選挙より吉本


7月23日、月曜日。

朝起きると、吉本興業のニュース一色。

「前の日の選挙の話は?」

率直にそう思うが、芸能事務所の内輪揉めの方が、国政より「価値が上」ということなのだから、仕方ない。

この問題。

世論としてはタレントさんに同情的なのかもしれないが、個人的には

そもそも不始末をしたのは誰だ?

ということを忘れ、関係者が普段の「不満」を叫んでいるだけのような気がする。

タレントがトラブルを起こし、一番大事な「初期」で嘘をついているのにも関わらず、その後、身勝手な自己主張ばかりしていたら、私が吉本の社長でも、

ふざけんな!!

と怒鳴りつけるかもしれない。

例の社長は普段から強権的な人物らしいが、それとこれとはちょっと問題が違う。

しかし、そのような本質は忘れ去られ、いつの間にか「経営陣 vs タレント」という構図になってしまった。

そんなに文句があるなら、会社を辞めるか、吉本の経営側にまわるか、何か「行動」すれば良いじゃないかとも思うのだが・・・・



ここで話が変わるが、保険会社でも同じようなことが多い。

我々の業界もセールスを担っている現場が「異様に強い」ので、ことあるごとに有力プレイヤー達から、経営幹部が突き上げをくらう。

どこの会社にも、経営幹部が若い頃に「面倒を見てもらった」という大御所(70代、80代)の営業マンが大勢いるので、その人たちに文句を言われれば、会長、社長と言えども、

ご意見ごもっともです。

と頭を垂れるしかないのである。

例えば、保険会社の「支社長」ともなれば、世間では相当偉いような印象を受けるかもしれないが、その支社長たちがそれらの大御所に凄まれ、ビビり上がってる姿を何度も見てきた。

「大御所のご機嫌取りと、たまのガス抜き」

は彼らの極めて大事な仕事なのである。



私もそんな会社に長年いたが、ある時、経営幹部から「マネージャにならないか?」という誘いを受けた。

要は「こちら側」に来ないかということ。

ちなみに、これは私が優秀だからというわけではなく、管理職のなり手が少ないので、中堅どころになると、ほぼ声がかかる。

この時、

「現場のことを本音ではどう思ってるのか?」

そう考え、ちょっとだけ呼び水を打ってみた。

「所詮、我々は鵜飼の『鵜』。ずっとこのままで良いのかなとも思う・・・」

と。

すると、目の前の幹部は「我が意を得たり」とばかりに、

そうなんだよ!!現場は売るだけだろ?

仕組みは我々が作ってるんだよ!!良く分かってるじゃないか!!

と非常にはしゃいでいた。

ついでに、

「売れてる人は適当に『おだてて』おけば良い」

「たまにマウンティングさせてあげて、凹んでるフリをすれば一生懸命働くのだから可愛いもの」

などなど、止まらない。

この人、相当ストレス溜まってんだな・・・そう思うくらい「本音」が大爆発。

ちなみに聞いた話は全て大御所たちにご報告しておいた。

我ながら性格が悪いが、私は「あちら側」なのだから仕方ない。



こんな世界に11年。

何度か大きな「現場の乱」を目撃し、著名な大御所が「若手のため」、「会社のため」と声をあげたが、結論としては

何も変わっていない

いつの間にか仕組みが構築され、時が過ぎればそれが当たり前になっていく。

結局は「飼いならされている」ということだろう。

そのため吉本も絶対に変わらない。

トップ数人の首をすげ変えたところで、経営幹部達の「本音」は変わらないからだ。

数多くのタレントの文句も「ガス抜き」程度にしか考えておらず、そしてガスが抜ければ、きちんと働くのだから他愛もない。

とは言え、大事な国政選挙の結果より、売上500億円の一企業のお家騒動にマスコミも国民も夢中なのだから、「他愛もない」のは日本人の性質なのだろう。

そしていつの間にかがんじがらめになっているが、文句は言っても行動はしない。

先日の選挙の投票率は48.8%。史上2番目の低さらしい。

つまりはそういうことだ。

本日のコラムでした。



 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします


7月 24th, 2019 by