夏休み。この時期になると、
中学受験
の話を耳にする。
各家庭、中学受験生を抱える家では、夏期講習などが始まり、来年2月に向けた本番まで本格的な戦闘態勢に入るが、これも年末になれば、話題にするのもはばかられるほどの緊張感が漂う。
まだ、この時期は
「いよいよ始まるよ」
くらいの軽いノリがあり、ご自宅に伺うとお客様も話題にすることが多い。
昨今、中学受験をする割合は上昇の一途で、首都圏では何と7割。

10世帯に7世帯が受験をしていることになる。
仕事柄、色々なご家庭にお邪魔するが、受験生を抱える家では「夏休み」は大忙し。
通常の塾に加え、夏期講習、更には「特別」夏期講習も重なり、子供はもちろん、親も安穏とはしていられない。
特に母親は、
・スケジュール管理
・食事の世話、体調管理
・叱咤激励
と「子供のマネージャー」として八面六臂の大活躍。
「特別夏期講習、高すぎだろー、何が『特別』なんだかわかんねーし」
などと愚痴っているだけの父親とは大違いである。(ちなみにこの愚痴は100回以上耳にした)

しかし、そんな親の苦労はどこ吹く風。
当の子供はいたってマイペースで、夏期講習も
「友達に会える」
くらいにしか思っていない。
ちなみに私も30年前に「中学受験生」だったが、特別夏期講習は
「(夏休みなのに)『特別に』友達に会える講習」
だと勘違いしていた。

まあ、子供はそんなもんだろうが、この当人の緊張感のなさと親(特に母親)の切迫した思いは時に大きな軋轢を生む。
「勉強しなさい!!(母)」
「今しようと思ってた!!(子)」
という定番のアレだ。
「しようと思ってたのに、そう言われたから『やる気がなくなった』」
という高度な活用法もある。
ちなみに
「家の中がピリピリしててさ。。。早く受験終わって欲しいよ。。。」
こんな意見も世のお父さんから100回以上聞いた。

かくいう私も、勉強せずに漫画やテレビばかり見ていて、怒り狂った母にビンタされたことは一度や二度ではない。
「嫌ならやめなさい!!お金もかかるんだから!!」
と、どこの受験家庭では言われるド定番のお叱りをうけるが、子供の方は
「ここで『じゃあ、やめる』とか言ったら火に油だな。。。」
と意外に冷静で、渋々勉強机に向かっていた。しかし、いざ座っても上の空。
「将来は香港国際警察に就職して、ジャッキーと一緒に麻薬捜査をしたい」

などと、しょーもない空想ばかりしていた。
と言うのも、やはり勉強はつらい。大人は普段「勉強」しないから、そのことを忘れている。
自分の好きな教科はまだ良いが、苦手な教科の勉強は苦痛以外の何者でもなく、いくら強制されても12歳の自分には、そこまで自らを律することは出来なかった。
だからこそ、第三志望校にしか合格できなかったのだが、プレッシャーの日々と試験本番で良い結果が出なかったことは長らくトラウマになっていて、
「受験はつらかった」
という苦い思い出になっている。

で、実はこの「昔話」が重要なポイントだ。
多くの家庭を回り、受験への取り組み、そしてその結果として
「志望校に行けたか?」
ということを聞いていると、あくまで傾向だが、
・親が地方出身者、もしくは都内でも公立校出身者
のお子さんの方が志望校に合格しているケースが多い。
つまり、親が中学受験をしていない家の方がわりと願望を成就させている気がする。

自分が中学受験をしていると、良い意味でも悪い意味でも「経験」がある。
わずか12歳で突き付けられる「不合格」の痛みも知っているし、親が「勉強しなさい!!」と怒っていることに子供が本当はどう思っているかもわかっている。
本当は勉強していないことも薄々気づいてしまう。
自分が通ってきた道だからだ。
だからなのか、
「まあ、もしダメでも良いじゃない。頑張ったんだから」
とまるで、昔の自分に言っているかのような心境になってしまう。
また、自分が受験で「成功」した場合、
「私の子だから当然受かる」
という無言のプレッシャーもある。これもこれでキツイ。
要は思い入れが強すぎて、甘すぎるか、関与しすぎる傾向があるようだ。
その点、経験していなければ、細かいことは分からない。
特に中学受験における『算数』は特殊な世界なので、例え良い大学を出ていても解けない。だから完全に塾に任せるしかない。
そして、全く自分が出来ない問題をスラスラ解く我が子を
「スゲーなお前。。。」
と純粋に褒めることが出来る。
もちろんお子さん本人の出来にもよるが、親の期待(と言うか怨念)が過剰に乗らない分、良い結果が出やすのでは?と推測している。
結局のところ、
やる子はやる。親が何を言ってもやらない子はやらない。
のびのびやらせるのが一番。
という「超普通の話」に落ち着いた本日のコラム。
ちなみに私は算数だけは得意だったので、我が子が算数オンチだったら、おそらくキレる。
そういうのがいけない、と言っている自分自身が一番怨念に囚われているのだ。。。。
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