お通夜の流儀


友人やお客様から、お通夜やお葬式に関する質問を受けることが多い。

私は保険屋であって、葬儀屋ではないのだが、

「人が亡くなった場面に強いだろう。」

という勝手な連想で、私の顔が浮かぶのかもしれない。

「googleに聞いて下さい。」

そう答えたいが、それでは元も子もない。

こんな関係性なのだが、お通夜には行くべきか?

花は出すべきか?

香典はいくら包めば良い?

それらの質問には、こう答えている。

行くべき、出すべき、一万円



まず、

「どの距離感なら通夜に行くのか?」

という議論に結論を出すことは難しい。

だからこそ私自身

「耳に入ったら、可能な限り行く」

というルールを貫いていて、そう決めておけば判断に迷うことはない。

正直なところ、かなり遠い関係で、

「聞いちゃったよ・・・」

と思うこともある。

と言うのも、誰かが亡くなると、

「〇〇さん(もしくは〇〇さんのお父さんなど)亡くなったみたいよ」

と周りに告げまくる「お通夜インフルエンサー」通称

通夜エンサー

が出てきて、ありがたいことに速報を届けてくれるのである。

こちらとしては、

「お通夜が終わった後に聞きたかった・・・」

と思わなくもないが「聞いた以上は」というルールに則り、お通夜に伺うことになる。



以前、こんなことがあった。

「Aさんのお父様が亡くなった」

通夜エンサーから、そんな情報がもたらされる。

お通夜の詳細をお聞きすると、3日後に長野の〇〇ホールだと言う。

「な、長野・・・」

確かにAさんは長野県出身。

かなり憂鬱にはなったが、ルールを変えるわけにはいかない。

当日、気力を振り絞り現地へ。

〇〇ホールに着いて、香典を渡し、記帳を済ましてから焼香の列へ。



人望のあるお父様だったのか、長蛇の列だった。

なお、お通夜の会場には開始15分後、19時開始なら19時15分に着くようにしている。

お通夜開始冒頭は坊さんがお経を読んでいて、私の経験上、どの宗派でもだいたい15分程度で焼香に移るのである。

あまり早く行っても念仏を聞きながら待機しているしかないので「15分後」がちょうど良い。

並ぶこと10分。

先頭が見えて来たが、ここであることに気付く。

Aさんと苗字が違う

あれ?Aさん、養子だったけ?それとも離婚して母親性?

焦って、祭壇横で弔問客に頭を下げるご遺族の中にAさんを探す。

しかし、いない。

すぐに列を外れ、通夜エンサーに電話すると、

何と彼の伝達ミスだった!!



Aさんのお通夜は翌日。

新幹線代+香典+俺の時間を返せ!!

そう言いたかったが、ここで怒っても仕方ない。

見ず知らずのおじいさんのご遺影に「失礼致しました。どなかた知りませんが、お疲れ様でした。」と詫び、式場を後に。

なお、相当迷ったが香典は返してもらった。

「あのぅ、大変お恥ずかしいのですが、明日参列する予定のお通夜に、本日過って参加してしまいまして・・・」

時は12月。そして長野。

そんな中、大汗をかいて顔を真っ赤にして申し出る。

受付の女性はもの凄く良い方で「それはお気の毒に・・・」と、すぐに私の香典袋を探してくれた。

そして「また明日来られるんですか?市内ですか?」と問う。

「いえ、都内です。」

彼女の絶句した顔を今でも覚えている。

そして、翌日、再び長野へ。

Aさんにはとても感謝されたので、行って良かったのだが、会場に通夜エンサーの姿を見ることはなかった・・・

関係者の間で、今では笑い話になっているが、お通夜にまつわる苦い思い出である。

そんな思いをしても「行くべき」なのだ。



次にお花。

「出すか、出さないか」と迷うくらいなら出した方が良い。

だいたい1.5~2万円くらい。

特に高齢で亡くなった方の場合、花を出してくれる友人や会社も少ないので、そこに花を添えてあげるとご遺族には感謝される。

やはり、花がスカスカなのは何とも寂しいものだ。

それなりに埋めてあげるのは、若い世代の務めだろう。

また、いやらしい話、香典などは貰っても忘れてしまうが、花は忘れない。

これまた正直に言ってしまえば、故人との関係が薄い場合、通夜への参列やお花などは「義理を果たす」という、ある種のパフォーマンスでもある。

そういう意味では花はコストパフォーマンスが高いともいえる。



最後に香典。

いくらにすれば良いか?

という質問には「5,000円で良いよね?」というニュアンスがある。

いや、ダメだ。1万円だ。

そんなところでケチって良いことなど何一つない。

「1万円は覚えてないけど、5,000円は覚えてる(悪い意味で)」

ある人から、そう聞いたことがある。

まあ、それも本音だろう。

義理を果たすなら徹底的に。中途半端は逆効果だ。

また、どうしても参列できずに「一緒に香典を届けてもらう」こともある。

私もお願いしたこともあるし、お願いされたこともある。

こういう時、出来れば事前に自分で作った香典袋を、それを託す人間に直接届ける方が丁寧だし、その際は

「私の分の御礼品(会場で帰る際に貰うお土産みたいなもの)は辞退して下さい。」

と伝えた方が良い。

あれば意外と荷物になる。

香典までお願いして、更にはお土産まで届けてもらうのは申し訳なさすぎるだろう。

だからこそ事前に「辞退」を申し出ておいた方が良いのである。

以上、お通夜の流儀を書き出してみた。

本日のコラムでした。



 

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9月 13th, 2019 by