ロックダウン、オーバーシュート、何故カタカナを使うのか?実は古典的なテクニック


百合子様(小池知事)の「ロックアップ」

専門家会議の「クラスター」、「オーバーシュート」

そんなカタカナが「分かりにくい」と批判されている。

ただこのような難しい言葉を「あえて使う」のは実は昔からある古典的なテクニックである。

相手が知らない

新しい言葉

を提示することにより、頭の中に「?」を浮かばせて「どういうこと?」と思わせる。

そして、それを解決することで優位に立つという技術。セールスやマーケティングの現場では良く使われている手法だ。特に金融やITなどで多い。

要は半ば強制的にクイズを出しておいて「知らない、分からない」ということを恥ずかしがる人間の習性を利用し、会話の主導権を取るのである。



例えば金融業界では「ドルコスト話法」などがそれにあたる。

今では「ドルコスト平均法」は誰もが知る投資手法で、一般的な単語になったが、私がこの業界に入った16年前はそこまでメジャーではなかった。

貯蓄性のある商品を紹介する時や、投資にかかわる話をする際に、

ドルコスト平均法をご存知ですか?

そう切り出す。

素直な人であれば「いえ、知りません。何ですか?」という答えが返ってきて、この段階で教師生徒の関係となれる。

プライドの高い人なら「えっ、ええ、聞いたことはあります」などと曖昧な反応で、それに対して「流石ですね」と褒めることで相手を満足させる。

そして「ではご存知の部分も多いかと思いますが・・・」と言って説明を始めると、相手は内心「ヤバい!!ここでしっかり聞いておかないと」と思って真剣に話に耳を傾ける。

他にもオフショア取引、イールドカーブなど、わざと「難解」な言葉を持ち出して、それを解説することで「ほー」と思ってもらう。平たく言えば「賢く見せる」のであるが、より下品に表現すれば、

ただカッコつけてるだけ

で、百合子様や専門家会議の座長なんて、まさにそんな感じだろう。



マスコミ、更にその先の国民に対して「私、凄い感」を演出する一環でもある。

特に百合子様に関しては「クールビズ」が世の中にズバッとハマった快感から抜け出せず、〇〇ファーストなど、次々に新しい言葉を作ることをご趣味としていらっしゃるので、今回の新作

ロックアップ

の反応がイマイチなのは忸怩たる思いでおられるのでは?と心配している。

是非、次回作に期待したい。

さて、この

「難しい言葉で注目させておいてかしこぶる」

というやり方は、金融業界やIT業界に入ってきた若者は一度はかぶれる。

特にIT業界はその傾向が顕著で、入社2,3年目の若手などは、会話の90%が難解なIT用語になっている人もおり、

あれ?英語喋ってるの?

と思うこともある。

ここまで来ると気持ちが良いのは本人だけで、周りから見るとむしろ滑稽である。



ちなみに私も保険業界に入ったばかりのころ「かなりかぶれて」しまい、昨日今日知った横文字の金融用語をさも偉そうに解説していた時期があった。

そんな時、毎年、もの凄い高い業績を出していた大先輩にこう注意される。

「簡単なことを難しく説明する二流、難しいことを簡単に説明する『一流』」

と。

その方は、変額保険というプロでも説明に苦労する複雑な商品(結構難しい言葉が出てくる)を、

額が変わる保険です。

の一言で済ましていた。

それは流石にはしょり過ぎなのでは?という議論もあるが、その方いわく

「自信がないから難解な言葉で煙に巻く。物事の本質をズバッと言えば伝わる。余計な装飾はいらない。」

とのことだった。

それ以来、なるべく難しい言葉は使わないように心がけている。

その先輩は若くして亡くなってしまい、今はこの世にいないが、最近の専門家や政治家の会見を見たら、

「二流だな」

と一刀両断だろう。

よりシンプルに

「このままでは大爆発する。家から出るな。言うこと聞かないなら封鎖する。ケツ(補償)は拭くから安心しろ」

で良いと思うのだが、そんな内容も「クラスターがオーバーシュート気味に、ロックアップした会見」になると、全く伝わらず、気持ちが良いのは本人だけ、ということになる。

本日のコラムでした。



 

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3月 26th, 2020 by