それでも10万円を配るべきではない3つの理由


あくまで一つの考え方なので、あまり目くじらを立てずに聞いて欲しい。

評判の悪い30万円給付を取り下げて、急転直下、全員一律10万円の給付をするらしいが、以前にもブログ(コチラ)で書いたが、私は下記の3つの理由で止めた方が良いと思う。

1 必要ない人も多い

2 金額が中途半端で意味がない

3 インフレ懸念

 

1 必要ない人も多い

全員一律給付への反対論に

公務員や政治家、年金生活者など、収入が減っていない人にも配るのはおかしい

という論調があるが、そのような職業の人だけではなく、普通の会社員も今のところ収入は減ってはいないし、実際のところ私自身も10万円を受けとらなくても暮らしていける。

多くの人にとっては、ただのバラマキでしかない。



2 金額が中途半端で意味がない

逆に「本当に困っている人」にとっては、前案の30万円でも足りないし、10万円なんて焼け石に水だろう。

今回の予算はざっと12兆円(10万円×1億2,000万人)

これだけのお金があるなら、生活保護の制度を柔軟に運用して、生活が苦しい人に定期的な給付をしてあげた方が良い。

また「お金さえ給付すれば、働かなくても済む。StayHome出来る。」という意見も多いが、そのような人が10万円で仕事を辞めるとは思えない。

帯に短し、たすきに長し

という感は否めない。



3 インフレ懸念

コロナとの闘いは長丁場になるので、一度、たがか外れてしまうと、今度は20万円よこせ!!30万円よこせ!!と加速してキリがなくなるのでははないか?

結果、赤字国債を発行し続け、国の借金は膨れ上がるが、最近では、このようなことを「問題なし」とする人が、政治家の中で増えてきている。

国はどんどんお金を刷っても破綻しない

この「国難」に対して、政府はもっと財政出動するべきだ!!

これをMMT理論と言い、こちらも随分前にブログで解説をしたので、宜しければご参照頂きたい。 参考:最近よく聞くMMTをご存知ですか?

もちろん破綻はしないだろう。

現時点では政府が発行した国債は日銀が買い取って「塩漬け」にしているので、返済義務もないのだから。

しかし、マネー供給量が増えれば、確実にインフレの可能性は高まる。

別にインフレ自体は悪いわけではなく、むしろ緩いインフレは歓迎すべきだが、あまりに急激なのも困る。

そしてインフレはコントール出来ない。



実際、アベノミクスで日銀が「年2%」のインフレを目指し、総額で600兆円とも700兆円とも言われる資金を供給したが、その目標は完全に頓挫してしまった。

その理由は簡単で、株式市場と企業の内部留保が全部吸ってしまったから。

上の表を見て頂ければ分かる通り、アベノミクスの緩和量と株価上昇、企業の内部留保の増加は奇妙なほど一致している。

しかし、株は一部の投資家にしか関係ないし、企業も人手不足の影響で、非正規雇用(アルバイト)の時給は多少上がったものの、正規雇用者の給料はそれほど上げてはいない。

だからこそ内部留保の厚みがここまで増したのである。

つまり、水道の水をじゃんじゃん出したのに、株式市場と内部留保が全てを飲み込んでしまい、普通の人のところまで落ちてこなかった。

このような構図から、誰も実感できない「好景気」が続いていたわけだ。

では今後はどうだろうか?



今のところ、株価は「謎の高値」を維持しているが、コロナの影響で、企業の業績は確実に低下。財務は痛む。

内部留保が減れば企業価値も下がり、それは中長期で株価に影響するだろう。

この2つが吸収しきれなくなった「マネー」はどこに向かうのか?

そして、その上、今度は水道から国民に直接、水を撒くと言う。(現金給付)

一度で済めば良いが、何度もやれば、日銀が当初ターゲットとしてた「年2%」どころか、年7~8%を超えるような「悪い」インフレが起こる可能性は否定できない。

今は経済サイクルで言えば、確実に冬。

冬が寒いのは金持ちでも貧しい人でも同じ。

各世帯で給与が減り、貯金を取り崩す程度の損害は、ある意味では仕方ないと我慢するしかない。

しかし、家も服もなく凍死しそうな人はしっかりと助ける。

そのためにも全世帯に灯油をばら撒くようなことはするべきではないし、そんなムチャをやり続けた結果、悪性のインフレが起これば、それこそ貧しい人を直撃する。

もちろん、これは悲観的な話をしただけで、実際に起こる可能性は低いだろうが、個人的には

「結構危ない橋を渡っているのではないか?」

と思っている。

コロナの背後には悪性インフレというもっと怖い魔物が潜んでいるかもしれない。

国が10万円くれて当たり前。皆がそう思う心理こそ怖い。

本日のコラムでした。



 

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4月 17th, 2020 by