会社員がはまる「給与合算節税」という麻薬


最近、会社員の「節税」というコンテンツを良く目にします。

会社員の場合、よく言われるように税金が

「ガラス張り」

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そのため、節税の手法は以下のように限られます。

・個人型DC(掛け金の全額所得控除)

・住宅ローン減税(ローン残額による税額控除)

・医療費、生命保険、年金保険などの「控除枠」の利用

ざっとこんなところでしょうか。


これらの節税に関しては、何の問題もありませんが、更に一歩踏み込んで

給与所得以外の収入を得ることにより、給与所得と合算して節税をする

という方法があります。

代表的なものが「マンション投資」です。

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マンションを購入すると、

収入 賃貸料

が入ってきますが、

支出 借入のローン+管理費・修繕費用

がかかり、多くの場合、「多少儲かる(場合によっては多少マイナス)」程度です。

しかし、税務上は得られた賃貸収入から

・ローンの金利(返済金額は含まれない。あくまで金利だけ)

・建物の償却費用

が「収入」とされます。

この償却費用が賃貸収入を大きく上回ることが珍しくありません。

実際には「多少儲かっている」のに、税務上は「マイナス(損失)」ということになるわけです。

そして、このような不動産所得のプラスやマイナスは、

「給与と合算する。」

というルールがあります。


ちなみに、給与所得と合算するものは、

・不動産所得

・事業所得

・山林所得

・譲渡所得

の4つ。これらの頭文字意を取って、不事山譲(フジサンジョウ)と言われます。

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山林と譲渡に関しては、あまり関係がある人はいないので、特に触れなくても良いでしょう。

前述のマンション投資は「不動産所得」にあたります。

または副業で「事業」をやっている方。(アルバイトは除く)

例えば、空いている時間を利用してのシステム開発やweb制作、翻訳、または趣味性の高い物をヤフオクで売買しているような場合、

「事業所得」

となります。(但し、売上で数百万円などの「ある程度」の規模が必要)

このような会社員としての給与意外に「不動産」や「事業」の収入がある場合、給与と合算するのですが、一般的には下記のようになります。

図3

不動産や副業で「儲けている」のですから、当然、その分税金も上がります。

しかし、前述の不動産のように売上より経費が多かった場合、つまり「儲からない」場合はどうなるのでしょうか?

この時は給与から損失を引くことが出来ます。

図2

つまり、副業の損失を給与で補っているので、その分「総収入」が減り、税金も安くなります。

実はこの仕組みを利用して、税金を下げている人がいます。

先ほどのマンション投資も、経費である「減価償却」を利用して、マイナスを出し、その分給与の所得が減ることになります。

*マンション投資の販売業者もほとんどこの節税トークをします。

高年収でも、複数のマンションを所有することで、このマイナスを増やし、

「ほとんど税金を払ってない」

という場合も結構あります。



しかし、これは合法。

そのようなことを指南する本も沢山出てますね。

特に問題になったような話は聞いたことがありません。

最近、良く耳にするのは「事業所得」の方です。

働き方改革などの影響もあり、

本業以外にも仕事を持て!!

ということが推奨されていて、意外とやっている人が多いんですよね。

この場合は損失を作るために、生活費や遊興費など、何でもかんでも経費に入れて「わざと」赤字にします。

実際に損失が出ていれば仕方ないのですが、「経費を水増し」し、損失を作り、それを給与と合算することで税金を下げているのです。

これは「架空経費」ですから完全にアウト。

しかし、あまりに事業規模が小さく、損失も小さければ、税務署もそこまでかまってられないという事情もあり、

「見つからない」

場合も多いように感じます。

そして、この経費の水増しを自信満々に言う方がいますが、調子に乗って何年も同じことをやっていると、当然ながらいつかはばれます。



そして、このようなスキームで節税している方は、

年々損失額が増える(嘘の経費が増える)

傾向があり、「給与からの還付金」をまるでボーナス感覚で楽しみにしています。

まさに麻薬。

やっているうちに、「どれだけ税金を払わないで済むか」ということをゲームのように楽しんでいるようです。

中には所得税どころから住民税すらほとんど払っていないような人もいて、賢いというよりは「セコイ」と感じます。

税金払ってないんだから公共の公園とか、図書館とか使ってほしくないですね(笑)

きっと捕まる(税務署に怒られる)までは懲りないでしょう。

こういう方に限って、

「大丈夫、大丈夫。俺のとこなんて税務署来ないから」

と妙に楽天的だったりしますが、来るときは来ますからね。

まあ、世の中悪い人もいますよ。。。。という本日のコラムでした。



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6月 3rd, 2017 by