社長すら道を譲る生保レディー 戦後生保70年の重み


今は随分減りましたが、一昔前の生命保険業界では生保レディー、いわゆる保険のおばちゃんがセールスの主流でした。

保険屋はしつこい、派手、あつかましい、すぐ辞める

こういった印象は生保レディーによって作られたと言っても過言ではなく、昨今は外資系やカタカナ生保が

「今までの生命保険セールスは間違っていた!!」

というスローガンのもと、生保レディーを仮想敵としていることもあり、すっかり悪者になってしまった感があります。

とは言え「世帯の生保加入率90%以上」という日本の状況を作ったのも彼女達だったわけで、業界の礎となった功績に対し後進の我々は足を向けて寝ることは出来ないのです。

功罪あるとは言え、この業界で働く人たちにとって母親のような存在です。



さて、そう言う私も前職の外資系では「生保レディーの不合理なセールスには負けない!!」と意気込んでいた一人だったのですが、業界歴が長くなると、勉強会などで彼女たちとの接点も出てきます。

お会いすると年齢が70歳や80歳の方もいて

「母親どころかおばあちゃんじゃん!!」

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と突っ込んでしまいそうになりますが、生保の戦場で何十年も戦い抜いてきたオーラと、いつくつもの悲しみを乗り越えた人格は半端ではありません。

自分など所詮若造に過ぎない。と痛感します。

ただし、びっくりするくらい保険のことは知らない方が多いです。失礼ながら最近の保険に関しての知識は皆無と言っても良く、それでも「超売れる」のだから不思議です。

販売実績を聞くと「マ、マジか。。。。」と絶句するくらい契約を獲得しています。



名前は出せませんが、何度かお会いしたある国内生保の大物セールスレディーがいます。女性に年齢のことを言うのは失礼ですが、90歳近い方です。

お会いする度に、こちらからお願いして昔話を伺っています。

話は戦前に遡ります。

1940年前半。

両親が選んだ男性とお見合い結婚。

無口で優しい人だった。

しかし結婚生活は1年にも満たず、夫は徴兵され太平洋戦争に出征。

その頃、お腹の中には二人の赤ちゃんが宿っていた。

我が子に会うことなく、夫は終戦間際に戦死。nohara

空襲で家は焼かれ、終戦後は親類の家で幼い子供と二人、肩身の狭い生活。

働き口も食べる物もない。

たまたま、親類の家の近くにあった保険会社の求人募集を見て、応募。

が、「子供が小さいから」、そして「気の弱いあなたには務まらない」と断られる。しかし、ここで諦めるわけにはいかない。すがる思いで3回お願いして、ようやく採用。

それからは毎日、息子をおんぶして一軒、一軒、家を訪ね歩く。戦争未亡人に優しい人もいたが、冷たい人の方が多かった。水をかけられ、物を投げられたことも一度や二度ではない。

慣れないセールスは辛かったが、仕事があるだけでもありがたかった。

少しずつ信頼してくれるお客様も増え、何とか今までやってこれた。

「私はね。自分の会社とお客様に心から感謝しているの。そして、あの焼け野原で私と子供を助けてくれた生命保険という仕事に。だから、こんなおばあちゃんだけど死ぬまで頑張ろうって」

これね。毎回泣いちゃう。

もう落語の名人の人情話聞いている感じで、NHKの朝の連続ドラマにして欲しいくらい。

せめて映像にしてyoutubeに保存しておいた方が良い。

そしてこの方の顧客を聞くと、びっくりするくらい大きい会社の創業者や経営者が何人も出てきて、さらに度肝を抜かれるわけです。

まあ、勝てませんよね。商品内容がどうこうとか、返戻率が高い低いのレベルじゃないですもん。

ちなみに勤務している保険会社では、取締役はおろか社長も、前の社長も、更に前の社長も、その前の社長もこの方には頭が上がらないらしい。。。。。

本社の廊下ですれ違えば最敬礼で道を譲り「社長さん、しっかりやって下さいね」と一言頂くのが伝統だそうです。

こういう古き良き世界が残っているのも奥深き生命保険業界の一面なのです。(笑)

本日のコラムでした。



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10月 7th, 2016 by