「非婚の母」 税金と保険と


暦通り出社の弊社は、連休のはざまに2日ほど仕事がある。

何だかイマイチやる気もせず、ボケっとYahooニュースを見ていると、こんなニュースに目がとまった。

「同じシングルマザーなのに・・・・『非婚の母』に冷たい税制」

出産してから離婚したシングルマザーは、

「寡婦控除 27万円(所得から27万円を控除して税金を計算)」

が受けられるの対し、結婚せずに出産した「非婚」シングルマザーはそれがない。というもの。そう言われれば確かにそうだ。

更には厚労省の調査では離婚を経た母子家庭より、非婚家庭の方が年間の所得平均が23万円低いとのこと。

そこにこの税制の「矛盾」が追い打ちをかける。

「シングルマザー」である状況は同じ。しかも経済的には「非婚の母」の方がやや悪いのに、何故税制が違うのか?と問いかけるものだった。



これに対して、ヤフコメでは、

「結婚せずに子供を産むということはそういうこと」

など、やや冷たい意見が目立つ。

gahag-0078059262-1

どの立場で物を言っているのか分からないヤフコメなどは何の参考にもならないのだが、とは言え世の中の意見の一面でもある。

正直なところ「子供が出来たのに結婚しない」というのは、日本の価値観ではなかなか理解を得られない。

実際、自分の娘が将来、

「子供を産む。相手とは結婚しない。」

と言われれば、私としても困惑してしまうだろう。

この辺は文化の話なので、

「未婚出産が一般的なフランスのように」

と言ったところで一筋縄ではいかない。

gahag-0118094304-1

と、ここで私の本業の保険の話になるが「非婚の母」のお客様が何人かいらっしゃる。



このような場合、保険の検討に対しては真剣そのもので、決断も驚くほど早い。

万が一の時に、最も力になってくれるであろう配偶者がいないのだから、

「子供を守るのは自分しかいない」

という考えは容易に想像出来るが、お話を伺うとそれだけではなく、何となく「社会の厳しさ」を痛感しての「覚悟」を感じる。

ある「母」から聞いた話だが、出産にあたって、

「誰の子供だか分からない」

という心ない言葉を、親や親せき、職場の先輩から何度も聞いたとおっしゃっていた。

「私の子に決まってる」

そう言い返すと、相手もバツが悪そうな顔をして黙ってしまうそうで、その場面を想像するだけで痛快ではあるが、誰よりも自分が一番不安な中でそんなやり取りをするのは精神的にはキツいだろう。gahag-0119162907-1

結果、親と絶縁になってしまったとか、退職を余儀なくされた、などなどデメリットを挙げればキリがなく、「社会の常識」に抗うのはそれなりに厳しいということ。

と、こんな話をすると「相手の男は何してるんだ?」、「不倫?」、「しょうもない男だな」などなど、想像に羽が生えてしまうが、お客様も話さないし、もちろん私も聞かない。

そのような「母」たちから依頼されているのは、毎月の保険料を頂いて、いざという時に大きなお金を支払う。という保険本来の「契約」であり、誠にさばさばしたものである。

「親や友人より、よっぽどあてになる」

お客様からそう言われ、生命保険の合理性を改めて教えてもらった思いがした。

210_1



子供がいて、頑張っているお母さんがいる。そして、ちょっと困っている。

そこに至る「過程」が違うだけで、税制が違うのもおかしな話だと思う。

冒頭の「未婚出産、自己責任論」のようなヤフコメ的な考えが、政治家にも行政にも根強くあるのかもしれないが、憲法を変えるよりは簡単だろうから、さっさと改正して頂ければと思う。

と、こんな偉そうなことを言ってる私こそ「どんな立場だ」という話なのだが・・・・

unnamed

ここまで書いて思い出したが、そう言えば私の父方の祖母も「未婚の母」だった。

祖母は、女手一人で父たち姉弟を育て上げたが、「お祖父ちゃん」は、反政府活動をしていて特高(特別高等警察)に追われていたとか、いやいや画家だったとか、諸説あり、今となっては結婚しなかった真相は分からないが、まあダメンズだったのだろう。

とは言え、その瞬間「非婚」は大事件だったのかもしれないが、孫の代になれば大した話でもない。

そして、そのおかげで父が生まれ、その子である今の私がいる。

更には私の子供たちもいて、血脈は脈々と続いていく。そして税金や社会保険料などの「国への上納金」も続いていく。

要は子供がいれば、将来はそこから搾取できるのだから、特に少子高齢化に苦しむこの国は子供を大事にするべきだろう。

この点からも、離婚と非婚での「差別」はおかしい。そう言いたい本日のコラムでした。



 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします


5月 2nd, 2018 by