覚せい剤受刑者の75％が中学卒業　覚せい剤は親の責任か？

今週のyahooの記事。橋爪功さんの息子さんが覚せい剤で捕まったので、

「覚せい剤は親の責任か？」

というテーマで原稿を書こうと思い、各種データを調べていたのですが、それらの中に

「覚せい剤犯罪と最終学歴」

という情報がありました。

日本では、この手の「犯罪と学歴」というのはタブー視されていて、あまりクローズアップされません。

法務局や矯正協会（刑務所運営に関する外郭団体）のサイトに情報があるのですが、それによると、覚せい剤で服役中の受刑者の最終学歴は以下の通り。

男性

中学卒業　74.9％

高校卒業　18.8％

大学、専門学校(高専含む)　5.4％

女性　

中学卒業　75.2％

高校卒業　15.4％

大学、専門学校(高専含む)　2.8％

矯正協会付属中央研究所　覚せい剤事犯受刑者の実態に関する調査より抜粋

男性、女性ともに75％が中学卒業ということです。

では、最終学歴が中学卒業という方は全体の何％程度なのでしょうか？

文部科学省のデータによると、1990年前半から、中学から高校への進学率は常に95％前後。

つまり高校に進学しない人は全体の5％。

更に、高校に進学しても中退をした場合、最終学歴は「中学卒業」となりますから、それも考慮しないといけませんが、これは全国平均でおおよそ2％程度だそうです。

そうなると、ざっくり全体の7％が最終学歴「中学卒業」ということになります。

つまり、全体の7％の中に75％が含まれる、ということになり、この統計には正直驚きました。

なお、あらかじめ言っておきますが、中学卒業を誹謗するつもりは一切ありません。

大部分の方は覚せい剤どころから犯罪にも無縁でしょうし、私のお客様でも苦労して起業して、多くの従業員を雇っている立派な経営者が何人もいます。

そもそも私の父なんて小学校しか出てませんから。

ほとんどの方はしっかりと生活している。

という大前提でお話すると、おそらくはこの7％と75％の因果関係には貧困があることが推測できます。

まず進学に関しては、現在、高校は無償化されていますから、学費の問題ではなく、

「学費以外の費用ですら負担出来ない」

「それどころか早く働いて欲しい」

ということだと思います。

もちろん「手に職」をつけたいので「中学出たら、すぐに修行」という明確な目標を持っている子もいるでしょうが、流石に少数派でしょう。

経済的な困窮、荒れた生活、素行不良。

そのような環境で、悪い仲間と知り合い、覚せい剤が身近な存在になってしまう。そんなことが容易に想像できます。

実際、受刑者の65％が「暴力団との関わりがある、もしくは知人がいる」と回答しています。

とは言え、覚せい剤に手を出すことは、たとえどんな理由があろうと本人の弱さを責めるべきでしょう。

しかし、

「精神的に成熟するまで、良い環境を整える」

ことが親の責務だとするなら、このような場合、責任の一旦は親にもあるのかもしれません。

最近、

貧困も相続される(連鎖する)

というような情報を目にしますが、様々な家庭のお金の事情を見ている私も、感覚的にそう感じます。

お金がない人に限って、どう考えても未来のためにならないものに出費する傾向があるからです。親の背中を見て子も同じようになるなら、これは深刻です。

貧困をきっかけに、満足な教育を受けられず、思考まで影響を受ける

このような負のスパイラルから抜け出せず、更には薬物にまで手を出してしまえば、そこから未来を切り開くのは難しいでしょう。

なお、覚せい剤だけでなく全犯罪の受刑者の最終学歴を見ても、「中学卒業」は65％前後で推移しており、この問題の根深さを表しています。

わずか7％の層が覚せい剤の四分の三、犯罪全体でも三分の二の犯罪者を生み出す

これはどう考えても異常です。

データでは、高校や大学など、上位の教育機関に進学すればするほど犯罪に関わる確率は減るということが示されています。

この観点からすれば、犯罪を厳罰化するより

縛りつけてでも高校レベルの教育を行う(高校まで義務教育化)

方が、よっぽど犯罪を減らす効果があり、更には負の連鎖から抜け出せる人が増えるのではないでしょうか？

子供の教育

大人全員で真正面から考えないといけないテーマですね。

本日のコラムでした。

あっ、ちなみに冒頭で触れた橋爪功さんのご子息。橋爪遼。

あれはただのバカです。親の責任なんてないでしょう。

 

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