消費税騒動曲


いよいよ本日、2019年10月1日より消費税が上がる。

今回、日本で初めて軽減税率が導入され、

・新聞

・酒と外食「以外」の食料品(スーパー、テイクアウトなど)

は8%、その他は10%ということになる。

どちらも「生活必需品」との理由で8%に据え置かれたが、個人的には

新聞なんかより酒の方がよっぽど「必需」だろ?

などと思ってしまう。

この複雑な税制について、マスコミでは

どこまでがテイクアウトなのか論争

が巻き起こり、

「一度、テイクアウト(8%)したけど、気が変わって店内(10%)で食べたらどうなるか?」

「店内(10%)で食べるつもりだったが、急な用事で持ち帰った場合は?」

などと、どうでも良い議論を目にする機会が多い。



一方、このようなドタバタを鼻で笑っている人たちがいる。

海外生活が長かったり、出張が多いビジネスマンだ。

特にEU圏内を経験している人は、

「そんなもんすぐ慣れるよ」

と極めて冷静。

EU圏内の消費税は「付加価値税」と言い、レシートにはVAT(value-added tax)、もしくはTVA(フランス語)などと表示される。

私自身も、何度かEU圏内を旅行したことがあるが、確かに付加価値税の高さと、複雑さには毎度驚かされる。

特にフランス。

1968年に世界で初めて消費税(付加価値税)を導入した「消費税発祥の国」

歴史が長いだけあって、その税制は難解極まりない。

基本は20%だが、品目によって10%、5.5%、2.1%、非課税の軽減税率が入り組んでいる。

それを象徴するのが「チョコレートの消費税」

ミルクチョコは贅沢品なので20%だが、ダークチョコは生活必需品なので5.5%。

フランス人ならこの感覚が分かるのかもしれないが、我々日本人には何のことか分からないし、何となくダークの方が高級なイメージもある。

このような背景から、現地のスーパーなどで買い物をすると、品目ごとに「TVA €〇〇」という記載があり、物によって消費税がバラバラ。

なお、小売業の場合、店内ではほとんどが内税表記になっていて、実際に買ってみてから、それが何%の消費税を含んでいるのかレシートで確認できる仕組みだった。

対して、レストランなどは外税表記が多い。

注:あくまで短期旅行の感想なので、間違っていたらご容赦頂きたい。

職業柄、物の値段と税金には敏感なので、旅先でもこんな調子で、

「うわー、こんなするの?消費税」

などとイチイチ騒いていたが、横では妻が、

「この人、旅先でも金の話かい・・・」

と冷めた顔をしていた。



さて、こんな消費税。

一番わりを喰う職種があることをご存知だろうか?

それは保険の営業マン

特に会社に所属し、出来高でやっている営業マンがつらい。

保険料には消費税がかからない。

これはそもそも非課税と決まっているから。

しかし、保険の営業マンは「消費税課税事業者」に指定されている。

保険は非課税だが、保険の営業マンが得るフィーは「事業所得」なので、それは消費税の課税対象なのである。

以前、外資系の生保に勤務していた頃、皆が

「おかしくない?」

と口を揃えていたが、これに憤ったある会社(私がいた会社ではない)の社員が国を相手とって訴訟を起こした。今から10年以上前の話。

その勇気を皆が讃えたが、

あっさり負けた・・・

その判決の趣旨は、

「事業所得を得る者は消費税を負担する。以上」

この消費税問題。

各社の営業マンの不満の種になっていたが、保険会社としても「契約者から預かっていない」のに営業マンに消費税分を支払うわけにもいかない。

そのため、どこの会社でも現場と経営陣が長年やりあっていたが、今では税務申告の際、自身の確定申告書を会社に提出することで、「実費」を全額、もしくは一部支給してくれることで、一応の決着を見ている。(私の頃はそんな制度はなかったが・・・)

 

今や国の税収の1/3を担う消費税。

「全国民から広く薄く徴収する税制」

であるため、わずか2%の増税でも多くの人々の生活に影響を与え、更には制度の複雑さが保険業界をはじめ様々なところに歪みをもたらす。

しばらくはバタバタするだろうが、とは言え、付け焼き刃の「ポイント還元」に目を眩まされいるうちに、1年も経てば「馴らされる」

それでも、まだ10%。諸外国に比べればまだマシと諦めるしかないだろう・・・

本日のコラムでした。



 

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10月 1st, 2019 by