本当にシャレにならないかんぽ生命の不祥事


かんぽ生命の一連の不祥事。

かなり控え目に言っても・・・

おったまげた

同社のプレスリリース(リンク)を読んだが、超ド級のことをサラッと報告している。

ざっと抜き出してみる。

1 2018年11月、1ヵ月間の「乗換契約 21,000件」のうち「同一商品間での切り替え 5,800件」からサンプル抽出して調べた結果、特約切替等で対応出来た例が「確認できた」

2 乗換に際し、引受謝絶となったケースが15,800件
(2014年4月~2019年3月)

3 乗換後、告知義務違反により契約解除、もしくは保険金が支払われなかったケースが3,100件
(2014年4月~2019年3月)

1はとても難しい内容で、この業界の人間でないと意味が分からないかもしれない。

なるべく簡単に説明すると、まず、昔から続けていた商品Aを「解約」して、新たに商品Bに切り替えることを「乗換」と言う。

良くあるのが「新しい医療保険が出来たので」というやつで、現在契約している医療保険〇〇という商品を「新商品」の「医療保険〇〇+α」などというものに換える。

これはこれでメリットもある。

今までになかったような保障が付いたり、場合によっては保険料が下がることもあるから。
(実際には保険料が上がることが多いが)



しかし「同一商品間での切り替え」とある。

これには「?マーク」しか浮かばない。

同じ商品であれば、歳をとった分、保険料が上がるだけ。

切り替えても何のメリットもない。

それが2018年11月だけで5,800件もあり、そこからサンプルを調べたところ「特約(オプション)切替等で対応」出来た件が確認できた。とある。

そりゃそうだろう。

なんせ同じ商品なのだから。

乗り換えたって特約(オプション)は同じ。

ニーズが変わったのであれば、以前からの「保険料が安い(若い頃に加入した)」契約に特約を付けたり、外したりすれば良いだけで、わざわざそれを解約して「保険料が高い(年齢が上がった)」同じ商品に新規で加入する必要はない。

こんなわけの分からないことをサラッと言っていることに驚く。



更にびっくりしたのは、2と3。

契約乗換に際し、引受謝絶となったケース。

商品Aから商品Bに切り替える。

こんな時、普通はAを残したまま、Bを契約し「Bが加入出来てから」Aを解約する。

切り替える時に、AとBを多少なりとも重複させておくのは

生保の常識だ

先にAを解約してしまうと、健康の問題でBに加入出来ない場合「何の保険もない」ということになってしまうからである。

そして、そんなケースが15,800件もあると言う。



そして極めつけはこれ。

乗換後に「告知義務違反」で契約解除、保険金の支払い対象外が3,100件。

乗換の時に「ウソをついて加入した」ので、それがバレて契約が解除されたり、実際に入院や死亡した際、保険金支払いの時にそれが分かって「払わない」ということがこれだけ大量に発生している。

これも「乗換」しなければ良いだけの話。

何故、告知義務違反などという余計なリスクを侵して保険を切り替えるのか?

その結果、契約がなくなったり、本来受け取れているはずの保険金が受け取れないのである。完全に販売員のミスリード。いや、契約欲しさの悪意的行為と言える。

そして、この被害にあった人のほとんどが高齢者だと言うから呆れるしかない。

この業界に入って16年目だが、ここまでの不祥事は記憶にない。

私もこの業界で長らく飯を食ってきた。

だからこそ綺麗ごとばかりを言うつもりはないが、

これはあまりに酷い

今後契約を精査し、不利益や不適切な説明をしていた契約に関しては、

「乗換前の契約状態に戻す」

と言うが、それで済むのか?という気がする。

こんな不祥事が出たから言うわけではないが、ここ数年のかんぽ生命の現場が疲弊しているという話はちょくちょく耳にする。

保険に関しては、歩合制が導入され、実質的にはノルマもあると聞く。

とは言っても、元々は郵便局の人たち。

保険のセールスのプロである民間保険会社の営業マンには、スキル的にも商品的にも勝てない。

そのため、郵便局に絶大な信頼をよせる「お年寄り」にターゲットを絞って強引なセールスをしているという噂は聞いていたが、その実態がここまでひどいとは・・・

いくら民営化されたとは言え、未だに「かんぽ生命=国」だと思っている方は多い。

その信用を逆手にとって、こんな詐欺的行為を繰り返していたのであれば、かんぽ生命に存在理由などない。

本日のコラムでした。



 

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6月 27th, 2019 by