年収1億円は700万円以下?世帯年収と満足度の奇妙な関係


世帯年収700万円が一番幸せ

こんな話を聞いたことがある人も多いだろう。

これはノーベル経済学賞も受賞した心理学者ダニエル・カーネマンが、2009年にアメリカで45万人を対象に実施した「世帯年収と幸福度の相関関係」の調査に基づいた話である。

ちなみに「700万円(7.5万ドル)」という数字が独り歩きし、いつの間にか「世帯年収700万円の家が一番幸福だ」というような認識となったが、これは誤り。

調査では、700万円が「一番」とは言ってはおらず、正確には700万円を超えると、

「それ以上に年収が上がっても、幸福度はそれほど上がらない」

とある。

つまり、世帯年収700万円を超えると、それが1,000万円でも1,500万円でも幸福度は変わらないということ。

逆に「700万円まで」は、年収が上がれば上がるほど、どんどん幸福度が増加する。

それが頭打ちになるのが700万円ということなのだろう。

しかし、仕事柄多くのご家庭のお金事情を見てきた私からすると、

「そうかね?収入多い方が、楽しそうに見えるけどね」

というのが実感。

もちろん、ご家族それぞれなので、ただの傾向でしかないが、700万円よりは、2,000万円、3,000万円の世帯の方が

「なんか楽しそう」

傍からみただけの感想ではあるが、そのように感じていた。

そんな私の「感覚」が、今回ある調査で裏付けられることに。

内閣府「満足度・生活の質に関する調査」

昨年(令和元年)の5月に公表されたもので、1万人を対象に行われた。

こちらでは「生活の満足度」を様々な角度から検証し、その一項目に世帯年収との関係がある。

その結果がこちら。

 世帯年収     満足度
~100万円        5.01
100~299万円    5.20
300~499万円    5.68
500~699万円    5.91
700~999万円    6.24
1,000~1,999万円   6.52
2,000~2,999万円   6.84
3,000~4,999万円   6.60
5,000~9,999万円   6.50
1億円以上          6.03

確かにアメリカの調査と同じく、年収700万円までは、収入の増加により満足度が急激に上がる。

そして、その後は「収入が増えても満足度が鈍化する」という傾向も同じなのだが、それでも年収2,000~2,999万円の満足度のポイントは6.84と、700~999万円の6.24よりは0.62ポイントも高い。

これは300~499万円の5.68と、700~999万円の6.24との「差(0.56)」と同等で、小さな差ではないように感じる。

やはり私が日頃感じていた

「2,3千万円の家ってなんか楽しそう」

という感覚と合致していることになる。

このレンジに入ると、衣食住、教育、趣味に「我慢する」必要がなく、かつ将来に向けての投資・貯蓄が出来る余力もあるので、これで「不満だ」と言われても、こちらは照れるしかない。

しかし、ここで面白いのは、この層を超えると、逆に満足度が低下すること。

3,000~4,999万円で6.60、5,000~9,999万円で6.50となり、1億円以上では6.03とガクッと下がる。

これは、700~999万円の6.24より低い数値。

この原因は、おそらく「個」か「組織」の違いだろう。

年収、2,3千万円までは、ある意味「個」で稼げる。

「個」と言うのは別に個人事業主ということではなく、組織に所属する「個」

例えば、ご主人が会社員で年収1,500万円、奥様が年収800万円。これで世帯年収は2,300万円だし、医師、弁護士、税理士などでも、組織に所属しながら、これくらいの年収を稼ぐ人は多い。

しかし、このあたりが「個」で稼げる上限で、これ以上となると、組織、つまり経営者になる必要がある。

社長、院長、所長、組長。

組織のトップには逃げ場もなく、人・モノ・金に頭を悩ませ、責任も重い。

もちろん「個」の方々にも責任はあるが、経営者のそれとはかなり違う。

高収入ではあっても、それらの「わずらわしさ」が人生の満足度を下げているのではないだろうか。

なお、本調査では、「健康」、「ボランティア」、「頼れる人がいる」の3要素を持つ方の満足度は、年収に関係なく、相対的に高いことが報告されている。

話をまとめると、人生の質・満足度を上げるためには、

・最低、世帯年収で700万円以上、しかし、3,000万円を超えてはいけない

・健康で過ごす

・困っている人を助ける(ボランティアへの参加)

・家族、友人と信頼関係を築く(頼れる人がいる)

という、

何を当たり前のことを・・・

という至極当然の結論となる。

この中で、私も含め、ほとんどの人に出来ることと言えば「3,000万円を超えない」ということくらいか・・・

満足いく人生。

そのハードルは高い。

本日のコラムでした。

 

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10月 21st, 2020 by