退職金制度の導入を検討されている方へ


みかづきナビです。

「会社のために長年働いてくれた従業員のために退職金を用意したい。」

そんな経営者のために、本日は退職金原資を貯めるための基礎的なポイントを解説致します。



ポイント1 退職金規定を作る

退職金を支払う以上、経営者の一存で退職金を決めることは出来ません。
Aさんは会社に貢献してくれたので沢山支払うがBさんは働きが悪かったから少なくする。経営者の本音としてはそのようなことも思うかもしれませんが、法律上はとてもリスクがあります。
例えばBさんが「不当に退職金を減らされた」と訴えればほぼ100%会社側が負けるでしょう。
そうならないためにも「こういう場合、いくらの退職金を払います」というルールを決めておかなくてはいけません。

それが「退職金規定」です。

勤続年数や最終的な給与の額、または社内の地位(肩書き、職級など)などに連携して退職金が決まる仕組みを整えておく必要があります。
前述の例で言えば、会社への貢献が大きいAさんは退職前の給与や地位も高いでしょう。反対に貢献度が小さいBさんは地位も給与も低いことが想定されます。
それらが退職金の算定に影響します。ルール通りに支払っていますから無用なトラブルを防ぐことが出来ます。
なお、ネット上に「退職金規定フォーマット」というものが多くありますが、自社内の事情を考えず、安易にフォーマットを採用してしまうことはお勧め致しません。事実、これらの「フォーマット」を導入したが故にトラブルになるケースも少なくありません。
社労士や税理士などの意見を聞いて、「フォーマット」を自社向けにカスタマイズして「オリジナル」にすることが重要です。



ポイント2 退職金原資の貯め方

ルールを作ったら、次はその原資をいかにして貯めるか?ということです。中小、中堅企業では主に「公的制度を利用(社外準備)」「内部留保(社内準備)」「生命保険」の3つの方法が取られています。それぞれのメリット、デメリットを見てみましょう。

・公的制度を利用(社外準備手段)
「中小企業退職金共済」「特定退職金共済」「確定拠出年金」「確定給付企業年金」など、国によって定められた退職金制度で、毎月の掛け金を支払い従業員のための退職金を積み立てます。従業員の退職時に従業員へ直接、退職金が支払われます。

メリット
会社が支払う毎月の掛け金は、福利厚生費として全額損金計上ができる。

デメリット
積立金はすべて従業員の為のものとなり、一度支払った掛け金について会社は、資金の活用はできない。従業員のみに活用できる制度のため役員は加入できまない。

・内部留保(社内準備手段)
現金を社内で留保しておく方法です。銀行や証券会社での積立を行います。

メリット
会社の経営が厳しくなったといったいざという時に、資金の活用ができる。

デメリット
自由に使える反面、退職金の財源としての意識が薄くなりがち、計画的な準備が難しい。

公的制度を利用すれば、掛け金は全額損金となりますが、一度支払った掛け金は絶対的に従業員のものになります。例え会社に不利益を与えた社員が退職した場合でも、会社に掛金が戻ってくることはありません。
それに対し、自社内で積み立てる内部留保は資金はあくまで会社のものですから、経営者からすれば安心感があります。会社が存在し、発展してこその退職金です。会社がピンチの時には退職金どうこうなどとは言ってられませんから、必要な時は資金を会社のために使うことも想定しなくてはいけません。
しかし内部留保はいくら「従業員の退職金のため」と言っても、そもそもが自由な資金ですから損金とはなりません。
それぞれメリット、デメリットがとてもはっきりしています。
これら2つの良いところ取りをしたものが生命保険を活用して退職金原資を貯めるプランです。

・生命保険
生命保険には、万が一の際の生命保険金が支払われる保障のほか、毎月の保険料を積立ていく効果があります。従業員が退職する際、保険を解約することで退職金の原資として利用することできます。

メリット
退職(生存退職金)のほかに、万が一の際の退職(死亡退職金・弔慰金)の準備にも利用できます。
保険料のうち1/2が損金計上できる。(契約形態などの加入条件があります)
一時的な事業運転資金として契約者貸付を受けられる

デメリット
早期解約の場合、損をすることがある。
従業員の健康状態によって加入できないことがある。

生命保険を導入する場合、従業員の退職金を積み立てることが目的のため保険料の1/2は損金計上が可能です。しかし、支払った保険料はあくまで法人のものです。いざという時には解約や経営者貸付などにより支払った保険料を法人のために使うことも可能です。

また、公的制度の退職金積立は公的制度から直接従業員に支払われるのに対し、生命保険の場合はまずは法人に支払います。会社に損害を与えた社員が退職した場合は、退職金を支払わない、ということも経営者が判断できるわけです。

公的制度が従業員寄りな制度に対し、生命保険は経営者寄りな制度ともいえます。

どちらの制度も一長一短がありますから、多くの企業では併用していることが多く、弊社のお客様でも7割から8割の会社が中小企業退職金共済(中退共)と生命保険の2つを導入しておられます。



社員のためになって、法人のためにもなる退職金制度を作ることは簡単なことではありませんが、良い制度が作れれば社員の帰属意識を高め、より一層会社を発展させる原動力になります。

みかづきナビでは退職金専門の社労士とタッグを組み、制度設計の作成からお手伝いをいたします。
ご検討されている方は是非ご連絡下さい。

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1月 14th, 2015 by