フランス、香港、「デモ」の代償は誰が払うのか?保険的観点


昨年の11月に始まり、そろそろ1年が経過しようとしているのに一向に収束の気配を見せない

「黄色いベスト運動」

当初はフランス政府のディーゼル燃料への増税に抗議するものだったが、現在ではマクロン政権そのものへの批判となり、今でも毎週のようにデモが続いている。

また、遠いフランスだけでなく、日本と同じ東アジアに位置する香港でも激しいデモが起こっていて、こちらはフランス以上に状況が悪化しており、報道ではいよいよ人民解放軍が鎮圧に乗り出す手前まで事態が緊迫しているらしい。

私自身はフランス人でもなければ香港人でもないので、政治的なものは良く分からない。

だが、その騒動の影響は「保険金」を通して見ることが出来る。

先般、フランス保険協会から「黄色いベスト運動」の被害額(保険金支払額)が発表された。

その額、215億円

主に通りに面した店舗からの請求で、その件数は1万件にも上る。

その多くはいわゆる「ハイブランド」の店舗。

店を破壊され、品物を強奪され、被害額が膨らんだ。

しかもこれは昨年の11月から今年2月までのもので、その後も大きなデモがあり、その一部が暴徒化しているので、実際の被害額は400億円を超えるのでは?と言われている。

そして、香港に至ってはこの比ではないだろう。



先日、某損害保険会社の関係者に会ったが、

「日系企業からの請求だけでも相当な金額」

とのことだった。

全体の被害総額は1,000億円をこえるのでは?というのが彼の見立ててで、香港という小さな街の被害としては甚大だろう。

もちろん民衆の意見を主張する手段として「デモ」があることは理解しているし、それはそれで大いにやれば良いと思うのだが、しかしながら、民間企業やインフラを狙った破壊、強奪、放火は、ただの犯罪でしかない。

また、これらの過激な行動で、

「国や大企業を懲らしめてやった」

とスッキリしているのかもしれないが、それは違う。

とりあえずは民間の損害は保険会社が、公共施設の場合は国(行政)がその費用を負担するが、保険会社は今後、被害の出た地区を「高リスク」と判断して保険料を上げるだろう。

それは大企業だけでなく、中小や個人商店にも影響する。

そしてそれは「店舗運営費の上昇」として様々な物の値上げ要因となる。

最終負担者は「民衆」

また、国が使うお金も税金で、これも元々は「民衆」のもの。

結局のところ、自分たちの街を壊したツケは自分たちで払うことになる。

ある意味では、賠償で保険金を貰った大企業こそ一番の「利益」があり、その金で綺麗な店舗が建つことに。

それが保険の観点から見た「デモ」の結末である。

暴れているだけでは何も解決しない。

本日のコラムでした。



 

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10月 16th, 2019 by