皆さんご存知の通り、昔はスタンダードだった「専業主婦世帯」が減り、現在は「共働き世帯」の方が多くなっています。
以下は厚生労働省が発表している専業主婦世帯と共働き世帯の比較ですが、20年前の平成10年あたりを境にして、両者が逆転していることが分かります。

平成26年の段階では、専業主婦世帯 687万に対し、共働き世帯 1,114万となっており、約6割が「共働き」ということになります。
このデータは「夫婦のどちらか、もしくは両方が働いている世帯」を対象にしたもので、20代中盤から60代中盤の「夫婦」で構成されると思われますが、つまり「専業主婦率」が高いと思われる50代や60代も入っていることから、40代以下の「共働き率」はもっと高いでしょう。
あくまで私の感覚ですが、40代、30代における「共働き」率は7,8割程度だと感じます。
職業柄、多くの家の家計のお話をお聞きしますが、専業主婦世帯の場合、当然のことながら夫婦のどちらが家計を管理しています。しかし、共働きの場合、ダブルインカムであることから、その管理方法には各家庭の「色」が出ます。
大別すると、以下の3つに分かれます。

①の個別管理方式は、夫と妻の財布はそれぞれ個別で管理しており、「住宅ローンと光熱費は夫」、「食費は妻」と内容によって支払いを分けています。
夫婦それぞれが貯金を持っているので、お互いがどれくらい持っているかも知らない場合もあり、まさしく「個別管理」です。
②のファンド方式は、「夫婦共同の口座(ファンド)」にそれぞれがお金を拠出し、ローンや光熱費、食費などの「生活費」はそこから引き落とす。という方法です。
個別管理よりはまとまりがありますが、貯蓄に関しては夫婦で別個なので、片方だけがしっかり貯めていて、もう一方は散財している。ということも多々あります。
本質的には個別管理方式と変わりません。

③の完全一体方式はお互いの収入を「一体」として見なして管理します。
具体的には夫婦どちらが二人分の口座を完全に管理し、片方は毎月決まったお小遣いを渡され、あとは必要に応じて「申請」を上げてお金を受取るよう感じです。
なお、このタイプは「怖い奥さんが旦那さんを締め上げる」イメージがありますが、夫が管理している家も少なくありません。
奥様の方が「お金の計算苦手だから」もしくは「持ってると使っちゃう」などの理由で「しっかり者」の夫が財布を握っている家も結構多いのです。
これら3つのタイプを分類すると、あくまで私の感覚ではありますが、①が30%、②が50%、③が20%という感じで、完全一体方式はやはり少ないですね。
しかし、この中で「お金が貯まりやすい」のはもちろん③の完全一体。最も貯まりにくいのは①個別管理です。
②のファンド方式はその中間という感じでしょうか。
理由を解説するまでもありませんが、個別管理だとどうしても無駄使いが多くなります。
また、実際にはほとんど管理していない場合も多く、
「口座に残っている金額」=「貯金」
という大ざっぱな状態で、特にDINKS(共働き、子供なし)に多い傾向があります。
それに対して、一体管理方式は「お金にしっかりしている方」がちゃんと金庫の鍵を管理しているので、無駄使いも少なく、効率的に貯蓄が出来るのでしょう。
そして、この方式で良く聞くのが、
「奥さんの給与には手をつけない」
というやり方です。
収入は二人分ですが「専業主婦世帯」のようにご主人の収入だけで生活するというもので、奥様の収入に関しては「ないもの」として考えます。
当然、お金の「貯まり」は早く、30代で数千万円の住宅ローンの返済を終えてしまうような方もいらっしゃいました。「貯蓄」の面だけで言えば理想です。

「お金が貯まらない」
多くのご家庭をまわっていると、一番多くよせられる相談ですが、このようなことをおっしゃる家庭はだいたい①の個別管理方式か、②のファンド方式で、
「だったら一体管理にすれば良い」
となりますが、これがそうはいかない。
ご夫婦の「散財する方(だいたい夫」が抵抗して、一元化できることは稀です。
はっきり言えば、一体運用の最大のチャンスは「スタート時」
つまり結婚した当初が大事で、そこで出来てないとだいたいダメですね。
誰だって自分の持っている権限を手放したくありません。
特にダブルインカムの場合、普段お金に困ることはありません。
つまり、生活が回り始めてしまうとそれがスタンダードになってしまって、そこからルールを変えるのは至難の業と言えます。
ご夫婦どちらにも収入があるが故、相互の利害があり、なかなか意見がまとまらない「お金の管理」。
しかし、問題を後回しにすれば、計画的に資産を築けず、苦労するのは未来の自分です。
今、我々夫婦は3タイプのどこにいるのか?
それを考えるきっかけになれば幸いです。
本日のコラムでした。
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