小さな心 大きな心


先日、家に帰ると、小学校低学年の娘がズーンと暗い顔をしている。

妻から伝え聞いたところによると、同級生の男の子にちょっとした嫌がらせをされたことが原因とのこと。

なかなか物言いがストレートな子のようで、内気な娘はことあるごとにキツイことを言われているようだ。

我が子が思い悩んでいる姿は可哀想ではあるものの、一歩下がって俯瞰して見れば、何ということもなく、単に「自分とは合わない」というだけでもあるし、どこの世界、どこの組織にいてもそういう人はいる。

自分と合わない人とどう折り合いをつけていくか。

これは長い時間をかけて、自分なりの答えを探していかなくてはいけない。

戦う、避ける、媚びる、我慢する。

もちろん戦えば反撃を受けてこちらも傷付くし、避ければ避けるほど犬のように追ってきて、媚びてみては後からとても惨めな気持ちになる。

結局のところ「我慢」が一番コスパが高いことに気付くのは、早くても高校生、多くは社会人になってからだろう。

しかし、子供にはそうは言えない。

今回のような場面で「我慢しなさい」と言う親はまずいないだろう。

大抵は「ちゃんと言い返しなさい」もしくは「相手にしない」などとというような真正面のアドバイスをする。

言い返すのはもちろん攻撃だし、「相手にしない」というのも、閉鎖された学校という空間では、無言の攻撃のようなもの。

マハトマ・ガンジーの非暴力・非服従スタイルに近く、それはそれで根性がいる。

ではその親は社会で理不尽な目にあった時、ちゃんと言い返しているかと言えば、絶対にそんなことはない。

ですねー、などと適当に相槌をうち、その場は我慢し、後で周囲に「あの人も何だかなぁ」と愚痴るだけだ。

現実社会に半沢直樹はいない。

媚び20、我慢80、悪口900 合計1,000

まあ、そんなバランスだろう。

子供も同じ。実際問題としては我慢するしかない場面の方が多いのだが、「我慢しなさい」というのは、随分と突き放したような言い方で、親としては結局は正論を吐くしかない。

だが、大人と違い、子供の小さな心はすぐに一杯になってしまう。

そこだけは注視してあげないといけない。

そう思いながらも、「心」の容量はコップのように見えるものでもなく、せめて父に出来ることと言えば、一緒になって悪口を言い、少しでも心の水位を下げてあげることくらいだ。

そんなことを繰り返しながら、心はどんどん大きくなっていく。

大きな心

容量が増えれば、多少のことは許容できる。

しかし、そんな大きな心も、時には一杯になってしまう。

重い病気、仕事のプレッシャー、借金、リストラ、身内のトラブル

この仕事を通じて、「心が一杯になった人」の話を多く見聞きしてきた。

大きくなったはずの心は、意外とすぐに満たされてしまって、子供のころと大して変わっていないことに気付く。

一杯になった時の辛さは、子供も大人も同じだ。

そして第三者には何も助けてあげることが出来ない、という点でも同じ。

だからこそ、一緒になって悪口を言って発散し、どうしようもない環境を共に嘆き、時には涙を流す。

悪口、嘆き、涙が心の水位を下げる。

ガンジーでも半沢でもない我々には、そんなことくらいしか出来ないだろうから。

本日のコラムでした。

 

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10月 14th, 2020 by