ガン治療とお金 保険は役に立つのか? インタビュー後編


前回(リンクはコチラ)に引き続きインタビューをお送り致します。

みかづきナビ 加藤:ガンになってしまった方が考えること。主に「精神的」な面について伺ってきましたが、実際治療に入ると、今度は「肉体的」に辛い現実があると思います。

大久保淳一さん(以下、大久保):ええ。手術もさることながら、抗がん剤を使った化学療法は本当に辛いですね。

加藤:変な質問ですが、それは今までの人生で経験のないような辛さですか?

大久保:うーん、そうですね。はい、ないですね。

なかなか上手く例えられないのですが、人生で一番辛い二日酔いってあるじゃないですか?あの時は辛かったなぁ。。。っていう。その状態で遊園地のバイキングに5,6時間揺られている感じです。

「降ろしてくれ!!」

って叫んでも降りられない。

でもこの例えでも生ぬるく感じるくらいで、実際は「これの十乗」っていうくらいです。

加藤:想像するだけで気持ち悪いですね。。。。

大久保:しかも抗がん剤っていうのは、体内に入れた瞬間に自分の体でなくなるような感覚があるんです。熱もどんどん上がりますからね。体の上から何かの大きな塊を背負わされて、気持ち悪くて、バイキングに揺られている。

加藤:そんな辛い治療をやりきるために、ご本の中で病室に色々な言葉や写真を貼って「自分を鼓舞する」(下記、写真)、というお話がありました。

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大久保:ええ。やっぱりギリギリの状態ですからね。自分を奮い立たせる言葉が必要だったんです。

それに囲まれて「自分の城」を強くしないと戦えない。そう思ってたんです。

加藤:なるほど。私も経験があります。たかだか仕事の話ですが、前職で本当に辛かった時に本や先輩の言葉を書き留めた手帳をいつも見てました。

どうにもならない時に救いになる言葉が人それぞれありのかもしれませんね。

大久保:まさしくその通りだと思います。

また辛い治療に耐えるためには、自分の考え方を変えることも大事だと感じました。

抗がん剤も「嫌だ」「辛い」ではなく「ガンをやっつけてくれている」「ありがたい」と考え直すことにしたんです。

そうなると、辛い時ほど「効いてるなぁ」って感じるんですよ。

加藤:究極の発想の転換ですね(笑)

大久保:そうなんです。

加藤:ちなみに大久保さんの場合は手術から抗がん剤という非常にスタンダードな治療法ですが、今は色々な方法があります。「選択肢が多すぎて知識のない患者さんに決めろというのは無理」という意見もありますが?

大久保:はい。自分が経験して思うのは「正当な治療から逃げない方が良い」ってことです。

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注:抗がん剤治療中のお写真

加藤:逃げない、ですか?

大久保:ええ。ガンの場合、色々な治療法があって保険の対象になっているもの、いないもの。玉石混合な状態です。

とは言え、治療方法には長い歴史とデータの裏づけがあって「この症状の時にはこの薬」みたいな教科書通りの治療があるんです。私の場合は抗がん剤です。

周りからも色々な情報が入ってきますし、悩む気持ちも分かります。しかし基本的な治療を避けて、例えば抗がん剤が辛いからと言って、他の治療法を選ぶのはどうかと思います。

加藤:まずはセオリー通りにやってみるべき、ということですね。

大久保:そうですね。あまり寄り道しない方が良いと思います。それで効果がないなら、他の方法を試せば良いのですから。

加藤:ここで少しお金のことについてお伺いしたいのですが

大久保:はい

加藤:治療の収支というのは、どうだったのでしょうか?

大久保:はい、聞かれると思って調べてきたのですが、メモを見返すと治療にかかったお金が678万円です。

加藤:えっ!そんなにかかったのですか?高額療養費制度を使ってもですか?

大久保:はい。私の場合、10ヶ月間ほとんど個室に入れてもらいました。なので、結構な金額になりました。

しかし、運良くというか、生保の担当の方に言われるがままというか(笑)保険に何本か入っていたので、保険の給付金から791万円を受け取らさせていただきました。

注:大久保さんはガン保険、ガン診断保険など、3つの保険に加入していたそうです。

まず始めに「ガンと診断された時」に500万円の一時金が出るタイプの保険だったのです。

これは大きかったですね。なので、お金の心配をせずに個室に入るという決断が出来ました。

加藤:では保険が治療に役に立ったわけですね。

大久保:むちゃくちゃ役に立ちましたね。

病気してる時は収入を増やすことが出来ない。減らす一方です。不安なんですよね。
やっぱり経済的な不安があると元気も出ません。

そんな時に大きな保障を提供してくれることには感謝しかありません。

加藤:それこそが保険の意義ですね。

大久保:でもね。加藤さん。いつもは連絡を貰ってばかりの外務員の方に、こちらから連絡しないといけないのって、ちょっと後ろめたい気持ちもあるんですよ。

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加藤:そうなんですか?

