みかづきナビです。
本日は生命保険を活用した退職金積立について解説致します。
退職金を積み立てるための方法は色々ありますが、大きく分けると下記の3つに分類されます。
1 現金で貯める
2 公的制度を利用する(中小企業退職金共済など)
3 生命保険を利用する
それぞれのメリット、デメリットを見ていきましょう。
現金で貯める?! 安心感はあるけど、危険なケースも
現金で貯めるという方法は、小規模な会社を中心に意外と多くの会社で行われている方法です。また退職金規定もないことが多いです。
余ったお金を貯めておく、という非常にシンプルな方法で、退職者が出た時には残ってる預金とその退職者の貢献度に応じて、社長が「ご苦労さん」と言って渡します。
手元にキャッシュが残っている安心感もありますし、退職金制度をある意味「グレー」にしておくことで、社長の一存で退職金の金額を決めることが出来ます。
しかし、この方法はデメリットも多く、かつ危険です。
まず積み立てている退職金の原資(と言うより貯金)は、法人税を支払った後に残ったお金ですから税金面の優遇はありません。
また、しっかりと退職金規定を作っていないので、のちのち労使トラブルを招くこともありえます。「Aさんは退職金が300万円だったのに自分は200万円だった。どういうことか説明して欲しい」というようなクレームです。
経営者サイドから見れば「Aさんは会社に貢献したけど、あなたは違うでしょ。。。もらえただけで満足しろよ。。。」と思っていても残念ながら通用しません。
労働基準局に申し立てされた場合、ほぼ100%負けます。
またそのようなトラブルに巻き込まれると経営者の身体的、精神的ストレスは相当なものです。
現金が手元にある、ということは安心感があるだけでなく、経営に選択肢が生まれます。退職金と言っても会社が存続してこそ。いざという時、ここぞという時は事業のために現金を使えますし、その結果「退職する時に払えるなら払ってあげたい」というのが経営者の本音かもしれません。
しかし、それはとても危険なことなのです。
メリット
・手元にキャッシュがある安心感
デメリット
・税金面での優遇がない
・ルールなく退職金を支払うと労働トラブルになる可能性がある
公的制度は税金面での効果が大!!
次に公的な退職金積立制度について解説します。ここでは主に中小企業退職金共済。通称「中退共」について取り上げます。確定拠出年金や確定給付年金などの制度もありますが、こちらは主に大企業向けです。
まず、中退共の大きなメリットは「掛金が全額損金」になるということです。
国が運営している制度であること、従業員の福利厚生のための積立であること、などの理由で掛金が全額損金として処理できます。
そのため「退職金を準備したい」というとイコール「中退共」というくらい浸透しています。
また、Aさんには月々いくらかける、というように支払った掛金がそれぞれの従業員に紐ついているので大変分かりやすく、国が運用しているので安心感もあるようです。
しかし、全額損金であるがゆえ、大きな制約があります。
それは一度支払った掛金はどのような理由があっても法人には戻ってこないということです。
従業員が退職した際は自動的に各従業員に退職金が支払われます。また、短期(11ヶ月以内)で退職した場合には支払った掛金は戻ってきません。そして、従業員が会社に不利益を与えて退職した場合でも、それまでの掛金は戻ってきません。
法人から申請して「従業員個人に中退共から退職金を支払わない」という選択肢はありますが、法人に戻すことは出来ず、それまで貯めてきた掛金は没収されてしまうのです。個人的にはこれが一番問題だと思っています。
中小企業の退職の現状を見ていると、残念ながら円満退職ばかりではありません。
退職時に自社の顧客を持っていったり、スタッフを引き抜いたり、ひどい場合は横領などもあります。そのような時でも今まで負担した掛金が戻ってこないので「腹がたって眠れない」とおっしゃっている社長さんもおりました。
メリット
・掛金が全額損金
・個従業員ごとに積立るので分かりやすい
デメリット
・一度支払った掛金は法人には絶対に戻ってこない
・短期退職や、会社に不利益を与えて退職した場合、没収されてしまう
保険活用は現金貯金と公的年金の良いとこどり!?
最後に保険を活用した場合です。
退職金を保険で積み立てることは、今までご説明してきた「現金で貯める」と「公的年金」の良いとこどりともいえます。
色々なプランがありますので、今回は具体的な商品には触れませんが、まず掛金は全額もしくは半分が損金になります。主に半分損金が主流です。
これは会社の経営上、税負担の圧縮につながります。
また従業員が退職した場合、それまで積み立ててきた掛金は一度法人に戻りますので、会社の判断で退職金を支払うことが出来ます。
先に述べたような不利益を与えた退職や懲戒解雇の時には支払う必要はありません。
そして最大のポイントは「支払った掛金は常に法人のもの」であることです。
そのため、全従業員の契約については経営者の判断で、解約や減額、貯まっている解約返戻金の中からの貸付などを行うことが出来ます。
もちろん大切な従業員の退職金原資です。安易に手を着けられるものではないと思いますが、会社がなくなってしまえば退職金もなくなってしまうことも事実です。いざという時には重要な資金として活用いただけます。
メリット
・掛金が全額、もしくは半分損金
・個従業員ごとに積立るので分かりやすい
・積み立てたお金はあくまで法人のもの。経営者の判断で解約、減額、貸付が自由
デメリット
・現預金に比べれば自由度が低い
・中退共に比べると経営サイド寄りのシステムなので、従業員の権利としては弱い
このように三者三様の特徴がありますが、実際はどれか一つだけ、というより組み合わせて退職金制度を整備しています。
個人的には、中退共を多少やっておいて、上乗せ分と税負担の軽減を目的に生命保険を使う「中退共、保険併用」が一番現実的ではないかと思っております。
また、長い間パートで勤めた方、顧問のような形で高齢ながら数年勤めた方などは、中退共や生命保険が適用しづらく、現金で支払う方が現実的です。
みかづきナビでは提携している社労士や税理士、弁護士などと連携し、御社にとってもっとも合理的な退職金制度をご提案致します。
是非一度ご連絡下さい。
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