子供の『作品』は芸術か?ゴミか?


子供の作品。

そこには大人になっては絶対に表現できない世界感がある。

我が家の娘も、毎日、幼稚園で作る制作物を持ち帰ってくる。

キャラクターを模したイラストの時もあれば、

「おお、それは凄いね」

と関心する独創性にあふれた『大物』であることもあり、これらの「作品」のレビューを毎晩娘から受けるのは親子の楽しいコミュニケーションである。

しかしその反面、作品1個1個は小さなものであるにも関わらず、蓄積されれば

もの凄い量

になることは悩みの種。7171867273b37059d53dcf35f08b6a8d_s



そんな時、あるお客様の奥様に「竹を割ったような性格」の方がいて、小さな子供がいらっしゃるにも関わらず、こうおっしゃっていた。

「子供の作る物は全部ゴミ。容赦なく捨てる。」

そのご家庭では、お子さんに「どんな物にも寿命がある」と教え、一定時間(2日間)を経過すると、

「バイバイしなさい!!」

と言われ、作品達はあわれゴミ箱行きとなる。

どんな作品も「3日目」を迎えられず、その寿命は蝉よりも短い。

ここまでのストロングスタイルを貫くことは難しいが、多くの親にとって子供の作品を芸術とするか、ゴミとするかは難しいところだ。

2年くらい前からこのことに注目し、ことあるごとに同世代のお父さん、お母さんにリサーチをしてきた。

「子供の『作品』ってどうされてます?」

その回答で最も多いのは、

「気付かないうちに、少しづつ捨てる。『これは』と思うものだけ取っておく」

という意見だった。約99%がこれにあたる。と言うか現実的にこれしか方法がない。

もちろん我が家もそう。

妻が娘に気づかれないように捨てる。

時にそれに目ざとく気付いた娘が「危ないところだった。」と言ってゴミ箱からレスキューする。

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それを数度繰り返し、本人も気付かないうちに「作品」たちは処分されていくのだが、それらの粛清を潜り抜ける「一軍」もいる。



保険屋稼業14年。

「建もの探訪」の渡辺篤史先生にならぶほど色々なご家庭に伺い、それらの「一軍」がリビングや玄関などの最上級スペースに鎮座する姿を見てきた。

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数百、数千という「作品」たちの屍の上に燦然と輝くスーパースターである。

一軍たちは「額縁」という豪邸を与えられ、長い時間を家族と共に過ごす。

さて、その一軍作品には共通項がある。

まず、作品として秀逸であること。

色使い、構図がしっかりしている。

ちなみに、過去「これが本当に子供が描いたものか?!」と驚愕したことが何度かある。

そのうちの一人のお子さん(女の子)はその後美大に進んだが、その専門は「日本画」。

そして日本画の顔料は、基本的には「宝石を砕いているようなもの」であり、

目ん玉が飛び出るくらい高い

らしい。

お父様が「子供のころ褒め過ぎた。。。」と後悔しておられたのが印象的だった。

子供の才能を支援するのも楽ではない。



話は戻る。

次の条件は「平面」であること。つまり絵だ。

立体的な作品の中にも秀作はあるが、何と言ってもスペースを取るし、子供の作品は構造計算がなされていないので、経年劣化が激しく保管が難しい。a0a65715d566ffeea3690d547a320487_s

「子供が作ってきたロボットの模型。これは凄い!!と思ったが1週間で『腕が取れた』」

このような話を良く耳にする。

そのため「立体」というだけで、何となく処分対象となる。

最後の条件は、

パパかママか、もしくはその両方が描かれている家族の絵

であることだ。

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結局これ。今まで見てきた一軍作品のはほとんどこれに該当する。

親は自分たちが描かれている作品を簡単には捨てられない。

更には

「ママ(もしくはパパ)ありがとう!!」

という言葉が添えられていると、 グッと生存率は上がる。

子供からすれば、どの制作物も『一生懸命描いている』はずなのに、パパとママが描かれているだけで一軍に昇格するのは少々理不尽に感じるが、絶対権力者は親なのだから仕方ない。

芸術かゴミか?その判断基準は親の「色眼鏡」なのだと思い知る。

そして、我が家の「一軍」も例外なくこれに該当する。



なお、冒頭の「全てがゴミ」と断言する奥様の家のリビングにも、家族の姿を描いたお子さんの絵が飾られていた。

直線的な描写と、独特の派手な色使いは27歳で急逝した現代アートの巨匠「バスキア」を彷彿とさせる。

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多くの子供画廊を見てきた私も「これは非凡」と感じた。

とは言え、どう考えてお話と矛盾する。

そのことを問うと、

「これははく製」

とのこと。要は一度は「亡くなった」ということらしい。

なるほど。物は言いよう。。。。

子供の作品には、親のポリシーすら変えさせる力があるということだ。

 

本日のコラムでした。



 

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2月 5th, 2018 by