「つみたてNISA」はどうなんだろうか・・・


NISA、ジュニアNISA、iDeCo(個人型確定拠出年金)と次々に新制度が立ち上がってきましたが、2018年からは新たに「つみたてNISA」が始まります。

これは、現行のNISAの後継制度にあたるもので、現在のNISAは将来的に「つみたてNISA」に統合されるとのことです。

制度の解説はコチラ

本日は「つみたてNISA」の裏事情を勝手に推測してみようと思います。



さて、今回の制度、NISAで浮き彫りになった問題を解決しようとする「金融庁の意思」を明確に感じます。

まずは、こちらの表をご覧下さい。

これは2014年から2016年の間のNISAの買付商品と年齢の一覧を表したものです。(金融庁のサイトより抜粋)

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NISAの合計投資額は9兆4095億円。

元々のNISAの目的である

「貯蓄から投資」

という面に関しては、一定の成功をおさめていますが、注目するべきポイントが2つあります。



それは、

・高齢者の比率が「異様」に高い

・投資信託が多い

ということ。

9兆4095億円のうち、50代以上の投資額が7兆1571億円と全体の76%を占めています。

ただでさえ資産を持ち、年金も満額受給できる世代の税金を免除してどうするの?!という気もします。

更に50代以上の投資の65%前後が投資信託ですが、明確なデータはないものの、その大部分(特に60代以上)が銀行の窓口販売だと言われます。

中には手数料が高い投資信託をしっかりと理解せずに買っているケースもあり、金融庁も問題視しています。

特に70代が1兆を超える投資信託を買っていると聞くと、「本当に大丈夫か?」と思いますよね。。。。

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今は世界的に株高。

そのため、どの投資信託も総じて好調なのでそれほど問題にはなっていませんが、今後、株価が下がった時に

「騙された!!」

というような人が続出。そんなことになるかもしれません。

今後のNISAの課題は、

・本当に年金不安を抱える20代、30代の資産形成をサポートする

・良い商品(手数料が低く、永続性のある商品)を優遇し、「手数料目的」の悪質商品を締め出す

という点です。



そこで、つみたてNISAでは

・年間40万円まで

・20年間の長期の免税

・手数料が安い「適格商品(金融庁が指定する投資信託)」から選ぶ

という特徴を持たせています。

要は金融庁お墨付きの商品にしか投資出来ないので、現行NISAのように個別銘柄への投資や、複雑な投資信託を買うことは出来ません。

新制度にはNISAで得た教訓を反映させていますが、とは言えこれに飛びつくのはちょっと待った方が良いと思います。

理由は「株高」と「適格商品のラインナップ」です。

まず、「今」投資するのはタイミングとしては判断が難しいところでしょう。

今後、今以上に株価が上がる可能性より、下がる可能性の方が高く

「高値掴み」

になる危険性があります。

これに対し、

「そんなことを言っていたら、いつまで経っても始められない」

という意見もあります。



そう言われれば、その通りなのですが、あくまで個人的な見解として、現状の株式市場は素人が楽観的に手を出す時期ではないと思います。(個別銘柄の話ではありません。あくまで市場全体を「反映」する投資信託の話です。)

次に適格商品のラインナップですが、現時点では国内のインデックス型に偏っています。

どう考えても今後縮小する日本市場よりは、拡大する世界市場に投資する方が効率が良く、特に長期で運用するならその視点を持つべきでしょう。

実際、「ある投資信託」の過去の運用データをまとめた資料(以前、弊社のブログで集計したもの)では、以下のようになっており、国内株式は1990年に投資した分が26年経っても―2.9%となっています。

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最近、「日経平均が高値」とニュースになっていますが、人口が減り高齢化も進む日本が、今後もそれを維持し、更に上げることが出来るかは正直なところ疑問です。

今買った投資信託が「20年経ってもマイナス」ということも、あり得るのではないでしょうか?

今すぐに焦って始めなくても、今後、海外株式のインデクッス型や海外REITの「適格」投資信託などが出そろい、かつ「市場に値ごろ感」が出た時に、「つみたてNISA」を本格活用しても良いのではないかと思います。

現時点では老後の資金を作るのであれば、支払った掛け金の全額が所得控除になり節税効果もあるiDeCo(個人型確定拠出年金)を、短期的な株式投資をするなら、個別銘柄も選べるNISAの方が良い気もします。

iDeCoの解説はコチラ

「帯に短し、タスキに長し」

という印象のある「つみたてNISA」

まずは様子見が正解ではないでしょうか?

本日のコラムでした。



 

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10月 25th, 2017 by