コカイン最新事情と生命保険


ピエール瀧さんが捕まった。

音楽に詳しい人に言わせれば、

「テクノ、ハウスとドラッグはセット」

とのことで、海外ではその手のイベントで演者も客もドラッグを使って盛り上がるそう。
(全員が全員そうだというわけでもないだろうが)

特に一気にハイになれるコカインは「パーティドラッグ」として人気があるらしく、このような背景を考えるとピエール瀧さんも若い頃から常習していたのかもしれない。

最近、違法薬物で逮捕される有名人が後をたたない。

当然ながらキャリアに大きな傷が付き、更には売れっ子であればあるほど高額な損害賠償が待っているため、その代償は大きい。



しかしながら「捕まってラッキーだった」とも言える。

一部合法化されている大麻と違い、コカインは過剰に摂取すれば死に至ることもあるからだ。

以前、アメリカで薬の開発経験もある友人から聞いた話だが、ここ数年、コカインでの死亡者数が急激に増加しているそう。

麻薬大国のアメリカでは年間6万人以上のオーバードーズ(過剰摂取)での死亡者が出ていて、その中でコカインを原因とする死亡者は例年5,000人程度で推移していたのだが、2015年から2017年の2年間でその数が1万人に倍増している。

その理由が「フェンタニル」である。

聞きなれない単語だが、この10年でヘロイン、覚せい剤から麻薬市場の主役の座を奪った「鎮静剤」で、れっきとした医薬品でもある。

日本でも認可されていて、モルヒネの50倍の効果があるため、末期がん患者の痛み緩和などに使われているのだが、これを違法に合成したものが「チャイナホワイト」という名前で流通している。

2016年に亡くなったミュージシャンのプリンスの死因もこのチャイナホワイトだった。

なお、これ単体で使用することも出来るが「他の薬」と併用することでより効果が高まるため、最近ではコカインに少量のフェンタニルを調合し「水増し」したものが流行しているらしい。

コカインだと思って吸引したらフェンタニルの方が効いてしまい自発呼吸が止まる。ということが頻発している。それが死亡者数が5,000人から1万人になった理由とのことだ。



違法薬物であるから、身体に悪いのは当たり前だが、最近のコカインは「別格」に危険ということだろう。

さて、では仮にコカインで亡くなった場合、保険金は支払われるのだろうか?

答えは、

多分、払う。しかし、場合によっては払わない

という微妙なものとなる。

そもそもよほどの大事件にでもならない限り、死因が「薬物による死亡」であることは保険会社には把握できない。

医師も世間体に配慮し、死亡診断書に「オーバードーズ(過剰摂取)による死亡」とは書かず、心臓なり、脳なり、直接の死因になった事項を書くだろうから、それを提出されれば保険会社も分からない。

しかし、何かしらの事情でそのことを把握した場合、「緩慢な自殺」と判断される可能性はある。

保険会社には自殺免責というものがあり、保険加入後1年から3年程度(保険会社によって違う)は自殺では保険金が支払われないので、この期間中にオーバードーズで死亡すれば、理論上、保険会社は支払いを拒否することが出来る。



一方、死亡と同じ保険金が受け取れる「高度障害(寝たきり、下半身不随など)」になった時は少々異なる。

例えばハイになり過ぎて高いところから飛び降りた、などで体に重度の障害を負った場合などは

「過大な過失」

と見なされて支払を拒否される可能性がある。あくまで肌感覚だが、こちらの方は意外と強硬に支払いを拒む気がする。

死亡した場合、保険金支払いを拒否すれば遺族の生活が困窮するが、高度障害では薬物中毒者が自分で自分の体を傷つけておいて、その本人が高額な保険金を受け取ることになる。

結果、その金で薬物三昧の生活を送られてしまえば社会通念上許されない。

また、薬物中毒になれば冷静な判断が出来ないので、お金欲しさに「わざと」高度障害になる人が出てくる事態も招きかねず、悪しき前例を作らないためにも支払いを拒むだろう。

さて、件のピエール瀧さん。

個人的にとても好きな俳優で、数年前に主演されていた「64(横山秀夫さん原作)」はその後映画化された佐藤浩市さん版より良かった。

また、娘の大好きなアナ雪のオラフ役など「ピエール瀧でないと」というものも多い。

だからこそ朝起きてニュースを見た時はとても驚いたし、残念だった。

なかなか前途は厳しいと思うが、しっかりとリハビリして、また存在感のある演技を見せて欲しい。本当にそう願っている。

本日のコラムでした。



 

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3月 14th, 2019 by