娘と公園へ そこにいる「変な少年」の考察


公園

それは家の近所のワンダーランド

子供が産まれる前は何の興味もなかったが、我が子が産まれてからの公園は本当にありがたい。

そして、当たり前のことながら全てが無料。

今更ながら日本の行政に感謝するのである。

週末のたびに娘と

「今日はどこの公園に行こうか?」

と相談することは父のささやかな喜びであり、父と娘が家を空けてくれる数時間は妻にとっても至福の時でもある。

さて、そんな親子は、ちょくちょく公園で「変な少年」と出会う。

良く分からないが我々2人はそんな少年を引きつけてしまうようだ。

本日はそんな少年との思い出を邂逅してみよう。




変な少年 その1 岩を掘る少年

家から1キロほどの公園。

ここは砂場がとても整備されていて、砂を使ったクッキングごっこが好きな娘のお気に入りである。

ある日、父と娘で遊んでいると、小学校2,3年の少年が近づいてきた。

「スコップを使わせてくれ」

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と言うので、貸してやった。

すると、一心不乱で砂場を掘っているではないか。

あまりの気迫に

「何をやっているんだ?」

と訪ねると、

「岩を探している」

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と言う。

「砂場に岩なんてないだろう?」

「いや、ある。この前大きいのを見つけたが、その時は採れなかったので今日は必ず採る」

とのこと。

まるで、熟練の猟師が仕留めそこなった熊を追い続けているような口ぶり。

変な奴だな。

と内心思ったが、とりあえずは放っておいた。

数分後。

「見つけた!!」

と叫ぶ。思わず

「逃がすな!!」

と乗ってしまった。

「ちょっとおじさん、手伝って!!」

と言うので、近くに行ってみると彼が砂場に掘った大きな穴の先に岩の一部が見えていた。

何となくさらに奥には大きな岩が潜んでいるかのような佇まいだった。

「これは氷山の一角だな」

「ヒョウさんのいっかく?何?どういう意味?」

小学校低学年には少々難しかったようだ。

「まあ良い。おい少年。これは揚げるには少々骨が折れる。まずは周りから掘り進めろ!!」

「分かった!!」

熊を仕留める猟のはずが、いつの間にか古代遺跡の発掘プロジェクトに変わっていた。

気分はエジプト考古学の吉村教授である。

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そこからは、少年と娘と父で必死に岩の周りを掘り返した。

10分後。

出てきたのは全長30cmの「まあまあ」大きい岩だった。

娘は「やったー!!」と叫び、少年は「うんうん」と頷いている。

あとはこいつを持ち上げるだけだ。

が、意外と重い。

少年も手伝ってくれるが、正直なところ何の役にも立ってない。それどころか逆に危ない。

何度かチャレンジしたが、とてもじゃないが父一人では無理だ。

こういう時、出来ないことは出来ないと言うことも大人の務めである。

「残念ながら、我々にはこの岩を持ち上げることは出来ない。」

すると、悲しい顔をするかと思っていた少年は意外なことを言った。

「分かった。でも、こいつがここにいることが分かったから、俺、もっと大きくなってから、またチャレンジするよ!!

なんて良いことを言うんだ少年よ。

見ず知らずの少年から「諦めない心」を学び、父は不覚にも泣きそうになった。

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そして少年は自転車にまたがり、颯爽と去って行った。

なんでも習い事のテコンドーの時間らしい。

一体この岩を掘り返すことに何の意味があるのか?

大人になってしまった父には分からないが、少年にはいつかその思いを叶えて欲しいと願わずにはいられない。



変な少年 その2 都会の陰陽師

ある日。公園で棒切れを拾い、娘と2人で土の地面に落書きをしていた。

娘はアンパンマンを書いたので、父がその周りに星マークを書いていると、後ろから

「それはまずいな。。。」

という声を聞こえる。

気づくと、真後ろに神経質そうな顔をした痩せ型の小学生が立っている。砂場の時と同じくおそらくは2,3年生だろう。

「何か問題でも?」

と聞くと、

「ええ、それは呪印の中でも最強クラス。早く封印しないと地上に魔の者が出てくる」

と言う。

こいつはヤバイ奴だ。

父は本能的にそう思ったが、面白そうなので乗ってみた。

「ええ!!気づかぬこととは言え、大変なことをしてしまった!!先生、なんとかなりますか?」

すると、眉間に皺を寄せて

「うむ。難しいかもしれないが、最強レベルの封印術で封じてみよう」

と言う。

「ところであなたは一体?。。。」

その問いに一言。

「通りがかりの陰陽師です。」

大爆笑しそうになったが、なんとか笑いを堪えた。

横では娘が

「このお兄ちゃんアホだよなー」

と言うので、シー、と人指し指を立てて黙らせた。

彼の世界観を壊してはいけない。

封印術が始まった。

私が描いてしまった呪印に左手を添え、右手は指二本を立てる。そして何かしらブツブツと呪文を唱えている。

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娘と2人、それを横で眺めていたが、こちらが関心するくらい真剣である。

なんだか、自分が本当にとんでもないことをしてしまった気がするから不思議だ。

そして数分後。

エイ!!

という掛け声と共に左手で呪印を消し去った。

固唾を飲んで見守る父に少年は言った。

「何とか抑えた。。。。本当に危なかった。」

無事、封印は成功したのである。

「ありがとうございます!!お陰で世界は救われました!!」

そう言うと、満足げに頷き。

小さな陰陽師は去って行った。

私たち親子は小さなヒーローを忘れない。

しかし、同時にあのシリアスな演技に付き合うのは疲れるので、出来ればもう二度と会いたくない。とも思う。



今週は何もネタが思いつかないので、随分と下らない話になってしまった。

他にも数々の「変な少年」と出会ったが不思議と「変な少女」には会ったことがない。

やはりどんな年代でも、男は夢見がち、女は現実的なのであろう。

思えば、どの少年も友達とつるまず一人でブラブラしていた。

なんだか同世代からも「変わった奴」と浮いてそうな子たちだったが、学校でいじめられてたりしないだろうか?

しても仕方のない心配をする父であった。

本日のコラムでした。



 

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3月 18th, 2017 by