大久保:ええ、だって新しい契約を作ることに頑張ってるのに、面倒な作業で嫌がるんだろうなぁ。って。意外と気にするんです。

加藤:実際はどうでしたか?

大久保:そんなことは全然なくて、皆さんしっかりやってくれました。

治療中は良いことなんかほとんどありませんけど、お願いした書類が届いた。その申請が通って給付金が振り込まれた。そんなことが数少ない良いニュースの一つなんですよ。

加藤:そう感じるんですか。

大久保:ええ。真っ暗闇の中で光がさす。本当にそう感じます。

加藤:変な言い方ですが、実は我々もお支払い出来るのっていうのは嬉しいんですよ。

普段、保険屋ってやっぱり嫌われる。でもお客様に逆風が吹いている時に何かしら力になれるのは「自分の仕事には意義がある」って感じれる時でもあるのです。

もちろんお客様には何もないのに越したことはないのですが、残念ながら亡くなったり、病気になられたりします。

私の周りの保険のセールスも普段は適当なヤツが多いですが、支払いの時だけは1円でも多くお支払いしたいと思っている人間ばかりです。

大久保:そうだと思いますね。私の担当者も本当にしっかりやって下さいました。

だから若い人から「保険って入った方が良いですか?」って聞かれると、「絶対入りなさい」「嫌になったら解約すれば良いんだから」って説明してます。

加藤:大久保さんが保険のセールスしたら売れそうですね。

大久保:ある保険会社で講演した時にも同じこと言われました(笑)

ちょっと大げさかもしれませんが、ガンになった私からすると保険の仕事をされている方は全員ヒーローですよ。
本当に社会性の高いお仕事だと思ってます。

加藤:ヒーローですか(笑)真正面から言われると照れますね。そして僕は絶対ヒーローじゃない(笑)

大久保:まあ、保険のお仕事は大変でしょうから皆さんご謙遜されますが、やっぱり困った時に助けてくれる、っていうのは何事にも代えがないほどありがたいものです。それだけはお伝えしたいですね。

加藤:ありがとうございます。励みになります。

大久保:どん底の時って「大丈夫だよ」って言って欲しいんですよね。ただそれだけなんです。

一人でも多くの人に「あいつは大丈夫」そう思って欲しい。

保険はお金という面で「大丈夫だよ」って言ってくれる気がして心強かったです。

加藤:なるほど。大久保さんのアドバイスも常にそのスタンスですよね?

ご活動の5years.org(リンクはコチラ)の掲示板でも、色々な相談事がありますが、大久保さんの言葉の根底にあるのは、「大丈夫。絶対治りますよ」っていうことです。

大久保:はい。私は医者でもなんでもありませんけどね。

「何を根拠に言ってるんだ?」と文句を言われたら「僕が絶対治ると信じて何か悪いのか?」という気持ちで言ってます。

幸い今まで文句言われたことはありませんが、「どんな難しい病気だって治る。初めて治った人があなたでいて欲しい」そう思って「大丈夫」と言っています。

加藤:患者さんからしたらありがたいですよね。

大久保:お医者さんはもちろん、誰も言ってくれませんからね。僕でよければお安い御用です。

加藤:ガンを経験し克服した方だからこそ、更に力強く感じると思います。

本日はガンという病気について、本当に貴重なお話を伺わせて頂きました。また生命保険という仕事に対しても大きなエールを頂いた気分です。

大久保:いえいえ。本当に思っていることをお話しただけです。

でも、ガンで苦しんでいる人は日本全国に何十万人もいらっしゃいます。
加藤さんは保障で、私はガン患者のサポートで、困ってる人に寄り添っていければと思っています。

加藤:はい。自分の仕事で出来ることを頑張りたいと思います。今日はありがとうございました。

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最後に。。。。

今回はあるご縁で大久保淳一さんにお会いして、とても有意義なインタビューをさせて頂きました。
インタビュー時間も2時間近くになり、残念ながら全てを原稿にすることは出来ませんでした。

大久保さんは文字通り「死線をかいくぐってきた」方です。
そのご経験からくる人生観には一貫して「生かされている感謝」というものがあるように感じました。

現在のNPOの活動についても、色々とご苦労されていらっしゃるようです。

「投資銀行にいればいいじゃん。給料も高いんだろうし」というのが大方の意見だと思いますが、大久保さんは「これは私の使命です。」とキッパリとおっしゃいます。

自分の使命はなんだろう?本当にやりたいことって?

インタビューを終え漠然と思い、大久保さんを羨ましく感じました。

まだ時間がある。まだ若い。そう思い、もう40歳。人生もビジネスマンとしても折り返しです。

いつか使命が降りてくるのか?

でもそれに気付くために、生きる死ぬの大病なんてしたくないしなぁ~ だったら、まあいいか。。。。

結局、目の前の仕事に全身全霊で取り組むしかない。そこから見えるものもある。

と甘っちょろいことを思い原稿を締めさせて頂きます。
大久保さん、本当にありがとうございました!!

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10月 29th, 2015 by