大手代理店 金融庁激怒の比較販売の闇


保険の比較販売について、先月末(2026年8月28日)、金融庁から保険販売に関する新たな「監督指針」が発表された。

内容としてはかなり厳しく、「ああ、金融庁は相当怒ってんなぁ」という感じ。

その骨子は以下の2つ。

・代理店都合での特定の保険会社の商品の推奨を禁止する

・複数の保険商品を比較し、顧客に合う商品を勧める「比較推奨販売」を徹底させる

背景には大手代理店の「手数料」を目的とした過剰な偏向販売がある。

特に医療保険が顕著だ。

名前は伏せるが、そこの現役社員から聞いた話。

医療保険の新規契約について、ある月はA社が全体の90%以上を占める。

翌月はB社が、その次の月にはC社が同じようなシェアとなるのだが、普通に考えれば「あり得ない」

保険相談に来た方が、その月だけ「偶然」にある会社を選択することなど確率的に考えて起こるはずがないからだ。

その理由は保険会社が大手代理店向けに「特別キャンペーン」を実施するから。

〇月の契約に関しては、通常の手数料に「〇%を上乗せ」をする

このような「キャンペーン」を行うことで、販売のモチベーションを上げるのだが、過去、何回もこのような行為を金融庁に怒られているので、最近ではその手法も複雑化し、ポイント(商品券などに替えられる)だとか、育成金だとか、色々と名目が変わっている。

また、昨今問題になったは「広告費」

大手代理店サイトには広告枠があり、そこに保険会社が広告を掲載し、対価として「広告費」を支払う。

それ自体に違法性はないものの、この「対価」がネット広告の相場を逸脱するほど高額で、これが実質的な「手数料上乗せ」ではないか?と指摘された。

何とも色々な方法を考えたものだが、それくらい「上乗せ」が常態化しているのだ。

大手代理店を担当する保険会社の社員の間で、

「1月をうちが、2月はA社さんが、3月はB社さんが」

と調整をしながらキャンペーンを設定しているというような話も耳にするし、恐らくはそんなところなのだろう。

こんな背景というか癒着があるため、大手代理店の本部も「〇月は〇生命を売れ!!」と号令をかける。

結果、前述のような「偏り」が発生する。

一般の方が聞けば眉を顰めるような話ではあるが、とは言え「お客様に不利益となるダメな商品を売っている」ということでもない。

実際のところ、このような仕組みで売られる商品はそれなりには「良い商品」だからだ。

お客様もバカではない。

勧められた商品がどのようなもので、他と比べて何か違うのか?保険料はどうか?ということは自分でも調べる。

そのため、これらのキャンペーンで販売される商品は一様に人気商品と言うか、保険人気ランキング的なものでも上位を占める商品であることが多い。

いくら上乗せ手数料があったとしても、悪い商品は売れないし、流石に現場も反発する。

「A社、B社、C社、正直、大差ない・・・」

保険のプロの目から見てもそんな状況なので、だったら手数料が高いA(もしくは、B、C)で良いよね、ということにもなる。

また、医療保険の場合、契約者から見た保障の良し悪しは「将来どの病気になるか?」によっても異なる。

A社はB,Cに比べ「がんの保障」がちょっとだけ良い

B社はA,Cに比べ「心臓、脳の保障」がちょっとだけ良い

C社はA,Bに比べ「長期入院」にちょっとだけ手厚い

がんになるならA社だが、心臓、脳ならB社、長期入院するならC社ということになるが、こんな先のことは保険相談を受けている方も、相談者本人も「分かるはずがない」

分からないことなのだから、A,B,C、どれが良いか?ということも正直何とも言えないわけだ。

「強い商品(医療保険)はいつも3,4コに絞られる。どれも似たり寄ったり」

これは保険の現場で働く者の本音でもある。

しかし、だからと言ってこのような「偏り」を肯定する気はさらさらない。

このようなことが認められれば、販売員はどうしたって初めからA社(もしくは、B社、C社)ありきで話を進めることになる。

A社であれば「やっぱりがんは心配ですよね。日本人の二人に一人はがんに」というところからトークが始まるし、B社であれば「一番怖いのは脳ですよ・・・」となる。

C社は「病気やケガがなんであれ、長期入院が経済的には・・・」と言う感じか。

どれも「そう言われればそうだよね」ということで間違った情報ではないものの、初めからお客様を誘導していることには変わりない。

本来であれば、全てのリスクについて理解してもらい、どこに重点を置くかということに関してプロとしての見解を述べ、お客様のご意見を聞く。

本音では「医療保険などどこでも変わらない」としても、まずは全てをテーブルに載せてから一つ一つ説明をするべきで、その点からも「今月は〇生命」というのはスタートから間違っているだろう。

そのプロセスを経ずに決め打ちで提案をするのは、手数料が欲しいがための「自己都合」でしかない。

と、こんな事情から冒頭の金融庁の「監督指針」が出たわけだが、保険の営業現場からすると何とも情けない「監督」でもある。

普通の営業は自身の良心に基づき、お客様のご要望に基づいた比較販売をしている。

一部の大手代理店のモラルなき行動に巻き込まれ、こちらまで怒られているようで、正直なところ気分は宜しくない。

本日のコラムでした。

 

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9月 5th, 2026 by