意外と分れる保険会社の元号事情


「『令和』ってことはLか?」

「どう考えてもRじゃないですか?・・・」

スタッフがあきれ顔でそう言う。

「でもLEONって映画あるだろ?あれ『L』じゃん?」

「あれは人の名前ですからつづりは何でも良いですが、元号はヘボン式変換でしょう。『REIWA』だと思いますよ。

ヘボン式!!

すげー難しいこと言うなお前・・・

そう言えば中退したとはいえ、こいつは早稲田大学。

「屁ボン」のような顔をしてわりには、意外と小難しいことを知っている。

4月1日。12時前の弊社オフィスでの会話である。



新元号にさしたる興味はないが、生命保険にたずさわる者として、申込書に記載する元号を省略したローマ字

M 明治

T 大正

S 昭和

H 平成

この次に来るものが何か?ということくらいは気になっていた。

まさか、これが被ることはないだろうと思っていたが、結果は「R」

繰り返すがLではない。

なお、「新元号おめでとうムード」に水を差すようで恐縮だが、保険はとにかく書類が多い世界なので、申込日、生年月日、承諾日、確認日など、やたらと「日付」を書く。



その中で「元号表記(和暦)」というのはなかなか厄介である。

全て西暦で統一してくれれば楽なのだが、書類ごとに平成(和暦)であったり、西暦であったりするので、意外と混乱する。

全社共通のルールは、

「生年月日は絶対に和暦」

ということ。

これは金融庁の方針らしく、その他の項目は西暦 or 和暦のどちらかを採用するかは保険会社に一任されているそう。

国のシステムは全て和暦で統一されているので「サブの公的保障」である民間の保険でも「生年月日だけはそれにあわせろ」ということらしい。

また、一説によると、和暦と西暦の両方を書かせることで「なりすまし契約」を防ぐ効果があるとかないとか。(そんな効果はないだろう・・・と個人的には思うが)

このような背景があるものの、今はほとんどの保険会社が「西暦シフト」をしていて、外資系などは生年月日以外は全て西暦。

しかし数社だけは西暦、和暦が書類に巧妙に入り組んでおり、お客様と営業マンを困らせる。

少しは分かりやすくすれば良いのにと思うが、過去のシステムの蓄積でそうもいかないらしい。特にベースのシステムが和暦対応の損害保険会社、そこの子会社の生命保険会社はその傾向が強い。

今はどこの会社もシステムの「新元号対応」で大忙しだろうが、特にこれらの「和暦系生保」は大変だろう。



西暦下2桁に12を足すと平成

この業界で働き始めると、まずそう教えられる。

これからは「西暦下2桁から18を引くと令和」ということになるだろう。

ニュースを見ると「令和」という元号に関しては、皆さんわりと好印象を持っているようだが、個人的には「令」という文字からは命令、指令、令状など、有無を言わさない強権的な単語が浮かぶ。

そこに「和」という穏やかな漢字がつけることでやや誤魔化しているが、全体的には冷たい顔が笑っている印象である。

さて、来月から始まる「令和」はどんな時代になるか?

平成元年の時、中学一年生だった私にとって平成の30年はまさに青春時代。

対して43歳で始まる令和は、老境の時代となるだろう。

文字から感じる冷たい印象とは違い、温かい時代になって欲しい。そう切に願っている。

本日のコラムでした。



 

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4月 2nd, 2019 by