高額療養費制度が変わります!!


みかづきナビです。

まだあまり報道されていませんが、来年(2015年)の1月から高額療養費制度が改正になります。高額療養費制度は公的医療保険の制度の一つで、医療機関や薬局窓口で支払った額のうち一定を超えた分を負担してくれる制度です。

この制度により、どれだけ高い治療を受けても自分で負担する費用が抑えれます。

今回の改正のポイントを簡単にご説明すると

  ・所得が低い方はより自己負担額が少なく

  ・所得の高い方は自己負担側が多く

になる、ということです。特に高所得な方はかなりの負担増になります。

まずは高額療養費制度がどのようなもので、現在の仕組みががどのようになっているのかを見てみましょう。



高額療養費制度とは?

例えばガンで入院。1ヶ月に100万円の治療費がかかった場合でご説明します。

国民健康保険や社会保険に入っている方なら、100万円のうちの3割、30万円が自己負担です。

100万円の治療費が30万円で済むわけです。日本の医療制度は国民にとって大変ありがたいのですが、それでも30万円は高額です。

このような時に高額療養費制度が適用されます。

その際、ご自身の所得に応じて負担額(全国健康保険協会、公的医療保険からの補助額の大きさ)が変わってきますが、この所得をあらわすのが「標準報酬月額」というものです。

あまり耳慣れない言葉ですが、普段のお給料やボーナスなどからこの標準報酬月額というものが決まります。

1等級から30等級まで分類されていて、収入のグレードをあらわすものです。この等級が年金や高額療養費制度など、国が提供するサービスを受ける際の基準になります。

なお、ご自身のお給料が毎月30万円だからと言って「標準月額報酬も30万円です。」と言うとそうでもありません。ボーナスや判定期間(4月、5月、6月のお給料)の影響もあり、それよりも多くなることもあれば少なくなることもあります。

高額療養費制度で重要なのは「標準月額報酬53万円」という基準です。

53万円以下を「一般所得者」、53万円以上を「上位所得者」と言っています。また、収入が少なく住民税が非課税になっている方(障害をお持ちの方、生活保護を受けている方など)を「低所得者」と区分しています。



差別的な印象も受けますが、「上位」「一般」「低取得」という3つのカテゴリーがあるわけです。

それぞれ計算式が異なります。

「上位所得者」

計算式 150,000円+(医療費-500,000円)×1%

先ほどの例で言えば、

150,000円+(1,000,000円-500,000円)×1%=155,000円(自己負担)

自己負担30万円との差額 14万5,000円は戻ってきます。

「一般所得者」

計算式 80,100円+(医療費-267,000円)×1%

先ほどの例で言えば、

80,100円+(1,000,000円-267,000円)×1%=87,430円

100万円の医療費→自己負担30万円→87,430円(自己負担)

自己負担30万円との差額 21万2,570円は戻ってきます。

「低所得者」

医療費に関わらず、上限35,400円

先ほどの例で言えば、

100万円の医療費→自己負担30万円→35,400円(自己負担)

自己負担30万円との差額、26万4,600円は戻ってきます。

これが現在の仕組みです。

では、来年1月からの改正でどのように変わるのでしょうか?



改正後のポイント

改正後は自己負担額の区分が現在の3区分(低所得、一般、上位)から5区分に細分化されます。またそれぞれの計算式も変わります。

1 標準月額報酬 83万円以上

計算式 252,600円+(医療費-842,000円)×1%

先ほどの例(ガンで100万円、自己負担30万円) 254,180円を自己負担 45,820円が戻ってきます。

2 標準月額報酬 53万~79万円

計算式 167,400円+(医療費-558,000円)×1%

先ほどの例 171,820円を自己負担 128,180円が戻ってきます。

3 標準月額報酬 28万~50万円(従来の「一般」と変わらず)

計算式 80,100円+(医療費-267,000円)×1%

先ほどの例 87,430円を自己負担 212,570円が戻ってきます。

4 標準月額報酬 26万円以下

計算式 57,600円

先ほどの例 57,600円を自己負担 242,400円が戻ってきます。

 5 住民税非課税(従来の「低所得」と変わらず) 

計算式 35,400円

先ほどの例 35,400円を自己負担 264,600円が戻ってきます。

少々細かい話になりましたが、従来の3区分から5区分に変わることで、収入が高い方の負担が増え、収入が低い方の負担が減るようになりました。

特に標準月額報酬が26万円以下の場合の負担は8万7430円から5万7600円と随分と軽減されます。

反面、標準月額報酬83万円以上(年収で言えば1200万円前後)になると、今までは自己負担が15万円(高額療養費制度が15万円負担)だったのが、自己負担25万円。10万円近く負担が増えることになり、実質的には高額療養費制度もあまり効果がなくなります。



「高収入高負担、低収入低負担」が税金や社会保障の基本ですから、これは仕方のないことですが、とは言え、同じく来年改正の相続増税などもあり、高所得者、資産家への負担が増えていることは事実です。

会社経営者や医師、弁護士など、高収入の方でも「高額療養費制度もあるから、医療保険はそれほど必要ない」とおっしゃる方も少なくありませんが、上記の例でもわかるとおり、今後はかなり負担が増えます。

これを契機に医療保険を見直されてもよいのではないでしょうか?

みかづきナビではこれらの社会保障制度の改正を踏まえ、「無理、無駄のない」プラン設計を行っております。

長い間保険を見直していない、何に入っているか分からない、そんな方は是非一度ご連絡下さい。

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11月 5th, 2014 by