サッカー スーパースター選手の税金、節税事情


いよいよ佳境を迎えたワールドカップ。

俄かファンではあるものの、トッププレイヤー同士が国の威信を賭けて戦う姿には興奮せずにいれない。

が、私は保険屋。

日ごろ、他人様の命に値段をつけているような仕事をしているのだがら、サッカー選手を見ていても

「こいつ、いくら貰ってるのか?」

などと下世話なことが気になる。

我ながら嫌になる金まみれの人生である。

で、全世界のサッカー選手の「市場価値」を発表しているドイツのサイトを見つけた。

トップ5は以下の通り。

 

1位 ネイマール(26歳 ブラジル) 234億円

1位 リオネル・メッシ(31歳 アルゼンチン) 234億円

3位 モハメド・サラー(26歳 エジプト)195億円

3位 ハリー・ケイン(24歳 イングランド)195億円

5位 ケヴィン・デ・ブライネ(27歳 ベルギー)195億円

 

ネイマールとメッシ以外知らないのが、「俄か」の悲しいところである。

しかし、これはあくまで「市場価値」なので、実際の年棒とは違う。

で、実際の年棒(クラブからの給与のみ)ランキングは以下の通り。

 

1位 リオネル・メッシ(バルセロナ) 60億円

2位 ネイマール(パリサンジェルマン) 47億円

3位 オスカル(上海上港) 32億円

4位 エセキエル・イバン・ラベッシ(河北華夏) 30億円

5位 クリスティアーノ・ロナウド(レアルマドリード)28億円



年俸数十億円。

「はぁ」とため息しか出ないが、次に気になるのは「税金」そして「節税」だ。

もはや職業病としか言いようがない・・・

 

なお、海外のサッカー選手の税金は「クラブ持ち」が原則になっていて、上記の年棒は「手取り」である。

例えばFCバルセロナがあるスペインの所得税の最高税率は43%。

メッシの給料が60億円であれば、そこに約26億円の税金がかかる。つまりクラブ側は合計86億円をメッシのために負担する必要がある。

ヨーロッパ圏内の所得税はだいたいどこも40~50%程度なので、ネイマールやクリロナも同じような考え方であり、実際の給与の約1.5倍程度のコストがかかっている。

中国の所得税も最高で45%とヨーロッパとほぼ同じなので同様のことが言えるが、逆に異様に税率が低い国がある。

代表的なのがロシア。税率は一律13%で年収に関係なく13%で済む。

その究極的なチームがASモナコ。

フランスリーグに参加しているが、本拠地はモナコで、そしてモナコは無税。所得税そのものがない。

例えばある選手に対する予算が50億円だとすると、他の国のクラブは諸々の経費を考慮して35億円のオファーしか出せないが、ASモナコであれば「とっぱらい」で50億円のオファーが出せるということになり、その分有利に選手を集められる。

それがASモナコが強豪である理由でもあるらしい。



と、こんな大金渦巻くサッカー業界だが、こんな高い報酬を得ていても「節税」はしたいらしく、それに関する脱税事件が後を絶たない。昨年、今年だけでも、メッシ、ネイマール、クリロナが脱税で有罪判決を受けている。

前述の通り、給与には課税されないが、スポンサー契約や肖像権に関する収入は別で、もちろん課税対象となる。前述の3人クラスになれば年収は100億円を超え、クラブからの給与より「それ以外」の方が多いのである。

これらの節税のためにタックスヘブンが利用される。

自身の肖像権をそれらの国の企業(自分や親族がオーナー)に移し、税金を逃れるという手法で、実際には悪い弁護士や会計士がこのスキームを運用している。

メッシにおいては数年前に暴露されたパナマ文書にも登場しており、当時話題になったので覚えていらっしゃる方も多いだろう。

メッシやクリロナは、これを否認されて脱税で告発された。



ネイマールの場合はもっと単純で、ブラジルのサントスからFCバルセロナに移った際の移籍金を「ちょろまかした」というもの。

実際の金額より「少ない金額」を公表し、裏ではその差額を親族が経営するペーパーカンパニーに出資金や融資という形で受け取っている。

契約金であれば課税されるが、出資金や融資であれば課税されない。

それらのお金は色々な方法で会社から「抜かれ」、最後に会社は精算されるのだろう。

もちろん資金が「回収不能」になることはクラブ側も了承していること。

このカラクリは、ブラジルのDISというファンドによって見抜かれて告発される。

DISはわずか17歳のネイマールを見て「非凡」と判断し、その頃から経済的な援助を申し出ている。その代わり

「将来、プロになって契約金が発生した時は、その40%をファンドが受け取る」

という契約を交わし、当然、バルセロナへの移籍金はその対象となるが、それを過少申告したものだから、DIS側が当局に告発する事態となった。

これは脱税どころではなく「詐欺」である。

そのため、前述のメッシ、クリロナとはレベルが違う。

少年のような顔をして、やっていることは意外とエグい。

こんな「小ズルい」印象もある上、フィールド上で過剰な演技をするものだから「ネイマールねぇ・・・」と思う方が多いのかもしれない。



また、これらの不正が告発されたはの全てスペイン。

メッシ、ネイマールはFCバルセロナ。クリロナはレアルで両チームともスペインリーグの強豪である。

同じような方法で「節税」している選手は世界中にいくらでもいるだろうが、何故にスペインだけが厳しいのか?

それは「若者の失業率50%」という状況で、財政難にあえぐスペイン当局が「有名サッカー選手」に的を絞って調査を行っているからで、実際に3選手とも数億円の罰金を支払っている。要は国がやっているカツアゲのようなものだ。

ネイマールはパリ・サンジェルマンに、クリロナもイタリアのユヴェントスに、それぞれ移籍が発表されたが、その理由に「スペイン、もう嫌だよ・・・」ということがあったのではないか?

そう勝手に推測する。

これだけ金あるんだから税金くらい払え!!

そう思うかもしれないが、一度手にした物は手放したくないのが人情。

それは貧乏人でも金持ちでも同じなのである。

本日のコラムでした。


 

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7月 12th, 2018 by