みかづきナビです。
経営者は常日頃からいかに自社の利益を安定、発展させるか?という点について苦慮しています。
毎年一定の利益が出ている。もしくは増え続けている。このような状態の時は良いですが、景気の動向や予測できない事態によって、黒字から赤字へ転落してまう事もあり得ます。
そんな時「黒字の時に支払った税金が戻ってくれば・・・」と思う経営者は多いでしょう。
「そんな都合のいい話あるわけない。。。」と思っている方、実はあるんです!!
前年に支払った法人税を取り戻す事のできる制度。それが
「欠損金の繰戻しによる還付」制度です。
この制度は、ある年に赤字が生じた場合、その赤字をその前の期の黒字と相殺してもらえる制度です。ひらたく言えば前期に支払った税金を返してもらうことが出来るのです。
国税庁のHPから制度の概要を一部引用しました。何が書いてあるかよく分からないと思いますので、解説を交えて説明していきたいと思います。
制度を調べるうえでのポイントを、
「誰が?」
「どんな時に?」
「どれくらい?受けれるのか?」
という3点に絞ります。
下記のように細かく定義されていますが、一般的な中小企業と考えて差し障りないようです。
【対象法人について】
1.普通法人で、事業年度終了時における資本金(又は出資金)の額が、1億円以下
(資本金5億円以上の法人等の100%子会社は除く)
2.公益法人又は協同組合等
3.法人税法以外の法律によって公益法人等とみなされる法人(管理組合法人等)
4.人格のない社団等(PTA、マンションの管理組合など)
です。
中小企業の場合、赤字になった場合の資金繰りなどの悪化の影響が大きく出る場合が多いのでその救済措置としてこの制度が使われます。
適用要件は、次のすべてに該当する必要があります。
1.黒字の期と赤字の期が連続していて青色申告書である確定申告を提出している事
2.赤字の期に青色申告書である確定申告書を提出期限までに提出している事
3.2の確定申告書と同時に欠損金の繰戻しによる還付請求書を提出する事
つまり、前期が黒字で、今期が赤字である事。
取引をしっかり記録し損益計算を行う青色申告をしている事。
申告書、請求書を期限内に提出している事。
要はしっかり決算書類を提出していて、ちゃんとやることをやっている中小企業については前年の黒字分で支払った税金をお戻ししましょう。ということです。
最後に、肝心の「どれくらい税金の還付を受ける事が出来るのか?」という点について下記の表を例にご説明します。
計算式は
前期の法人税額×(当期欠損金額※/前期の所得金額)
となります。
例えば、平成26年度の所得金額が800万の法人があります。この場合、800万円の利益に対して法人税は120万円かかる計算になります。
ここから赤字の額(欠損金)に応じて2つのケースを見てみましょう。
まずはケース1 赤字(欠損金)が500万円の場合。上の計算式に照らし合わせて
還付金額=120万円×(500万円/800万円)=75万円
となります。
次にケース2 赤字(欠損金)前期の利益を大きく越えて1,000万円出てしまった場合です。
還付金額=120万円×(800万円※/800万円)=120万円
この場合、制度のルール上、前期の所得金額の800万円が限度となります。1,000万円のうち800万円までしか使えません。
前期120万円の法人税を負担し、今期は赤字分に応じてその全額の120万円を還付するわけですから、当然ながら残りの200万円分の赤字については還付してもらうことは出来ません。
しかしこの場合でも、200万円の赤字は無駄にはならず翌期移行に「繰越控除」を受ける事ができます。「繰越控除」は赤字を翌期移行9年間控除する事ができます。
つまり「繰戻しによる還付」と「繰越控除」の併用により、前年、翌年さらに9年後まで赤字と黒字を相殺することが出来るのです。
「繰戻しによる還付」「繰越控除」の違いは、どちらも法人税負担が減るという点については違いがありませんが、「繰戻しによる還付」は前年に支払った法人税を「今」取り戻す、「繰越控除」は「将来」払う予定の法人税を減らすという効果があります。
なお「繰戻し還付」は法人税の特例であって、地方税には「繰戻し還付」の制度はありませんのでご注意下さい。あくまで法人税だけが対象です。
どちらの適用をうけるかは経営者の判断となりますが、次のような場合は繰戻しによる還付を受けた方が良い気がします。
・資金繰りを重視する
・長期的に黒字化の見込みの目処がたっていない
また、条文上「還付」の請求を行った場合、税務調査を行うと記載されています。必ずしも税務職員が会社に来て、実地調査が入るわけではないようですが、繰越還付を受ける際には、税務調査が行われる可能性についても念頭に入れておくといいでしょう。
還付、控除のどちらが会社により効果的であるか税理士と相談の上決定することをお勧めします。
このような制度もありますが、法人で加入する生命保険にも同じような利益を平準化する(現在の利益を将来に繰り越す)効果があります。
法人税の特例、生命保険の活用。どちらも一長一短がありますが、経営にバランス良く組み入れることが重要です。
みかづきナビでは生命保険いっぺんとうではなく、色々なアプローチでお客様の財務戦略をサポート致します。
是非、一度ご相談頂ければ幸いです。
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