大人の秘密の会合「無尽」沖縄で続く「摸合」


無尽って知ってます?

ムジンと読みます。

父と母が、月に一度

「今日は無尽の日だから、ちょっと行ってくる」

と出かけるのを見て、

「ムジンって何だ?」

と思ってました。「内緒の大人の集まり」
秘密結社的な響き「ムジン」

ご年配の方はご存知だと思いますが、無尽とはメンバーが毎月一定の金額を出し合う互助会みたいなものです。

歴史は古く、鎌倉時代からあったそうです。



例えば、12人のメンバーが毎月1万円を拠出する。12万円が集まる。
ある月はAさんがこの12万円を受け取る。翌月はBさんが受け取る。
Cさん、Dさんと続き、12ヵ月後にAさんに戻る。

「これ、何の意味があんの?。。。。。」

大人になって、母親から無尽の仕組みを説明されても、そのメリットが全く理解できず

「ただ単に自分でお金貯めてるだけじゃん。。。。」

と思っていました。
しかし、よくよく聞いてみると結構複雑なルールがあって

・先取り(自分の番じゃないけど、色々な事情で先に欲しい人)する場合は、翌月以降500円をプラスし、次回の自分の番まで払い続ける。つまり「利子」を払う。この500円は別枠で貯まっている。

・スキップ(自分の番だけど、受け取らずに次の人に譲る)すると、自分が受け取る時に貯まっていた「利子」を総取り出来る。

などなど。

これらのルールは地域ごとに特色があるようです。



しかし、無尽の最大の目的。それは「飲み会」です。
まあ、結局のところは気心が知れた人同士が集まって、ワイワイ騒ぐ。それが楽しいみたいですね。

なので、前述のお金の取り合いも結構アバウトで「〇〇さんのところ、奥さんが入院して最近大変だろうから」みたいな理由でお金を渡したり、自分も何かあると貰ったり。などなど義理人情が幅を利かせていて

「結局プラスなのかマイナスなのか分からない。」

という状態。まあ、仲間内のお付き合いですね。

中には自分の番ではないのに「先取り」して、そのまま逃げちゃうような人もいるようです。
そうなると仲間からは「あいつの会社はヤバイらしい」と悪い噂が立ちます。複数の無尽に参加しているメンバーもいるので、そういう噂がもの凄いスピードでそれぞれの無尽に伝わるそうです。現代のLINEのようですね。

お互いにお金を出し合うことで信頼を担保し合う部分もあるのかもしれません。



しかし、この無尽。もの凄い昔っぽいですよね?

仲間内のお金のやり取り、毎月の飲み会、付き合い、義理人情。昭和の香りがプンプンです。

なので最近はほとんど聞きません。
父や母が参加していた無尽も自然消滅して跡形もありません。

が!!この無尽がいまだに大盛り上がりしているところがあります。

それが沖縄です。

沖縄では無尽ではなく摸合(モアイ)と言います。

仕組みはほとんど同じですが、こちらも飲み会がメインのようです。
学校同窓の摸合、会社の摸合など、複数掛け持ちするのが当たり前のようで、お酒好き、仲間を大事にする県民性が現れていますね。

 

沖縄では文房具店に摸合を管理する帳簿も販売されています。

模合帳簿

出展元:りゅうが商事 HPより

その名もそのまんま「摸合帳簿」



そして最近ではスマホのアプリにもなっています。

Cover art

モアイチェーン

仕組みは昭和っぽいのにスマホのアプリ。
古いのか新しいのか全く分からない進化を遂げている。それが沖縄の摸合(無尽)です。

ちなみに余談ですが、この無尽。
明治から昭和のはじめにかけては日本各地にありました。

運営者が人格者だったり、ルールが魅力的だったりすると一気に口コミで資金が集まって巨大化し「無尽会社」と言う法人になりました。

中には詐欺のようなものもあったようですが、戦前は銀行と双璧をなすほどの「金融機関」だったそうです。

余談ついでにこの無尽会社が戦後、地方銀行となりそれらをまとめたものが現在の「第二地方銀行協会」です。

へー、という感じですよね。
本日は無尽についてでした。



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10月 10th, 2015 by