
元フジテレビ アナウンサーの長谷川豊さんのブログ。炎上しまくってますね。
・大前提として、先天性や遺伝子が原因の患者は救わなくてはいけない
・しかし、人工透析の患者には自業自得(ブログの中では暴飲暴食)の人が大多数いる
・そんな患者に1人当たり年間500万円の国のお金が使われている
・この皆保険制度を運営するために若者のお金が搾取されている
という論旨で、表現としては相当過激ですが、
「自業自得の透析患者の医療費は全額自己負担にして、出来ないなら殺せ」
と言っています。
しかし個別の病気のことだけを攻撃しているのではなく、社会保障にかけられるコストは限られていて、無尽蔵に使えるわけではない。ある程度のラインを決めて、医療制度にも自己責任とコストパフォーマンスの考えを持ちこむべきだ。という提言でした。
言葉のキツさへのアレルギーはあっても、高い社会保険料を取られ、不満がくすぶっている私世代(30代、40代)は、主旨としては共感を得るのではないかと思います。
しかし、実は水面下では既にこの動きが始まってることは知られていません。
始めて聞く方も多いと思いますが、QALY(クオーリーと読む)という指標があります。
元々はイギリスで導入されたもので、ざっくり説明すると200万円のコストがかかる治療を受けた患者が、健康で1年すごせれば
1(年) × 1(健康、もしくはほぼ同じ状況) = 1QALY
となり、治療や薬ごとに何QALYと算出します。
注:コストや係数はあくまで参考です。実際は各国の制度によって異なります。
この指標でコストと治療効果のバランスをはかり、ある基準値以下の治療法や薬は認可されません。

例えば延命効果はあっても健康な時の3割程度(寝たきり状態など)でしか生活できない治療法はQALY上の指標では0.3となり、この治療で3年生きられたとしても
3年 × 0.3(寝たきり) = 0.9QALY
しかカウントされませんから、先にご紹介した「健康で1年の治療法」の方が優れている。ということです。コストがかかり過ぎる治療もQALYを下げるように設計されています。
実際は複雑な計算をするのでしょうが、大枠としては
・健康体で生活できることを重視する
・コストをかけて延命だけをするような治療は認めない
・コストがかかりすぎる治療も認めない
という特徴があります。
この制度はイギリスの成功により、今では欧米各国で導入、もしくは検討されています。
さて、このQALY。
実は今年から日本でも検討が始まってます。
ほとんど報道されてませんが、かなり重要なことです。
現状では
「2016年度の次期診療報酬改定で試行導入される予定」
だそうです。
次期&試行&予定って、実際に導入されるのはいつなんだよ!!とツッコミそうになりますが、動き出していることは事実です。
長谷川さんが主張する「コストパフォーマンス優先の医療時代」は確実に迫ってきているのです。

しかし、各団体の抵抗もあるので、完全に導入されるまでには10年から20年程度はかかるでしょう。
そうです。我々の世代が老人になった時に直撃です。
高齢者が医療費を使い過ぎる!!自業自得の病気だ!!医療にも経済合理性を!!
その批判は時を経て自分たちにブーメランのように戻ってきます。
「加藤さん。残念ながらあなたの腎不全は自業自得です。QALYも低いので、国の保険で人工透析は受けられません。年間500万円支払えないなら。。。。残念ながら死んで下さい。」
そう言われる日も近い。
今週は残暑が厳しいので、ちょっと背筋がヒンヤリするお話でした。
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