大好きなゲームアプリを3つ消したら自由になった


「俺、これ一日何分やってんだろうな?いや、何時間か?・・・」

ある夜、自宅で酒を飲んでいる時、唐突にそう思った。

手にはスマホ。

ほろ酔い気分で「Two Dots」というパズルゲームをやっていた。

色が同じ「ドット(点)」をつなげて消す。という単純なもので、1000を超えるステージがあり、それらを全てクリアしても、3日に一度は新しいタスクが追加される。

他にも季節限定のミッションなどがあり、暇になると何となくやってしまう。

時には熱中し、気付くと30分以上いじっていることも。

心理学的には、小さなハードルを越える小さな成功体験に脳が快感を覚え、それが中毒になるらしい。

このゲーム以外にもスマホにいくつかゲームが入っていて、朝起きると、それらをルーチンでチェック。

ゲームが佳境に入ると子供が「絵本を読んで!!」と言ってきても、時には「今、仕事してるから」と嘘までついてやっていることもある。

誠にお恥ずかしい話だ。



引き続き酒に酔いながら、ゲームアプリの「デメリット」について考える。

そう言えば、最近、本を読む量も減ったな・・・・

無料のアイテムを貰うために広告を見て、その広告に出てきた別のゲームに興味を持ってダウンロード。今度はそちらにハマる・・・

スマホのいじり過ぎで、右手の親指が腱鞘炎のようにもなっている・・・

アレもコレもと考え出すと、自分に無性に腹が立ってくる。

俺、コイツらの奴隷じゃん!!

そう気づけば、自分で自分を「解放」するしかない。

意を決して「時間を使っている順」にゲームアプリを3つ消す。

そう決めた。

アプリの削除ボタンを押す。

「Two Dotsを削除しますか?このAppを削除すると、Appのデータも削除されます。」

そんな確認メッセージ。

本当に良いのかい?

今までゲットしてきたスターも、アイテムも全部消えるぜ。

苦楽を共にしてきた『友達』を切り捨てるのか?

これからも仲良くやっていこうぜ、なぁ?兄弟

私にはそう聞こえた。

この悪魔め!!消えろ!!

そう思っても指が震える。

次の瞬間、

やるなら今しかねぇ~

長渕剛の歌(西新宿の親父の唄)が頭の中に流れ、それが私に勇気を与えた。

脳内で悪魔と長渕が激しく戦い、指はワナワナと激しく揺れる。

長渕優位になったほんの一瞬

今しかないんだ!!

勢いにまかせ削除ボタンを押す。

「Two Dots」は断末魔さえ残さず、何の音もなく消えた・・・

続けざまに、時間の占有率が高い2位、3位の悪魔たちを葬る。

そんな「葬式」はほんの10秒で終了。

終わった瞬間、言いようもない悲しみが胸を締め付けた。

何年も続けてきた「旅」が終わった。たった10秒で。

「悪魔って・・・これだけ俺に付き合ってくれた『友』なのに」

ありがとう。そしてサヨウナラ。

別れてみれば良い奴らだった。

清々しさと一抹の寂しさ。

涙が頬を伝う。

どうやら酒が過ぎたようだ・・・・



そんな夜から、1週間。

結論から言う。

消してムチャクチャ良かった!!

友は友でも、やっぱりありゃ悪友だわ

まず、朝起きてすぐ新しいタスクの確認や、アイテムを貰うための無駄な広告視聴などをする「妙な義務感」から解放された。

引き続き暇な時はスマホをいじってしまうが、「長時間、遊んでくれる人」がいなくなったので、ニュースなどをチェックするくらい。

すぐに飽きてしまうので、総じてスマホを触る時間が短くなる。

電車の中や、トイレの中でも、本や雑誌を読む時間が増えた。

時間は有限。

何かが減れば、何かが増える。

当たり前の話だ。

今思えば、昔のゲーム(ドラクエやFFなど)はゴールがあった。

クリアすれば終わり、卒業である。

しかし、ゲームアプリにはそれがない。

課金、もしくはその代わりに広告を見せることが目的なので、次々に新しいタスクが足され、いつまでも「卒業」させてくれない。

だから自分から「別れる」しかないし、いざ別れてみれば意外と得るものの方が多い。

そんなことに今更気づく。

40歳を超えて、何ともアホな話だと自分でも呆れるしかない。

しかし、ふと思う。

「1週間経ったから、新しいタスクが2つは追加されているな・・・」

と。

「友」はいつも見ている。スマホの奥からじっとこちらを。

本日のコラムでした。



 

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2月 10th, 2020 by