たった1日の育休で数万円を儲けるセコ技とは?


友人から、何ともセコイ話を聞いた・・・

男性が育休を取る場合。

たった1日の1育休を取得するだけで、数万円を儲ける方法がある!!

そうだ。

その手法は「月末に『1日だけ』育休を取る」というもの。

多くの人には、はあ?どういうこと?という感じだろう。

このスキームを理解するためには、まず、

「育児休暇中(男女とも)の社会保険料免除のルール」

を解説する必要がある。

社保庁によると、育休中の社保免除の要件は、

・育児休業等開始月から

・「終了予定日の翌日」の月の前月までとする

とある。

終了予定日の翌日

などと大げさな書き方をしているが、簡単に言えば「職場復帰した日」を指す。

このルールを要約すると、

・開始月から育休を取っている期間は社保を免除するが

・免除するのは「復帰した日」の前月まで(4/1復帰なら、3月まで)

・なお、復帰した日が属する月の社保は免除されない(労使折半で納付)

ということ。

普通に聞けば「何を当たり前のことを言っているの?」という感じだろう。

だが、ここに落とし穴がある。



これらのルールは、

「女性が長期の育休を所得する」

ことを念頭においたもので、男性が取る短期の育休までは想定していないのである。

男性が育休を所得する場合、前述の

「終了予定日の翌日(復帰日のこと)の前月まで」

という一文が曲者となる。

ここでは2つのケースを挙げる。

例1:男性が育休を4/10~4/19まで取得

開始月 4月
復帰月 4月

割と一般的な男性の育休だろう。

この場合、免除の開始月は4月。

しかし、育休の期間は4/19までで、翌日の4/20に復帰している。

先ほどの通り、免除されるのは

「終了予定日の翌日(復帰日)」の月の前月まで

というルールなので、今回の育休をこれに当てはめると、免除期間は

・開始月の4月から

・復帰月の前月「3月」まで

となり、スタート(4月)がゴール(3月)の後という「逆転現象」が発生してしまう。

この場合、免除はない。



で、次の例。

例2:男性が育休を3/25~4/4まで取得

月をまたいだケースだ。

免除期間は、

・開始月の3月から

・復帰月の前月「3月」まで

スタート、ゴールともに3月ということで、こちらのケースでは1ヶ月分(3月分)だけ免除される。

同じ期間の育休取得でも「月をまたぐか、否かで」免除の有無が変わるのである。

社会保険はおおよそ給与の15%程度。

育休の免除は、

「支払っていたことと同じ」

としてカウントされるので、免除されれば数万円が浮くことになる。

但し、注意しなくてはいけないのは「育休中は給与が出ない」ということ。

育休中に給付される「育児給付金」というものもあるが、これは結構な日数を休まないと受け取れない。(目安としては月15日程度の休職)

10日程度の育休では支給されないのである。

つまり、社保は免除されるが、給料も減る。ということ。

この例で言えば、

・1ヵ月分の社会保険料は免除される

・その分、数日分(育休中:7~8日分)の給与が減る

ということになり、結局、損なのか、得なのか良く分からない。

そこで、こんな手が編み出された。

月末に「1日だけ」育休を取る

3/31、1日だけ育休を取り、4/1に復帰。

こうすれば、月をまたいでいるので、たった1日しか休んでいないのに1ヶ月分の社会保険料が免除されることになる。

給与が減るのも1日分だけで済む。

例えば月収20万円の場合、1日分の給与はだいたい1万円くらい。

対して、社保の個人負担は約3万円(15%)。

1万円引かれ、3万円貰える。
(会社によって事情は異なるが、数ヶ月後の給与で社保分が調整される)

差し引き2万円儲かる計算で、

更にお休みも貰えるぜ!!やった!!ラッキー!!

という話だ。

が、何ともセコイ・・・

いや、本当に育児をするのならば良いが、社保と1日分の給与の「差額」のためにこれをやるのか・・・

確かに個人的な観点で見れば「お得」だが、会社全体で見れば、このスキームのために書類を作ったり、出したり、給与の調整をしないといけない人達がいる。(総務、人事など)

個人の「小遣い稼ぎ」のために、これらの余計な仕事をしないといけない人達にとっては迷惑でしかなく、全体としてはマイナスではないか?



しかし、友人の話はまだ終わらない。

「もっとすごい方法がある」

と言う。

「ボーナス月にやれば、ボーナス分の社保も免除される。」

な、なるほどね・・・

意識している人は少ないかもしれないが、ボーナスからも社保15%はきっちり徴収されている。その該当月が免除されれば、ボーナス分も免除ということになるそうだ。

先の例(月収20万円)で言えば、ボーナスを30万円だとすると、社保は4.5万円。

給与分(3万円)と合わせて7.5万円の社保が浮く計算になる。

1日分の給与(1万円)との差は、より大きくなる(7.5万円-1万円=6.5万円)

確かに1日休んだだけで6.5万円はすごい。

年収が高い、もしくはボーナスが多い場合、10万円以上が浮くかもしれない。

会社としても、会社負担の社保も免除されるので、関連部署の手間を除けばデメリットはない。

なお、この免除は1回こっきり。何度も使えるものではない。

確かにここまでの金額となると、単純に「セコイ」とも言い切れないが、うーん、何だろう。

自分だったら絶対やらない・・・

このあたりの気持ちは何とも上手く表現できないのだが・・・

本日のコラムでした。



 

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1月 28th, 2020 by