新型コロナウィルスに『保険』は何が出来るか?


中国を発信地として、世界に広がる新型コロナウィルス。

必死の水際対策が取られているものの、実際のところ後手にまわってしまっている。

また、中にはウィルスを保持していても「何の症状もない(無症状病原体保有者)」場合もあり、当人ですら気付いていない「感染者」の入国を防ぐ方法はない。

春節で大量の中国からの渡航者が押し寄せている現状を考えれば、ウィルスはある程度入り込んでいると考える方が自然だろう。

では、この新型コロナウィルスに対して「保険」は何が出来るのだろうか?

国の「健康保険」、民間の「医療保険/死亡保険」、そして「損害保険」という3つの観点でまとめてみた。



・新型コロナウィルスの検査費、医療費は無料

例えば風邪やインフルエンザの場合、検査や薬代、もしくは重症化して入院した場合の医療費は、健康保険を使って原則3割負担となる。

しかし、この新型コロナウィルスは、国が「指定感染症」としているため検査費は無料。

また、検査の結果「新型コロナによる肺炎」で入院が必要となった場合も、それらの費用は公費で賄われ自己負担はない。

これらの処置は、

「咳が止まらず調子が悪いが、お金がもったないので・・・」

という人に治療を受けさせる効果がある。

とは言え、自覚症状があっても、この状況で「新型コロナ」と診断されれば、世の中から後ろ指をさされるような空気もある。そのため、受診に気が引けるかもしれない。

しかし、放置して重症化すれば命を失いかねず、また、不用意にウィルスをばら撒いてしまえば、それが誰かの命を奪うことにもなりかねない。

もしかしたら・・・と思う方は是非、勇気をもって保健所に相談して欲しい。



・民間の医療保険/死亡保険

新型コロナの治療費は前項の通り無料だが、民間の医療保険に加入していれば、1日あたり〇〇〇〇円(5,000円など)が給付される。

医療費がかからなくても、それとは関係なく「入院した事実」に基づいて支払われる。

なお、一部の医療保険で「実費精算型」というものがある。

これは「実際にかかったお金」を給付するもので、基本的には自己負担分(3割)が受け取れる。

あまりメジャーな商品ではないが、このような保険に加入していた場合、治療費が無料であれば、保険からの支払いはない。

そして、あまり考えたくはないが、不運にも死亡してしまった場合。

もちろん死亡保険金は支払われるが、難しいのは「災害死亡保険金」の適用の有無。

災害死亡保険金は交通事故や、犯罪、天災などの偶発的な事柄が原因で亡くなった場合に「上乗せ」で保険金が支払われるオプションで、

死亡保険金  1,000万円(原則、亡くなれば必ず支払う)
災害死亡特約      500万円(「亡くなり方」によってケースバイケースで支払う)

というような形で加入している場合がある。

今回の新型コロナウィルスによって死亡した場合、災害死亡保険金の対象になるか?という点については、今のところ各社、明確なスタンスは決まっていない。

なお、以下のような感染症で死亡した場合には災害死亡保険金の対象となることが明記されている。

エボラ出血熱
クリミア・コンゴ出血熱
ラッサ熱
急性灰白髄炎(ポリオ)
コレラ
細菌性赤痢
ジフテリア
腸チフス
腸管出血性大腸菌感染症(O-157など)
重症急性呼吸器症候群(SARS)

等。

この中にはSARSも含まれているため、今回の新型コロナウィルスも将来的には対象になる可能性が高いが、今は何とも言えない。

実際、そのような例があれば体感的には「払うだろう」とは思うが、今は各社様子見という感じ。

 



・海外旅行保険は72時間ルールに要注意

損害保険で新型コロナに関係するのは、旅行保険だろう。

このような状況でも仕事などにより中国へ行かないといけない方がいる。

当然、海外旅行保険には加入していくだろうが、72時間ルールに気を付けて欲しい。

実はあまり知られていないが、海外旅行保険では感染症に関して、以下のような決まりがある。

旅行中に感染症に罹患し、帰国後72時間以内に医師の診察を受けたものを補償する

つまり、72時間を超えてから発症したものに関しては、旅行中にうつったものかどうか判断がつかないので「支払対象外」ということ。

主に風邪やインフルエンザなどを想定しているルール。

そのため、エボラ出血熱や、SARSなどの潜伏期間が長く死亡率も高い感染症に関しては、

帰国後30日までOK

という特例を設けている。

では、新型コロナはどうか?

今のところ、72時間の方に分類される

潜伏期間は7~10日と長く、帰国後72時間を超えてから発症する可能性も大きいものの、「危険性はインフルエンザと同レベル」という意見もあれば、「SARSより脅威」という声もある。

現時点では何とも判断がつかない。

もちろん将来的には特例の「30日」に分類される可能性が高いが、保険会社の約款は金融庁の許可も必要で、すぐには変えられない。

そのため「今は」72時間ルールが適用されてしまう。

感染リスクが高いエリアから戻られた方は、帰国後すぐにひとまず病院で検査を受けておいた方が無難だろう。それさえやっておけば、その後、発症しても補償対象となる。

 

以上、新型コロナウィルスに対する保険の対応を解説した。

本日のコラムでした。



 

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2月 6th, 2020 by