好景気もあと1年?日米金利「利上げ」にまつわる裏話


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金利

それは金融関係に働く者にとって最大限の関心ごと。

基本的に「金融」以外の業種では、金利は低い方が良いに決まっているが、「金融」だけは、それが利益の源泉であるので、あまりに低いのは困る。

保険業界においても、運用のほとんどは「国債」。

金利の低下は国債の利回りを下げるため、保険会社各社はそれら「低利回り」の国債をベースにしてしか商品を開発出来ない。

具体的な現象としては、

・保険料が上がる

・返戻率が下がる(貯蓄率が下がる)

と言ったところで、特に貯蓄性の商品に顕著に表れる。

つまり、

「販売する商品の魅力が減る」

ことになる。

しかも現在は「マイナス金利」という異常事態。

10年国債ですら、0.05%という状態で、

「マジ、そろそろ勘弁してよ。。。」

というのが保険の世界の住人たちの本音である。

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一般の方々からしても「低金利」は、

住宅ローンが安くなる

などのメリットがある反面、

安全な資産運用方法がなくなる

というデメリットにもなるのである。

と、そんなことを思っていたら、先日、数年前まで政権与党の中枢にいらっしゃた方にお会いする機会があった。仮にA氏とする。

普通ならお話出来ないような方なのだが、色々な運のめぐり合わせで、マンツゥーマンで1時間ばかりお話を伺うことが出来た。

良い機会だと思い

「金利はいつ上がりますか?」

と聞いてみた。

ご高齢ではあるが、今でも多くの政治家や官僚とつながり、そこからダイレクトに情報を取っていらっしゃるA氏の回答は明確で、

「少なくとも消費税増税までは『絶対』に上がらない。そうこうしているうちに景気が冷え込み、更に上げられない状況になるのではないか?」

とのこと。

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結論としては、

「上げたいが、上げられない」

ということらしい。

対して、アメリカは利上げをする。

お話では、「バブルを冷やす」ために少々荒治療でも金利を上げるそうだが、それ以外にも

「今、金利を上げておかないと、次の危機が来た時に『下げる余地』がなくなる」

という理由もある。

つまり中央銀行の「武器」は金利しかないため、実質的にはその「上げ下げ」だけで市場をコントロールしている。

調子が良い時に金利を「稼いで」おかないと、いざという時に「下げる」という伝家の宝刀が抜けなくなるということ。

だからこそ、株価が下がろうが、批判を受けようが、

やれる時にやる(金利を上げる)

ということだろう。

「そういう点でアメリカはしっかりしてる」

とおっしゃっていた。

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では日本は?

となると、なかなか難しいらしい。

黒田総裁は旧大蔵省、現在の財務省の出身であるため、実際には金利政策にも財務省の思惑が強く反映されている。というのがA氏の見立て。

もし金利を上げれば、国債の「利払い」が増える。財務省の負担は大きくなる。

例えば平成30年の10年国債の発行額は26兆4000億円。

0.05%であれば、毎年の利払いは132億円で済む。

しかし、少し前(10年くらい前)の水準である1.5%であれば3960億円。

10年国債だけに限ってもこれだけの違いがあり、実際にはその他にも「1年もの」から「40年もの」まで総額で150兆円近く発行されているのだから、「低金利」のメリットは計り知れない。

完全にこの状況に「慣れて」しまったので、消費税が上がって新たな財源が出来るまでは、利上げは難しいということだろう。

有体に言えば、

「後輩たちに『消費増税まではなんとか!!』と頼まれて、身動き出来ない。」

とのこと。

そんな大事なことが先輩、後輩関係で決まるの?と少々疑問を感じたが、

「そんなもの」

だそうだ。(実際はもっと色々あるだろうが。。。)

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50年近く日本政界、財界を見てきたA氏によれば、企業経営者の話を聞いても、各種のデータを見ても、景気は既にピークアウトしている。もってあと1年。

「次の不景気。『金利』という武器がない日銀はどうするのでしょうか?」

と怖いことをおっしゃっていた。。。。

さて、今後はどうなるのか?

完全に聞いた話を書いただけの本日のコラムでした。



 

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2月 26th, 2018 by