「見せかけ富裕層」と「実は富裕層」 意外と知らない富裕層の定義


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富裕層と聞くと単純に派手な生活をしている「お金持ち」という印象ですが、実はファイナンシャルプランニング(以下、FP)の観点では少々違います。

本日は多くの方が誤解している「富裕層の定義」についてご説明します。

まず初めに重要なポイントは「資産」と「負債」のバランスです。

ここでは、分かりやすく両極端なAさんとBさん、それぞれのご家庭を比較してみます。



Aさんの状況は以下の通り。

・夫婦とも上場企業勤務

・世帯年収は1800万円(夫1100万円、妻700万円)

・お子さんは二人。二人とも有名私立校に通う

・高級住宅地と言われる地域に持ち家の一軒家と外車

傍からみれば「良い生活」をしていて、一般的には富裕層と言えるでしょう。

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まずは「資産」を見てみます。

・家 10年前に8,000万円で購入 現在の価値(販売値)は約5,500万円

・車 4年前に700万円で購入 現在の価値(販売値)は約400万円

・預金/株/保険 約 800万円

資産合計 6,700万円

それに対し、「負債」はどうでしょうか?

・家のローン残額 6,500万円

・車のローン残額 400万円

負債合計 6,900万円

これを見ると、資産から負債を除いた「純資産」はマイナス200万円であることが分かります。

このご家庭の場合、もし全てを清算しても、借金しか残らす、少々厳しい言い方ですが、

「借金が良い生活を支えている」

とも言えます。

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それに対し、次はBさんのケースを見てみます。

・夫婦共働ぎで世帯年収は約700万円

・お子さんは二人とも公立校

・家 賃貸 8万円/月

・車 中古150万円を現金一括購入

・若い頃から堅実に貯蓄と投資を行い、約2,600万円の金融資産を保有

このご家庭の場合、資産と負債は以下のようになります。

資産

・車 現在の価値(販売値) 約50万円

・預金/株/保険 約 2,600万円

資産合計 2,650万円

負債

・なし

この場合、純資産は2,650万円となり、大幅なプラスです。

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次に重要なのは、年間の収支です。



要は、年間の収入のうち

「どれくらい使っているか?(生活費)」

「どれくらい貯めているか?(貯蓄)」

ということです。

Aさんのご家庭では、収入は高くてもそれに伴い税金や社会保険料も高いため、手取りは大幅に減ります。

更に家、車のローン、お子様の学費、と出費が多いため、

「ほとんど貯金できない」

ということも少なくなりません。



それに比べBさんのご家庭では、湧い頃から貯蓄癖があるので、生活費が550万円、貯蓄は年間150万円しています。

FP的な観点で言えば、前述の「純資産」と「年間の生活費」の対比が重要なのです。

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Aさんは、そもそも純資産がマイナスであり、更には生活費も高いため、もし火急の事態が起これば、すぐに生活は破綻します。

しかし、Bさんは年間の生活費が550万円、純資産が2,650万円ですから、計算上は

「何もしなくても約5年は生活できる」

ということになります。

資産から負債を引いた「純資産」が「年間生活費」の5倍以上

実はこれが「富裕層」の定義です。



少々極端な比較ですが、見た目には良い生活をしているAさんより、全く派手ではないBさんの方が、はるかに富裕層ということになります。

年収が数億円あっても引退してからすぐに破産してしまうプロスポーツ選手や、ヒットが出なくなった途端に困窮するようなミュージシャンは実は富裕層でも何でもないということです。

FPの現場では、AさんもBさんも大勢います。

大企業で出世頭、肩で風を切って歩いている方が実はAさん。社内では一見パッとしないが自分の仕事を堅実にこなす方が「隠れ富裕層」のBさん。こんなことは良くあります。

人は見かけにはよらない

多くのご家庭の家計を見てきた私は、今更ながらそう思うのです。



 

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7月 27th, 2017 by