「のびのび」vs「ピリピリ」私が聞いた最近の中高一貫校事情


先日、友人と食事をした際、子供の話題になった。

彼の長男は今年の春に難関私立中学に見事に合格、新しい学校での部活動に打ち込んでいるらしい。

しかし、友人は溜息交じりにこう言う。

「いやー、中学入ったら全く勉強せずに、学年でケツから7番ですよ。。。」

神セブンならぬ、ケツセブン。プッ

思わず笑いそうになったが、笑い事ではない。

かく言う私も、中学受験で私立の中高一貫校に入ったが、その瞬間、緊張の糸が切れ一切勉強しなかった。



実際、多くの中高一貫校出身者が、

「本当に勉強しなかった」

と口を揃える。

一昔前、私立一貫校の紹介には、

「のびのびとした環境で」

という謳い文句が定番で、事実、高校受験をしなくても良いので、校内の雰囲気はのんびりしていることが多かった。

しかし、私を含めた多くの中学生はこれを履き違える。

私は自戒の念をこめて

「のびのびの魔法」

とよんでいる。

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中一でそれまでの過酷な勉強生活から開放され、この「のびのびの魔法」にかかると、それは容易には解けない。

私は高校3年の8月までこの魔法から目が覚めなかったし、平均しても高校2年の年末年始くらいまではこの魔法にかかることが知られている。



この魔法がいかに恐ろしいか、自分の実例を交えてご説明しよう。

中学1年になった私は剣道部の活動と友人たちとのエロ談義、そして下校時の買い食いに明け暮れ、それはそれは日々楽しかったが、反面、中学受験で鍛えたはずの脳は凄い勢いで衰えていった。

どれくらい勉強しなかった?と言えば、大文字の「He」と小文字の「he」を中学3年の秋まで「別の単語」だと思っていたくらいだ。

he

今振り返っても我ながら凄い。

得意の数学、理科などはそれなりにやっていたが、国語、社会、英語などの「努力系」においてはひどい有様。

しまいには、

「数学にはルールがあるが、英語は所詮言葉。自然発生したものだから学問ではない

と言い放ち、英語のティーチャー高橋(と皆がよんでいた)に

「じゃあ、俺が教えているのは学問じゃないのか!!」

とビンタされた。

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当時は体罰が許された時代なのだ。

そんな私の成績は常に学年下位に沈み、英語に関しては万年ビリ。

むしろそれを誇りにしていたが、中学三年の2学期期末試験になり、来年には高校生にもなろう者が流石にこれはまずいだろうと辞書を手に取った。

何の気なしに以前から不思議な存在だと感じていた「he」を調べてみたところ、中三にしては一切手垢のついていない真新しい辞書が、

You!!heはHeと同じだぜ!!大文字と小文字の違いさ!!

と言うではないか?!(流石にHe=彼、くらいは知っていた)

「こ、今世紀最大の発見だ。。。」

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と膝から崩れおち、その大発見を親や友人に伝えたところ、母親は呆れ、友人は「お前、やばいな。。。」とドン引きしていたが、ティーチャー高橋だけは、

「加藤・・・よくぞ気づいた・・・」

と、その目に涙を浮かべ喜んでくれた。




このように常識では考えられないほど「超ド級」に勉強しないことが許される環境。それが中高一貫校なのだ。

とは言え、その後も私の英語嫌いは徹底していて、高校3年の8月に、

「受動態の発見(by 〇〇)」

という偉業を成し遂げるのだが、その時の話は誌面の関係で割愛する。

と、いうことで高校3年になって初めて本腰を入れて勉強し始めた。

ラッキーなことに私は英語だけを「突出して」やらなかったので、それだけを強化し、何とか現役で大学に進めたが、私の友人で「万遍なくやってない」奴らは、そのほとんどが浪人した。

金かかり 親も大変 中学受験

ようやく掴んだ一貫校

6年後にはバカ誕生 浪人 予備校 親 涙

多くの親の気持ちを詩に詠めばこんな感じになる。

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しかし、このような事情は当事者である学校側が一番認識していて、最近では

「のびのびさせない」

ということを打ち出し、入学してからすぐに猛烈な勉強を強いる「ピリピリ系」も多いらしい。

仕事柄、多くのご家庭の話を伺う印象では最近は「ピリピリ系」に進む子が多い。

きっと親が我々世代で、「のびのび系」の弊害に気づいているのだろう。

ある「ピリピリ系」では、年間4回の試験の結果で所属するクラス(教科の一部)が変わる「入れ替え制」が導入され、生徒同士の競争が促されているそう。

まるでどこかの大企業の四半期ごとのノルマのような話で、高校ならいざ知らず中学からそれでは少々気の毒な気もする。

が、少しでも油断すれば私のようになることも事実。

 

人間は怠け者。

子供だろうが、大人だろうが、追い立てられないとやらない。ということか。。。。

本日のコラムでした。



 

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11月 10th, 2017 by