子供の問題 親の解決力


生命保険のセールスというのは、ごくごくプライベートな部分に踏み込む仕事なので、お客様と仲良くなると、家庭のトラブルについての相談を受けることもあります。

夫婦喧嘩は犬も食わない

と言われますが、我々保険屋は夫婦喧嘩にも付き合いますし、場合によっては

「こういう風に考えたらいかがですか?」

などと、偉そうにアドバイスすることもあるわけです。

多くの家庭を見て、多くの家族の形に触れてきている分、ご本人が近視眼的に見てしまう問題を、やや離れたところから分析できるのかもしれません。

このような様々な相談(と言うかグチ)の中でも、深刻なのは「お子様の問題」です。

toraburu

誰かを殴ってケガさせた

学校の備品を壊した

など、「元気ですねー」で済むものから(と言っても親御さんは大変そうですが。。。)

苛められている

逆に苛める方に加担してしまった

というような、根深いものまで色々ありますが、これらの問題の難しいところは、

親本人では解決できない

というところです。



あくまでも子供の問題であるのに、精神学的に言うところの「母子一体感」が強ければ強いほど、親も苦しみます。

ちなみに母子一体感とは、

「母が我が子と一体となり、我が子が傷つけられれば、自分が傷つけられたように感じる」

という感覚です。

このように書くと、子離れが出来ていない甘い親という印象を受けるかもしれませんが、決して悪い感情ではなく、むしろ子供が小さい頃は、この感情がないと子育ては出来ません。

赤ちゃんの頃の夜鳴きや、理由の分からないグズリなどに母親が根気強く付き合えるのは、この母子一体感によるものとされています。

なお、父親よりは母親の方がこの感覚が強いので、言葉として「母子」となっているだけで、男性にも当然ながら「母子一体感」はあります。

余談ながら、仕事でも部下の指導などで度を越して「熱血」な人は、この母子一体感が強過ぎる傾向があるとされています。

他者と自分を一体に考えてしまうことで、

「何でこんなに心配してるのに分からないんだ!!」

angry

と、時には怒りに転化してしまうこともあり、母子一体感の表は愛情、裏は憎悪とも言えるかもしれません。反抗期を迎えた子供と母親の関係を思い浮かべるとわかりやすいでしょう。

少々話が逸れました。

このような子供の問題で親も一緒に悩むわけですが、とは言え、親が苦しんだところで事態が好転するわけではありません。

前述のイジメのような問題でも、学校へ対策を求める、親同士が話し合う、場合によっては転校させる、など、親でないと出来ないサポートは最大限してあげるべきですが、当然ながら本人に代わって解決することは出来ません。

諸々の問題もあくまで子供が自分で乗り越えるしかないからです。

しかし、このような悩みも

「子供が小さいうち」

の話で、大人になってからは事情が異なります。



仕事柄、中小企業の経営者にお会いすることが多いですが、立派に頑張っている跡取りもいれば、失礼ながら問題のあるお子さんもいらっしゃいます。

成人して立派な大人になってからも問題を起こす子供がいますが、親にもたらすインパクトは、小さいころとは比較になりません。

高畑淳子さんや、みのもんたさんの息子さんが起こした事件が、親の仕事や人生に大きなダメージを与えたことは記憶に新しいところです。

高畑家、みの家の場合は犯罪ですが、そこまでいかなくとも不倫や金銭トラブル、酒、ギャンブルなどの依存症など、子供が問題を起こし、親に迷惑をかける場合があります。

このような時、不思議な話ですが

「子供が小さいうちのトラブル」

より

「大人になってからのトラブル」

の方が親が活躍します。

子供が小さいうちのトラブルは、子供の世界で起こることですから、親が立ち入ることが出来ません。

しかし大人になってからのトラブルは、大人同士の話なので、迷惑をかけた方も、かけられた方も、親も子も同じルール中にいます。

したがって、やろうと思えば親が全ての問題を解決できるのです。

小さな子供のトラブルは、親が出来ることが限られているので解決までに時間がかかります。

数カ月ぶりに親御さんお会いして進捗を聞いても

「進展なしで、困ってる」

ということが往々にしてありますが、大人になってからのトラブルは解決までのスピードが早く、問題を起こした当人も1カ月くらいでケロッとしている場合が多いです。

不思議な話ですが、子供の頃には通用しない親の力が大人になると一気に通用してしまうのです。

借金なんか一番簡単で、ネットで振り込んで5分で解決です。

高畑祐太さんの事件も、その顕著な例と言えます。

あの時、世の中には「示談にせず刑務所に行かせるべきだ」という論調がありました。

本人のことを思えば、「厳しく突き放す」方が良い決断と言えますが、そうは出来ないのが親心

しかし、安易な救いの手は「子供のため」という言葉を借りた、母子一体感の満足でしかないのかもしれません。

子供が小さい頃。問題を乗り換える姿を、歯がゆい思いでハラハラしながら見守る。

大人になった我が子でも、同じスタンスでいなくてはいけないのでは?と思わずにはいられません。

と、こんなことを言っていても、私も人の親。

いざ、娘、息子が問題起こしたらどういう反応をするのか、自分でも分かりません。

可愛い子には旅をさせろ

獅子は我が子を千尋の谷に落とす

古来より、子供にには厳しく接するべし、という格言がありますが、なかなかどうして。。。。

自戒の念を込めた本日のコラムでした。



 

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1月 14th, 2017 by