寒くなると「人事」の脂が乗るからねぇ~


酒の席での最高の肴。それは

「人事の話」

特に今ぐらいから3月末の辞令が固まるまでの2月ごろまでが脂がのって旨い。

会社員の方とお酒を飲むと、ほぼ人事の話題。

同期の〇〇が部長になるらしい。

〇〇部の〇〇の左遷が決定したらしい

〇〇は全く人望がないのに、何故出世するのか?

話の9割がその手の話題で、28歳でわずか5年の短い会社員生活を終え、「弱肉強食」のサバンナのような会社に行ってしまった私には人事のことは分からないのだが、それでも人の会社の話を聞くのはまるで昔の戦国武将の話を聞いているようで楽しい。



2,3時間の飲み会がお開きになった頃にはすっかり相手の会社の人事通になっている。

busyou仕事はイケイケで周りからも「役員候補筆頭」と言われる部長が、部下の女性からセクハラで訴えられて左遷される。

「いやー、かわいそうですよぉ」

と、シリアスなセリフとは裏腹にニヤニヤしている相手に、

「やっちゃっいましたねぇ~」

と膝を打って喜ぶ私。

織田信長が明智に討たれた場面を想像しながら、グビッと飲むビールはとてつもなく旨い。

しかも、そのセクハラを訴えた女性社員が、左遷された部長の「腹心の部下」と実は不倫していて(周知の事実)、その女性に事あるごとに「俺の方があいつより良いぞぉ~」とちょっかい出していたのを、不倫カップルが

「刺したらしい」

などと聞くと、ウッヒッヒッヒと下品な笑いが止まらないのである。

その部長さんは本能寺の変ならぬ、『本能の変』で、4月1日付けで「本州ではないどこか」に飛んで行かれた。



直接関係のない私のような人間には、このような「落とし穴系」の話の方が面白い。

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逆に「AさんとBさんのポストを巡ってのデットヒート」みたいな通好みの話は、社内の機微が分からなので、聞いていてもチンプンカンプンである。

しかも話をしている本人がどちらかの派閥に所属していたりすると(例えばAさん派)、

「Bさんは自分のことしか考えていない。上にへつらい、下に厳しい。」

などの人格否定が始まるので余計に実態が掴めない。

酔いが回ったあげく、

「俺は一生Aさんについていく!!」

などと宣言された日には、「熱いですねぇ~」と適当に相槌を打つしかないが、その1年後に会うと、レースに勝ったBさんにちゃっかり「鞍替え」していたりして、今度は「一生Bさんに(以下同文)」などと叫んでいて、民進党のセンセーたちも真っ青である。

「あなたの一生は何章まであるのでしょうか?」

honn

と素朴に聞いてみたくなるが、こちらも大人なので「熱いですねぇ~」と全く同じ反応をせざるを得ない。



そもそもが「一生ついていく」と言って本当に一生ついていった部下にお会いしたことがないし、「死んでも部下を守る」と言って実際に死んだ上司にもお目にかかったことがない。

自らの地位のために闘い、同盟し、裏切る。

そこには戦国武将さながらのドラマがあり、「関係ない」私などは大変楽しませて頂いている。

しかし、困るのは「敗軍の将」になった人の愚痴を聞く時である。

「敗軍の将、兵を語らず」

と言うが、現代の敗将はよく喋る。

色々敗因を解説してくれるが、

「で、給料は下がったんですか?」

と聞くと、だいたいはほとんど変わらない。

「これで本流から外れたよ」

とこの世の終わりのように嘆くが、昔なら負けたらさらし首だが現代ではさらし者になるだけで済むし、実際給料もそれほど変わらないから、サバンナのブッシュマンの私からすれば何が「負けた」のか分からない。

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むしろ、

「給料も肩書も変わらないのに責任だけ免れて、むしろ勝ちじゃん!!」

本音ではそう思うが、そうも言えない雰囲気がある。

だからこそ、決め台詞はこれだ



たとえ本流でなくても。。。

どんな川も海に繋がっているんですよ

doya

我ながら名セリフだ。フッ

ちょっと眩しそうな目をして言うのがコツだ。

正直自分でも意味は良く分からないが、どう取るかは相手に任せる。それが私のスタイルである。

だいたい敗将達は「うんうん、そうだな」とうなづいているから、あながち的外れでもないのだろう。

しかし、日本は平和である。

ポジション争いにここまで労力を割けるのは、何より豊かであり、食うに困らないからだ。

ある会社では人事の時期になると皆がソワソワして1カ月は仕事にならないそうで、こんなアホな話もないが、それを許容できるくらい儲かっているということだろう。



ところで負けた人には共通する項目がある。

それは「自社の決算書を見ない」ということだ。

結構な地位の方でも、自社の売上や税引前利益を聞いても答えられない人がいる。

標高も斜度も知らず、地図を見ずにどうやって山をのぼるのか?

一緒に登っている仲間の動向だけを見て、最後の最後に「1歩」だけ先に頂上を踏もうとする人と、地図を見て登頂ルートを決める人では天と地ほどの差がある。

と、少々厳しいことをこの「はぐれブッシュマン」が言っておく。

何にせよ寒くなると「人事」の脂が乗ってくる。

年末年始、色々な話が聞けると思うと楽しみである。

本日のコラムでした。

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10月 7th, 2017 by