外資系に伝わる人との距離感を縮めるための「セナ理論」


営業はコミュニケーションスキルが必要。

そしてそのコミュニケーションの重要なファクターに

「距離感」

がある。

当然ながら初めて会う相手とは距離があり、何回か会えば距離は縮まる。

もちろん人同士の相性が大きいが、営業としてはどんな相手ともそれなりに仲良くなることは大事なスキルであり、更に言えばそれを短時間で構築できれば尚良い。

かと言って、初対面に人にいきなり馴れ馴れしい態度を取ったからと言って距離感が縮まるわけではない。むしろ嫌われるだけだ。

始めはキチンとした態度で、そして徐々に親しみを込めた言動にうつっていく。



例を挙げれば、マッサージにおける「人間の痛みの感じ方」がわかりやすい。

お客様である整体師に聞いた話だが、人間の身体が「気持ち良い」と感じるか「痛い!!」と感じるかには、以下のようなプロセスがあるらしい。

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整体師やマッサージ師は、常にこれを意識して相手の身体に触るそうだ。

もちろん、どこまでが気持ち良くて、どこからが痛いかは人による。

経験上「ここまではまず大丈夫だろう」というところからスタートして、少しづつ力を強めていく。相手が「痛い!!」と感じているようなら、そのちょっと手前で止めるという具合だ。

「距離感」のコミュニケーションにも同じことが言える。

くすぐったい = 杓子定規な態度

気持ち良い  = 親しみのある態度

痛気持ち良い = やや馴れ馴れしい

痛い!!   = 失礼

こんな分類になるだろう。

とは言え、どのような言葉、態度であれば「親しみ」なのか「馴れ馴れしい」のかは、相手との関係性と、こちらのキャラクターにもよるので一概には言えないのが難しい。

ところで、話が前後するがマッサージにおいて目指すところは「痛気持ち良い」という領域だそうだ。

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実はセールスにおいても、同様のことを言う営業マンが多い。

失礼まで行かない、ちょっと馴れ馴れしいくらいが相手は一番気持ちよい

特に社長さんや先生と呼ばれる人たちは、普段から周りがへりくだった態度で接してくるので、逆に少し生意気、ちょっと馴れ馴れしい、くらいが良いそうだ。

これも例え話だが、夜の商売の「ママさん」と呼ばれる人たちのお客さんに対する態度がちょうどこれにあたる。

横から聞いていると意外と大胆なことを言っていても、笑って許されている。

もちろん女性だから、酒の席だから、というのもあるが、とは言え彼女達のようなプロは絶対に「失礼」の領域までは入らないのである。

腕のある営業マンも同様で、このあたりの「かゆいところ」を責めて距離感を縮める。

そして題名にも挙げたアイルトン・セナである。

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「セナが初めて走るサーキットでまず何をやるか知っているか?」

ある凄腕の先輩がこう言った。

「そのサーキットで一番難しいと思ったコーナーでわざと『スピン』するんだ。」

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「スピンするかしないか、そのギリギリを攻めないと良いタイムは出ない。だから練習でそのコーナーの『限界』を体感する。」

そうして、話はこう続く

「人間関係も同様。相手が『失礼だろ!!』と怒る限界ギリギリに『気持ち良い』と感じるエリアがある。それを目指して人間関係を構築しろ!!」

そう言われた。

大変ウンチクのある話で、以後、この「セナ理論」は行動指針の一つとなった。



が、私は運転が下手なのかよく「スピン」する。

つまりは、馴れ馴れしいを優に超え「失礼」の世界に。

更には「スピードの向こう側」ならぬ「失礼の向こう側」まで踏み出しマシンは大破。ドライバーの私も瀕死の重傷を負ったりするから始末が悪い。

覚えているだけでも過去3回は死にかけた。

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思えばセナもサーキットでその命を散らしているではないか。

「セナ理論」は本当に優秀な奴でないと実践出来ないし、それでもその多くの最後は悲劇的なのである。

ここ数年はそう感じ、命を削ってまでコーナーを攻めることはなくなった。

とは言え、一般の人からすればまだまだ「猛スピード」で突っ込んでいく。

時に「人の気持ちに土足で踏み込む」と評される私だが、当たり障りのない表面的な話だけではお客様のリスクや問題の本質は掴めない。

「生命保険」という商売は時に触れて欲しくない相手の「柔らかい部分」に肉迫せざるを得ない。そう思う。

それでもスピンしなくなったのは、良い意味で限界を知っているからで、これも昔の大事故がなければ分からないこと。

大枠ではセナ理論が活きている、とも言えるのである。

距離感を縮め、人間関係を作っていく。

相手の領域に入っていけば、こちらも傷付くこともあるため簡単なことではない。しかし、だからこそ面白いのである。

本日のコラムでした。



 

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9月 16th, 2017 by