東日本大震災 被害の大きさとボランティアの記憶


「絶対に写真を撮らないで下さい。」

東日本大震災から数ヵ月後。

被災地にボランティアに行った際に、現地を取り仕切る方から言われたことです。

「皆さんが写真を撮るところを、現地の人たちは見ています。興味本位で写真を撮る姿を見て、大事な家族を、家を失った人たちがどう感じるかはお分かりですよね?」

この言葉に私はハッとさせられました。

現地に行ったら被害の大きさを物語る場面を写真に撮りたい、と思っていたからです。

帰ってきてから、それを周りの人に見せ

「現地はすごかった」

「俺はそこでボランティアをしてきた」

ということを言いたい、そういう気持ちがあったことは否定できません。

そんな気持ちを現地のボランティアリーダーに見透かされたようで、私は自分を恥じました。

恐らくは私と同じような人が多いので、まず始めに注意をしたのでしょう。

そしてそれらのブリーフィングが終り、私に割り当てられた「被害にあった家」の後片付けは本当にしんどく、たった数時間、土を掘り返し、残骸を袋に詰めるだけの作業なのに、あっという間に息は切れ、ボランティアの厳しさを知りました。



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(上の写真はフリー素材ですが、私が伺ったところに雰囲気が似ています。)

お父さん、そしてお子さんが亡くなったその家には、割れた食器の破片、潮水に浸かったせいかグニャグニャな状態で干からびた表彰状、そしてちょっとエッチなビデオが転がっていて、まさに「人の営み」をたった一瞬で破壊する凄まじい地震と津波の爪跡を表すものでした。

その被害の大きさは保険の支払総額を見ても分かります。

東日本大震災の保険関連の支払いは、

「人の命」に関わる生命保険の支払総額 1599億円

家や車などの「物」の保険である損害保険の支払総額 1兆2241億円

となっています。

阪神淡路大震災では生命保険484億円、損害保険783億円が支払われましたから、生保で3.3倍。損保では15.6倍の保険金が支払われていいることになり、この数字を見ても東日本大震災の被害の大きさが分かります。

そして、死者15,894人、行方不明者2,562人。全壊13万棟、半壊27万棟。

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決してお金に換算することが出来ない多くの方々の命、そして家族の生活の場があの日消えてしまったのです。

13年間保険の仕事をしてきて「悲しい場面」に立ち会うことも少なくありませんでした。

愛する人の突然の死、何の前触れもなく家族が自殺、治る見込みのない病気。

その都度「自分に何かできることはないか?」と自問しますが、「保険金を払う」以外にできることは少なく、いくら相手の気持ちを慮ってみても、結局のところはその辛さ、悲しさ、無念さは当事者にしか分かりません。

それは震災の被災者の方々にも同じことが言えます。

都市部の我々が何を言ったところで、被災した人とそうでない人には大きな違いがあります。

そして、私のように震災からわずか数ヶ月しか経っていないのに、ボランティアに観光気分を持ち込んでしまう。恥ずべきことですが、それもまた人間の一面です。

あれほどの大惨事であっても、他人事は他人事でしかないのかもしれません。

では何もしなくて良いのか?

それも、また違うと思います。

たるみきった中年が現地のボランティアに参加したところで、何の役にも立たず、逆に足手まといでしかない。そう感じ、

「俺に出来ることは金」

と、私は寄付や復興支援に関わる物を買うというスタンスにしました。

厳しい人生の試練に立ち向かう人に対し、出来ることは少ない。けれど何も出来ないわけではない。そう思いたいのです。

3月11日

年を重ねるごとに震災の報道は減り、記憶もぼやけていきますが、せめてこの日くらいは、あのボランティアで感じたことを忘れず、

自分に何が出来るのか?

そのことを考えたいと思います。

本日のコラムでした。



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3月 10th, 2017 by