日本医師会、政治家、マスコミの三文芝居2021


年末から日本医師会関連の会見が増え、

「現場は医療崩壊寸前だ!!」

というメッセージが繰り返し出しているが、これに違和感を持つ。

と言うのも、多くの方が誤解しているが、日本医師会は「全てのお医者さんが所属する会」ではない。

実際、日本国内には32万人に医師がいるが、日本医師会に参加しているのは17万人と、全体の半分程度。

メンバーのほとんどが開業医で、勤務医などは少ない。

つまり街の病院、クリニック、いわゆる「民間病院」の経営者や個人事業主の集合体であり、いわば業界団体である。

なお、それらの病院のほとんどはコロナ患者に対応しておらず、コロナ患者を受け入れているのは1割程度。

今のコロナ対応の主力は国立、公立病院、大学病院などの「基幹病院」であり、「医療崩壊」はそれらの病院と一部の民間病院の話のはず。

会員の中に新型コロナ患者を受け入れている病院はあるものの、9割近くは未対応である医師会が「医療崩壊だ!!」と声高に言うことには「主役違い」のような印象を持つ。



なお、これに対して

「何故、民間病院はコロナ患者に対応しないんだ!!けしからん!!」

という論調があるが、これも的外れだろう。

耳鼻科、皮膚科、眼科、産婦人科などの専門科病院に出来ることはないし、内科などでも「今のルール」では到底患者を受け入れることなど出来ない。

その「今のルール」とは「指定感染症」

政府が昨年の早い段階で、新型コロナを指定感染症という「かなり危険度が高い感染症」に分類したため、この患者に接する医療従事者は、完全武装した状態で患者に対応しなくてはいけない。

機材や施設もほぼコロナ専用にする必要があり、このあたりは、昨年末、母のコロナ疑い(実際には軽度の心不全)で大学病院に付き添った際に体験したので、それがいかに困難なオペレーションかを見てきた。

「コロナ疑い」で感じた医療崩壊のリアル

あれを民間病院で行うことはほぼ不可能。

また、仮にそれが出来る病院であっても、一度コロナ患者を受け入れれば、その後の風評被害は深刻だ。

開業医は、医師でもあるがスタッフを抱える「経営者」でもある。

それぞれが一国一城の主なのだから、医師会も行政も強いことは言えない。

このような状況から、今は「一部の病院」、「一部の医療従事者」がコロナと戦っている状態となっている。

そこで次に、

「指定感染症を外し、インフルエンザ並の分類に下げては?」

という議論が出てくる。



これは医療・保健所の現場からの切実な要望とのこと。

これをすれば、今よりルールが緩くなるので、街のクリニックでもコロナの診察が出来るようになり、軽症者をケアでき、基幹病院、大学病院、そして最近稼働し始めたコロナ専用病院は重症者のみに注力出来るようになる。

実態として「新型コロナはそこまでは死なない」、「若者にとっては風邪レベル」ということが分かってきたので、軽症者は街の病院で診る方が合理的のようにも感じる。

が、これも出来ない。

仮に分類を下げて、あちこちでクラスターが発生し、欧米のような大惨事が起きたら?

可能性は低いがゼロではない。

もしそんなことが起これば、自民党政権が飛ぶだろう。

それでも、

決断するのが政治家の胆力

普段からそんなことを言っていたガースーであれば「やるかも?」と思っていたが、最近、その腰は完全に引けている。

助さん格さんのように森田、黒岩の両タレント知事を従えた百合子黄門様に良いようにかまされ、緊急事態宣言も「出さされた」

今はガースーが悪い、百合子が悪いと責任のなすりつけ合いに必死だ。

マスコミは、それを面白おかしく報じ、更には緊急事態宣言を!!と煽った翌日には、飲食業の惨状を真顔で伝える。もはやニュース番組ですらバラエティを見ているよう。




医療、政治、マスコミ。

舞台の上で登場人物全員が大声で叫び続ける奇妙な劇。

ただ、このような個々の立場については、一切批判するつもりはない。

仮に私が当事者であったとしても、全く同じ行動を取るからだ。

開業医であれば「火中の栗を拾う」ようなことはしたくないし、医師会の幹部であれば「会員の中にはコロナで苦労している人もいるから何かメッセージは出しておかないと」と思う。

政治家だったとしても「指定感染症の解除」という決断など出来ない。

完全に恐怖に侵されている国民感情の火、そこに油を注ぐようなものだからだ。

そしてマスコミ。騒げば騒ぐほど、視聴者が家に「Stay」してテレビを見てくれるのだから、私ならここぞとばかりに騒ぎまくる。拡声器でがなり立てるだろう。

と言うことで、個々の事情を考えれば「まあ、そうなるよね」というところだ。

そのしわ寄せで苦労されている一部の医療従事者の方々に感謝の念をもちながら、ワクチンが普及するまでは、この三者の茶番劇を見続けるしかない。

ただ、医師、政治家、マスコミ、普段は権威を象徴して歩いているような方々が、危機を前にして、私利私欲丸出しの行動しか取れない、という点については、

一皮剥けば皆同じ

という人間の本質が表れていて、なかなか面白い。

もちろん全く笑えないが。

2021年、一発目のコラムでした。

 

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1月 9th, 2021 by