こそ悲惨だろう。

しかし、ここ1年。

何故か分からないがチャット数が増加し、実際に申込みになるケースが増えてきた。広告も打っていないし、深夜対応もやめたにも関わらず。

まだまだビジネスと言えるほどではないが、昔よりは随分と手ごたえを感じる。

「サイト内のページ数が増えたので、検索順位が上がった」

「提案のメソッドが固まってきた」

などなど、友人や関係者からは色々な「理由」を挙げて頂くが、その全てが「その通り」だと思う。

とは言え、一番の要因は、

「地道に『作業』をしてきた」

ことだろう。その点、スタッフとサイトのメンテナンスをしてくれている友人には感謝しかない。

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結局のところ、「作業」と「仕事」の境界線は曖昧なのだ。

いかに斬新なコンセプトを掲げようとも、それを形にするのは「作業」であり、その多くは自分一人では出来ない。

こんなことを思っていたところ、最近やたらと、独立や出資話を聞く機会が多く、そのアイディア、特に若い方の事業プランは、

「へー、面白いね」

と感じる。

しかし、「誰が」、「いつまでに」、「どうやってやるのか?」、そして「いくらかかるのか?」と聞くと、

「それはおいおい」とか、「ニーズがあるから、なんとかなる」

と、急に現実感のないオチになって、結局は

「とにかく始めてみなよ」

というアドバイスしか出来ない。

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やってみれば、自分の「仕事(アイディア)」がいかに空虚で、「作業」がどれほど重要か分かるだろうから。

ところで、私に「仕事」と「作業」の違いを教えてくれた例の社長さんの会社は、そこから数年後に倒産した。

その業界では画期的な「新事業」を立ち上げ、まさにこれこそ「仕事」だが、それが失敗し、行き詰ったらしい。

「熟練作業者」

などと言って「作業」を小馬鹿にしていた罰が当たったのだと、内心ほくそ笑む。

私は意外と根に持つタイプなのだ・・・

本日のコラムでした。

 

 


3月 28th, 2018 by