保険で節税のウソ・ホント


会社の節税で王道とも言えるのが「生命保険」です。

会社名義で経営者や従業員を保険に加入すると保険料の全額や1/2が経費として認められるため、多くの企業で採用されています。

メリットをあげると

・経営者、従業員に万が一の時(死亡、高度障害、介護状態)保険金を受け取れる(保険機能)

・お金が貯まる(内部留保機能)

・保険料が経費になり、利益が圧縮できる(節税機能)

主にこの3つです。

本日は節税機能に絞って、法人保険のウソ・ホントに本音でお答え致します。



疑問1 結局、ただの繰り延べではないか?

九割がたその通りです。

下記の例(1/2損金の逓増定期 5年目に返戻率100%とする)の場合、解約時には資産計上分を除いた部分が「雑収入」となり、法人税が課税されます。

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つまり、解約時に何もしなければただの繰り延べになります。

これらに保険業界からの提案は、以下のようなものです。

・解約金は役員の退職金や事業の投資に充てる。その損金と相殺すれば良い。

・法人税は減税傾向にあるので5年後の方が税率が低いかもしれない。

・税金は一度支払ったら戻ってこない。結果的には繰り延べに過ぎないかもしれないが、ストックしておいた方が良い(最も使われるトーク)

結局のところ、

・解約時に使い道(新たに損金としてぶつけられるもの)があるか?

・特にないが、とりあえずストックしておくか?

という二択になりがちです。

また、「税の繰り延べ」と割り切って加入するにしても、単純返戻率(いくら支払って、いくら戻ってくるか?)が100%に近いものでないと「保険で損して、更に税金も取られる」という状態になりかねません。



疑問2 結局のところ節税になるの?

疑問1と同じような回答になってしまいますが、保険料を支払っている間は間違いなく節税になります。

しかし、解約時に何の対策もなければ、その時に課税され、ただの繰り延べです。

最終的に節税になるか、ならないかは「いつ、何に使うために貯めるのか?」ということが分かれ目です。

最もスタンダードな利用方法は退職金用の積立ですが、他にも設備の入れ替え、店舗の改装、保有不動産の修繕、など、貯めたお金の利用目的が明確になっている方が望ましいです。

参考:保険による退職金積立のメリットはコチラ



疑問3 単純返戻率と実質返戻率、どちらを参考にするべき?

単純返戻率は「いくら支払って、いくら戻ってくるのか?」という「単純」な計算です。

トータル1,000万円支払って、1,000万円戻ってくるなら100%です。

それに対し、実質返戻率は「税効果」を考慮した数値です。

「保険に入らず納税して残ったお金を貯めた場合」と「保険で貯めた場合」を比較したものですが、この数値は保険の解約時の課税が考慮されていません。(疑問1参照)

したがって複数の保険商品の「節税の性能」を比較する上では参考にはなりますが、この率でお金が戻ってくるわけではありません。

将来、丸々資金が手元に残るわけではない、ということは重々理解するべきです。

個人的には「単純返戻率を重視し、実質返戻率は参考程度」ということをお勧めします。



疑問4 全額損金と1/2損金はどちらが良いの?

大変難しい質問です。

全額損金は保険料の全額が経費として処理できますが、将来の返戻率は30歳前半くらいまでの方で90%程度。年齢が上がると80%程度です。

つまり支払った保険料の10~20%は損をしていることになります。

「それでも法人税30%よりは良い」と考える方もいますが、今まで述べてきたように解約時には法人税が課税されますので、その点は絶対に考慮しなくてはいけません。

明確に「これに使う」という目的があれば良いですが、「何となく」ということで導入すると、将来「損した上に課税される」ということになります。

対して1/2損金の商品は、年齢が50歳くらいまでなら単純返戻率が100%近くまで伸びる商品があるため、全額損金のようなリスクは低いです。

しかし、経費として認められるのは保険料の半分です。

どちらが良いかは会社の状況や用途による、としか言いようがありませんが、無難なのは返戻率が高い1/2損金。「大幅な利益」「明確な用途」という事情に適合すれば全額損金も良い。という感じです。

皆さんが疑問に思う代表的なご質問に回答させて頂きました。

今回は節税機能にフォーカスしてお話致しましたが、節税だけでなく、保険本来の機能である「保障」。そして「内部留保」。この3点を総合的に検討して、商品を選ぶ必要があります。

お悩みの方は是非みかづきナビまでご連絡下さい。

都合の良いことだけでなく、都合の悪い話も包み隠さずご説明致します。

こちらのフォームからお問い合わせいただけます。(リンク)



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2月 20th, 2016 by