芸人さんを擁護するわけではないが、反社はまず見抜けない


詐欺グループの主催するパーティーに参加し、ギャラを受け取ったことに端を発した今回の騒動。

宮迫さんを筆頭に多くの芸人さんが「謹慎処分」となり、真偽は定かではないが巨額の損害賠償をおこされる可能性や、今後の活動について「テレビはもう無理だろう・・・」ともささやかれている。

身から出た錆とは言え、個人的にはそこまで責められるようなことでもない気がして、少々気の毒でもある。

問題点は3つ。

1 反社会的勢力と関わったこと

2 そこから収入を得たこと

3 嘘をついたこと

色々な意見があるだろうが、1と2に関しては「仕方がない」とも思う。

実際のところチェックのしようがない。

例えば、金融業界では警察庁から反社のデータベース(以下、反社DB)がオンラインで提供されており、契約時に本社で厳しくチェックされるが、しかし、そのDBが欠陥だらけで

「もの凄い古いデータ」

が未だに有効だったり、逆に最近流行りの「半グレ」は逮捕歴がないため、ほとんどデータ化されていなかったり・・・



余談だが、生命保険の申し込みで、ごく稀に「反社であるため申込不可」というような結果が出ることがある。

多いのは建設業や飲食業、芸能関係など。

当然ながら、今現在「反社」なわけでなく、もう何十年も前に「若気の至り」で起こした傷害事件や、ごく短期間「組織」に所属していたことがその理由。

褒められた話ではないものの、20年、30年も経過しているのに、未だにそのことを引きずって生活しないといけないのだから何とも肩身が狭い。

例の詐欺グループも「今は」関係者が逮捕されているので、反社DBに名を連ねているだろうが、当時はどうだったのだろうか?

まだ逮捕前で、一応は「美容関係の会社」という表の顔がある。

そもそも、あのパーティはホテルで開催されており、ホテル業界の反社チェックは相当厳しい。

それをくぐり抜けているのだから、仮に吉本興業を通したとしても、その正体を見破ることは難しいだろう。




「反社チェック」

という点では、過去にお会いした高級車のカスタムを請け負っている会社の社長さんのお話が非常に参考になった。

「カスタム」とはランボルギーニやポルシェ、ベンツなど、元々何千万円もする車に更に数百万円をかけて改造を行う行為で、相当に金のある道楽者でないとやれない。

その顧客の中に「反社、半グレ、オレオレ詐欺」の連中が結構いると言う。

客の素性をいちいち詮索しないが、その社長曰く

「見た目や態度ではまず分からない」

そうだ。

「一応は『金融・投資関係』を連想させる社名の名刺を持っているし、態度も悪くない。それどころか、逆に腰が低い奴が多い。見かけも派手と言えば派手だが、今の若い奴と変わらない。」

とのこと。

しかし、一点だけ。

「やたらと現金払いにこだわる」

表に出せない金だからこそ、数百万円、時には一千万円を超える金を持ち歩いていて、それをパッと使う。

そんな時「ああ、コイツ、半グレかもな」と思い、その後、ニュースなどで逮捕された姿を見ることも多いそうだ。

過去に何度か警察が聞き込みにきたこともあり、正直、付き合いたくないそうだが、まさか「あなた半グレですよね?」とも聞けないし、

「悲しいけど良い客なんだよねぇ」

とも言っていた。

値下げ交渉などせず、言い値をパッと現金で払ってくれるのでお店としてはありがたいのだろう。

但し「毎回現金を持ってくるので、絶対オレオレ詐欺だと思ってたら、実は新聞に出るくらい有名な若手ベンチャー経営者だった」という笑い話もあり、実際のところその線引きは曖昧なのだろう。

いくらグレーでも客は客。

そして仕事を受けた以上、収入を得るのは当然の話。



しかし、ここにもリスクがある。

犯罪収益等収受罪

犯罪で得た収益だと知りながら金銭を受け取ると、懲役3年以下の罪に問われる。

その社長さんも「それが怖い」と言っていた。

今回の件も中心人物の入江さん、宮迫さん、他が「詐欺グループだとは知らなかった」と主張しているが、絶対にそう言わざるを得ない。

知っててギャラを受け取ったら、それは犯罪で下手すれば逮捕される。

正直なところ入江さんあたりは危ないかもしれない。

「本当に知らなかった」、「『間接的に』ギャラを受け取った」など、非常に言い訳がましい反省文を出した宮迫さんが、

「往生際が悪い」

と不興を買っているそうだが「間接的」でなければマズいのである。

このあたりに事情もあり「嘘」をついてしまったのだろうが、それが致命傷になった。

だが、タレント生命どころか逮捕のリスクまで出てくれば、嘘をつきたくなる気持ちも分かる。

「反社、半グレ、詐欺グループ」

犯罪行為だけでなく、捕まった後にも関わった人たちに害をなす。何とも厄介な連中だ。

しかし、それは「普通の市民」に化けて、意外と身近に潜んでいる。

本日のコラムでした。



 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします


6月 27th, 2019 by